終わり良ければ・・・

あき(以下A)「いらっしゃ〜い。あら、ユウジ、明けましておめでとうございます。」

ユウジ(以下Y)「おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。」

A「あら、こちらこそ、よろしくね。はい、おしぼり。・・・それじゃユウジは何にしよう?」

Y「それじゃ、今年初めてのドリンクは、今月のお薦めにしようかな?え〜と、<シャルロッカ>ですか?どんなの〜?」

A「ズブロッカをアップルジュースで割った物なのよ。結構飲み易いと思うけど。」

Y「じゃあ、それでお願いします。」

A「あいよっ!・・・・はい、お待たせ。」

Y「いただきます。・・・・へ〜〜ぇ、こんな味なんだぁ。ズブロッカってちょっと苦手だったんですけど、 これだったら飲めますね。美味しいですよ。」

A「あら、そう?有難うね。ところで、この正月、ユウジは何時まで休みだったのかしらん。」

Y「それが、みんなには怒られちゃうと思うんですけど、12日までなんですよ。」

大介(以下D)「え〜〜〜!12日までぇ〜〜〜!!!信じられない。アンタ、どんな仕事してんのよ。」

Y「いやだなぁ、大介さんたら。怪しい仕事じゃありませんよ。年末は31日までだったし、 年始だって三が日は休みなしで働いていたんですから。」

A「でもいいわよね、9日間でしょ。アッシもほしいわ、お休み。」

D「何いってんのよ、アキちゃんたら。11月にとったばかりじゃないのよ。馬鹿言ってるんじゃありませんよ。」

Y「そうですってば。アキさんもちゃんと取ってるじゃありませんか。」

A「まあ、そうね。でもさ、年明けに長い休みだといいわよね。何処いっても安いし、空いてるしね。何か計画とかないの?」

Y「まあ、お芝居が入ってたもんですから、あんまり計画してないんですよ。それに普段、 時間がなくて観れないから映画も観たいし。今日も行ってきたんですよ。」

D「何行ってきたの?ラスト・サムライかしらぁ〜?それともニモかしらぁ〜?」

Y「違いますよぉ〜。<ブルース・オールマイティー>ですよ、ジム・キャリーの。アキさん観ました?」

A「行ってきたわよ。アッシね、ジム・キャリー大好きなのよ。」

D「で、どうだったの、ねえ?俺はどうも好きになれないのよ、ジム・キャリーって。」

A「そういう人、結構多いわよね。」

Y「僕は感動しちゃいました。本当に大切な物が何だったか、ちゃんと見極めないといけないな、って。」

D「当たり前じゃないよぉ〜。そんな事今更言ってるのぉ〜。だから今の若い子はねぇ〜。」

A「何言ってるんだか。大介だって色々大切なもの、逃しているんじゃなかったっけ?」

D「あら、それは言わない約束でしょぉ〜。」

Y「はははは・・・。で、アキさんはどうだったんです?この映画。」

A「そうね、アッシは最近、ここ何年かのジム・キャリーの映画の中ではチョッとね、と思ったのよ。」

Y「どうしてですか?とっても心暖まるドラマだったと思ったのになぁ〜。」

A「いいのよ、ユウジにはそれで。ただね、アッシには、ジム・キャリーがやり過ぎに思えたのね。」

D「まあ、彼は元々コメディー出身だからね。やり過ぎって、そう言う事でしょ。」

A「流石は大介。良くアッシの事分かってらっしゃる。そういう事なのよ。」

Y「僕はとっても面白かったですよ。やり過ぎって、今聞いて少し分かりましたけど、僕には面白かった。」

A「確かに面白いんだけどね、アッシにはTVドラマの域を出てないとでも言うか、軽過ぎたのかしらん。」

D「そうかもね。俺は観てないから何ともいえないけどねえ、嫌いだからじゃなくて、危険性は前からあるなとは思ってたんだけどね。」

A「まあ、観客を楽しませるっていう方向が強かったのかもね。アッシは、コメディーセンスの中に光る哀しみなんかを、 もっと表現出来たんじゃないかなって思ったんだけどね。それに、ストーリーも安直に思えたし。」

