<アキのお芝居観て歩記’03>の巻 vol.2

シヨウちゃん(以下S)「はい、徳さん、ビールお待たせしました。」

徳さん(以下T)「はい、ありがとう! あなた達も何か飲んで。」

あき(以下A)「あら、そうですか?ありがとうございます。遠慮なくいただきますね。 アッシは、ブランデーのジンジャーエール割りでね。シヨウちゃんもいただいて。」

S「は〜〜い。いただきま〜す。・・・はい、アキさん。」

A「それじゃ、徳さん、いただきます。」

T「はいはい、どうぞ。でさ、どうだたのよ。」

A「今さっきまで、<へアスプレイ>と<ナイン>の話してたのよね。」

T「ほら、あれは?あれ。え〜〜と、何だっけ?ほら、映画の・・・・、あれよぉ。」

S「徳さん、もしかして、ヒュー・ジャックマンですか?」

T「そうそう、X-men の。いい男でしょ。観たの?そのヒュー・ジャックマンのやつ。」

A「もちろんよ。<ザ・ボーイ・フロム・オズ>ね。今回は。<ヘアスプレイ>のハーヴェイと、 このヒュー・ジャックマン、それに、キャバレイショーのクレオ・レインが目的だったんだもの。」

S「凄いですよね、映画だけだと思ってたのに、ミュージカルだから歌も唄う訳だし。」

T「今年のトニー賞で司会やってたわよね。その時、唄ってなかったっけ?彼。」

A「そうそう。アッシもそれ観てさ、こんなに唄えるんだって感心しちゃったのよ。」

S「で、本番っていうんですかね、そのミュージカルの中ではどうだたんです?」

A「まあ、ヒュー・ジャックマンがピーター・アレンを唄ったワンマンショーってあ感じだったかしらん。」

T「なによそれ。ピーター・アレンの作ったやつなの? 彼、もう亡くなってるわよね。」

S「その人知らないんですけど。」

A「そうね、ショーちゃんの年代だと分からないかもね。あなたが子供の頃さ、 伊東ゆかりが唄った<あなたしか見えない>って曲知らない?」

S「あ〜〜、知ってます、その曲だったら。たまにカラオケで唄っている人いますもん。」

A「そうそう、その曲を作った人よ。その他にもオリビア・ニュートン・ジョンやメリサ・マンチェスター に曲を提供していて、そこそこのヒットにはなっているんだけどね。まあ、日本ではそれらの曲をリタ・ クーリッジが唄ったから、結構知っている人は多いと思うんだけど。」

T「そいでさ、その感想よ。感想は?」

A「だから、彼のワンマンショー的になっちゃったかな?って事よ。まあ、脚本がちょっとお粗末かしら。 もっとある時期に絞り込んだ方が良かった様に思ったけど。それから、一曲一曲は良い曲が多いのに、 ピーターだけの曲で構成されたのもちょっとね。別に悪いわけじゃないんだけど、流れ的に、 違う傾向の曲があっても良かったかしらと思っちゃったわね。」

T「それじゃ、いまいちだったのね、その<ボーイ・フロム・何とか>っていうのは。

A「期待が大きかったからね。でも、良かったところも多かったのよ。脚本がチープだったって事だけだからさ。」

T「例えば、役者が良かったとか?」

A「そうね。芸達者な人が集まったって感じよね。ほらさ、実在の人物の一生みたいなものだから、 知っている人もたくさん出てくるのよね。」

T「誰がでんのぉ。あれだっけ?確かライザと結婚してたんだよね、その人。」

S「ライザって、ライザ・ミネリですか?キャバレイの。」

A「そうよ、彼女の最初の旦那。勿論ライザもジュディ・ガーランドも出てくるのよ。」

T「あら、豪華じゃないの。どう?似てる人を使ってるのかしらね、そういう時って。」

A「そうね。まあ、似せてはいるけどね。特にジュディーを演ってたイザベル・キーティングはオフで <リトル・ヴォイス>のリトル・ヴォイスを演ってただけに、良く彼女の特徴を掴んでいて良かったわね。 それに、ライザを演ったステファニー・J・ブロックも母親役のべス・フォウラーも説得力ある唄と演技で良かったしね。 ただ残念だったのは、ピーターの恋人役を演ったジャロー・エミックの見せ場が少なかった事かしらん。」

S「その人、結構有名なんですか?」

A「<くたばれヤンキーズ>っていうミュージカルでトニー賞も獲ってるし、<ミス・サイゴン>のクリスや、 <レ・ミゼ>のアンジョラス、<フルモンティ>のジェリーも演ってた人なのよね。」

T「あら、そうなんだ。僕はさ観てないから何にも言えないけど、知っている人にしたら惜しかっただろうね。」

A「そうね。彼との世界をクローズアップってのも有りかな?って思ったわね。まあ、 彼は仕方ないとして、このミュージカルの最大の見どころはね、勿論、ヒュー・ジャックマンなんだけど、 一番の喝采をこの日浴びたのは、ピーターの子供時代を演じていたミッチェル・デイヴィッド・フェデランかしら。 何しろ2歳からダンスを始めているだけあって、彼のエンターテイナーぶりは、将来のピーター・ アレンを想像するには十分どころか、それを上回るほどの出来なのよ。」

T「子供の凄い子っているからね。大人顔負けっていうのが。」

S「じゃあ、その子がカーテンコールで出てきた時の観客の熱狂ぶりは凄かったんでしょうね。」

A「そうよ、そりゃもう。そうだ、カーテンコールで思い出したんだけどね、この日は最後の最後に物凄くはないけど、 けっこう凄いハプニングがあったのよ。」

T「何なの?そのハプニングって。」

A「それがね、ステージの最後は、ピーターのヒット曲、<アイ・ゴー・トゥ・リオ>でのレヴューなんだけど、 その時からおかしいな、っておもってたのね、彼の股間が。」

T「何よ、ズボンを後ろ前に履いてたとか?」

S「履いてなかったとか?」

A「まあ、近いわね。ジッパーがね、下りたままだったのよ。」

T「あらら、誰も気が付かなかったのかしらね。それとも衣装さんの意地悪かしらん。はははは。」

A「そうかもね。で、カーテンコールの時にそれを指摘したお客さんがいてさ、ヒュー・ジャックマン たら顔を真っ赤にしちゃってその後に観客に向かって何も言えなくなっちゃったのよ。」

S「珍しいですよね、そんな事。滅多にないものね。それじゃ、アキさん、結構得しちゃいましたよね。確か、 席が前の方だって言ってましたよね。」

A「そうそう。まあ、彼が舞台で着替えるシーンがあるから、得って言うほどじゃなかったけど、 こんなハプニングがあった日に行けたのは得したかもね。」

T「それでさ、今回は何本観たんだっけ?これで、3本でしょぅ。」

A「ミュージカルが5本にキャバレイショーがひとつね。」

T「まあ、相変わらずねぇ。でさぁ、今回一番面白かったてのは、さっきキミ君に話しちゃったの?」

A「今回一番面白かったのはね、<ウィケット>っていうミュージカルだったのよ。」

S「悪いとか、意地悪とかの意味ですよね。」

A「あのね、さっきも出てきたけど、ジュディー・ガーランドがドロシーを演った<オズの魔法使い> ってショウちゃんも観た事あると思うけど、そこに出てくる良い魔女と悪い魔女がドロシーに出会う前のお話なのよ。」

T「あら、面白そうじゃない。」

S「いらっしゃいませ〜!・・・あ、八ちゃん。」

八ちゃん(以下H)「帰ってきてたんですか。お帰りなさい。」

A「どうも。無事でございました。」

H「え〜と、ハーパーソーダで。」

S「は〜い。」

H「今回も色々観て来られたんですよね。」

A「そうなのよ。で、今、今回一番面白かった舞台の話をし始めた所だったの。」

H「あ〜、それはラッキー。で、続けて下さいよ。何だったんですかね。」

A「これよ、これ。<ウィケット>て言うの。<オズの魔法使い>に出てくる二人の魔女がドロシーと出会う前の話なんだけどね。」

H「へ〜、面白そうですね。」

A「そうなのよ。だから、一番面白かったのよね。舞台装置も豪華だったし。」

T「何?きらびやかって事?」

A「そうじゃなくてね、お金掛けてるなって事よ。で、キャストも凄かったんだけど、丁度アッシが観た日はね、 良い魔女、グリンダが控えの人だったのよね。本当は<君はいい人、チャーリー・ブラウン> でトニー賞を獲ったクリスティン・チェノウェスだったんだけど、残念よ。で、悪い魔女が<レント> に出ていたイディナ・メンツェル。オズの魔法使いが<キャバレイ>のオリジナルキャスト、ジョエル・グレイ。 その他にも<エレファント・マン>のキャロル・シェリー、オフで活躍していたノーベルト・レオ・ビューツ、 バズ・ラーマンの<ラ・ボエーム>のウィリアム・ユーマンスなどなど。まあ、凄〜〜いのね。」

T「で、いったいどうだったわけ?」

A「まあ、話しちゃうとさ、<オズの魔法使い>に出てくる悪い魔女は、最初から悪くはなかったって話よ。」

S「まあ、最初から悪かったら物語りにしなくてもいいですからね。」

A「でも、良く考えられているわ。例えばさ、ドロシーがガラスの靴を履いちゃって、 それを取り戻そうと悪い魔女がドロシーを狙うじゃない。あれね、実は、悪い魔女の妹が足が悪くて、 あれを履く事で立てるようになるのよ。だから、取り返そうとしたわけね。」

T「ちょっとぉ、涙ぐましい話じゃないのよ。」

A「そうでしょ。その他にも、<オズの魔法使い>に出てくるブリキやライオン、 それに案山子が何故そうなったのか、とかさ。」

S「面白そ〜う。」

A「面白いだけじゃなくてね、ほろっとさせられる所もあるのよ。この話では、 悪い魔女が耐えていく姿も描かれているのね。元々母親の浮気が原因で、 緑色の子として生まれてきちゃった為に起こる学校でのイジメ。お金持ちの良い魔女から受ける嫉妬。 やる事なす事裏目に出ちゃう悲しさ。あ〜〜〜。思い出しただけでも涙が・・・。」

T「まあ、完璧じゃないよ。」

A「そうでもない所もあるんだけどね。」

S「どんな所だったんですか?」

A「良い魔女が演説するシーンなんかは、<エヴィータ>のバルコニーシーンそのままだったり、 オーケストラが曲の良さに負けてたりね。まあ、指揮者が恰好良かったからそれは許すとしてね。」

S「ほらほら始まったわよぉ。」

A「何なのよ。いいじゃないの、久しぶりの日本なんだらさ。」

H「あれですよね、<リトル・ショップ・オブ・ホラーズ>観て来るって言ってませんでしたっけ?」

A「行きましたよ。でもね、今回の演出はね、ちょっと戴けなかったのよ。」

H「ありゃ〜。アチキあれ好きなんだけどねぇ。」

A「アッシも大好きなミュージカルよ。楽しくて、ハチヤメチャでさ。」

H「いいですよね。」

T「映画も楽しかったしね。僕も好きよ。桜田淳子だったっけ?あれやったの。」

A「まあ、流石は徳さん。日本での最初のキャスト。主役のオードリーね。二代目が岡崎友紀。 シーモアが真田広之ね。懐かしい〜!」

H「で、どんな所がアキさん的にはバツだったんですかね。」

A「まず第一に、お化け植物のオードリー・ツー自体がね。折角オフでやってた時の良い見本があるのに。 今度のオードリー・ツーは、何かデザインがいまいちで。初めて観た人はあれでも納得いくんだろうけど、 オフの物が本当に良かった、イコール怖かったからね。まあ、 最後に客席にぐ〜〜〜んと伸びて来る所は良かったなとおもったけどね。」

H「その他には演出とかに問題があると・・・。」

A「そうなのよ。たださ、みんな点々と立ってるだけなのよね。特にオードリーのケリー・バトラーなんか、 <ヘアスプレイ>での評判が嘘のように大した事ないな、って印象だったし、歯医者のオリンもいまいち。まあ、 <ユーリンタウン>のハンター・フォスターは頑張っていたんだけどねぇ〜。まあ、花屋の主人ムシュニックを演った ロブ・バートレットがいい味だしてたな、って思っただけかな。彼は、<シカゴ>でも、 エイモス役でいい味だしてたわね、そう言えば。」

H「あの3人の女の子は?」

A「う〜む、頑張り過ぎかな?ちょっと浮いちゃうのよね。まあ、 花屋をいろんな人に紹介する度に衣装が豪華になっていくのは良かったけどね。」

H「どうしたんですかね。オフなのかな?似合うのは。」

A「そうかもね。でもさ、これ、トライアウトからオンに移るときにシーモアを除いてキャストを一新してるのよね。 なんか、何処にその意味があったのか、アッシには理解出来なかったわね。とても、 4回もトニー賞を受賞しているジェリー・ザックの演出とは思えないのよね。」

H「それじゃ、結構早い時期に終わっちゃうかもしれませんね。」

A「そうね、残念だけど、そんな気がするわ。」

S「ところで、キャバレイショーで観たクレオ・レインはどうでした?」

A「これがもう大人の雰囲気でさ、ニューヨーク最後の夜としては最高だったわね。」

T「ちょっとぉ〜、あんたミュージカル観てから行ったの?まあ、元気だ事。」

A「<リトル・ショップ・オブ・ホラーズ>が終わってからね。午後11時。 リージェンシーホテルの1階にあるファインステイン・アット・ザ・リージェンシーっていうクラブなんだけど、 大人の雰囲気でとってもエレガント。」

S「アキさまにピッタシだわぁ〜!」

A「おだまり!でも、そうかも。ははは・・・。」

T「でもいいよね、そういう雰囲気の良いところ。彼女もう相当な歳でしょ。」

A「今年76歳かな。」

H「声とか出るんですか?そんな歳で。」

A「そうね、まあ、全盛期から比べたら少し衰えているけど、特に高い声がね。でも、まだまだ出ているわよ。 一緒に行った友達がビックリしてたからね、76歳であんな所まで声が出るんだって。」

S「あらららら?誰と行ったのかしら?聞いてませんよぉ〜。」

A「いいじゃないの、誰と行ったって。向こうでお世話になっている人よ。」

H「まあまあ。で、アキさん帰ってきてるんじゃないかと思ったし、今日、ボジョレが解禁だったんで、 買ってきたんですよ。みんなで飲みません?いいですか?」

A「あら、そう言えばそうだった。頂きましょうよ、みんなで。ショーちゃん、グラス用意して。」

S「は〜〜〜い。今年のは美味しいって評判でしたからね。でも、明日からじゃないんですか?」

H「ほら、12時過ぎたから。」

S「あ〜、そうかぁ。はい、みなさんお待たせしました。」

H「それじゃ、アキさんの無事とボジョレの解禁を祝して、乾杯!」

一同 「かんぱ〜〜い!」

おわり


*今回紹介したお芝居は、
1)Boy from OZ    IMPERIAL THEATRE
2)Wicked         GERSHWIN THEATRE
3)Little Shop of Horrors  VIRGINIA THEATRE
以上の劇場で上演中です。なお、CLEO LAINE のショーは終了しました。ニューヨークに行かれたら是非観て下さいね。


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