D「まあ、いろいろ感じ方はあるしさぁ。ユウジにとってはたのしかったんだからそれで良いわけよねぇ。共演は誰だったの?」

Y「あの〜、誰でしたっけ?あのおじいさん。」

A「モーガン・フリーマンでしょ。神様役ね。」

D「<ドライヴィング・ミス・デイジー>良かったぁ〜。もういい歳だろうねぇ。」

Y「かなりのおじいさんでしたよ。それから、<フレンズ>っていうTVドラマで、レイチェル演ってる人、・・・ え〜〜〜と、誰でしたっけ?」

A「ジェ二ファー・アニストンでしょ、ブラピの奥さん。」

Y「えっ!あの人、ブラッド・ピットの奥さんなんですかぁ〜?ざ〜〜んねん。」

D「何が残念なのよぉ。諦めなさいまし。高嶺の花でございますわ、アンタには。おほほほほ。」

Y「あ〜〜、また始まった。大介さんの意地悪攻撃。僕には通じませんよ。もう慣れました。残念で〜〜した。」

D「ま〜〜ぁ、憎らしいわねぇ。ははは・・・。」

A「ところで、ユウジ、芝居に行くって言ってたけど、何観に行くのよ?」

Y「もう行っちゃったんですよ。<BENT>です。椎名詰平が出てるじゃないですか。すぐチケット取りましたよ。 初日に行きました。アキさんは?」

A「今日のマチネに行ってきたわ。」

D「俺もね、行きたいのよぉ。まだ有るかしらねぇ、チケット。」

A「有るんじゃないの?アッシの行った今日のマチネ、空いてる席あったわよ。」

D「なに?あんまりお薦めっぽくない言い方じゃないよぉ。」

Y「え〜〜、またですか?今日はアキさんと意見が合いませんね。僕は泣いちゃったけどなぁ。」

D「あれ、脚本がいいからね。泣くわよ。特に俺たちはねぇ。でも、その言い方は何が原因ののよぉ。」

A「まあ、アッシ、演出の鈴木勝秀と馬が合わないみたいなのね。この前の<欲望という名の電車>でもそうだったんだけどさ、 何か、首をかしげちゃうのよ。」

Y「でも、良かったけどなぁ、僕には。椎名詰平も、遠藤憲一も、篠井さんも、それに、高岡蒼佑も可愛かったし。」

D「アンタ、さっき言ってた、泣いちゃったっていうのは何処にいったのよぉ?本当はニヤニヤしてたんじゃございませんこと?」

Y「そんな事ありませんよ。だって悲しいじゃないですか、あの物語り。自分たちは本当に幸せなんだな、って熟と思いましたから。 大介さんもそう思ったでしょ、前に観た事ありそうだからさ。」

D「そうよ、決まってるでしょうよ。あの物語り、本当に俺たち幸せなんだな、って感じさせてくれるもんねぇ。いい脚本だよ。 でもさ、アキちゃんがいまいちな理由を聞きたいわよね。」

Y「そうですね。教えてくださいよ、アキさん。」

A「椎名詰平も遠藤憲一も、そこそこ頑張ってたし、これからもっと良い舞台になりそうだったわよ。まあ、 篠井英介の演技は女装の所では何時ものつまらなくて、変り栄えのしない演技だったけど、ナチスの大尉の演技は、 意地悪さがとっても良く出ていて良かったし、高岡蒼佑は、ポスターより可愛くって、益々ファンになっちゃうわ、 ってとこだったんだけど・・・・。」

D「で、何よぉ、もったいぶらないでよぉ。気にいらなかったのは何なのよぉ。」

A「別にもったいぶっている訳じゃないんだけどね。まあ、アッシにとっては許せないところがあったのよ。」

Y「何なんですか?許せない所って。」

A「それはね、最後の最後のシーンなのよ。覚えてるでしょ、ユウジ。どうだったか。」

Y「勿論です。星印の入った自分の作業着からホルストが着ていたピンクの三角印の入った作業着に着替えて、 また岩を運んでいくんですよね。」

D「あれぇ〜?そうだったっけ?」

A「ね、大介は分かるわよね。そこが違ってたのよ。本来の脚本では、着替えたマックスが、あの電気フェンスに近づいて行って、 フェンスの向こうから照明が目潰しの様に、眩しくなって終わるじゃない。マックスが自ら電気フェンスに身を委ねようとしているんだな、 って観客に想像させる訳よね。」

D「でも、ユウジが言ってたラストだと、まるで意味が違っちゃうわけだ。そこかぁ、アキちゃんがイマイチだったのは。」

A「そうなのよ。最後の場面をあんな風に変えちゃうなんて。アッシには許す事が出来ないのよ。」

Y「それじゃ、全く違いますよね。僕はあのシーンでは、ホルストの為にも自分だけは生きるんだ、みたいなのかな? と思ってましたよ。でも、アキさんの言っていたのが本当だとすると、まるで違っちゃう。へ〜〜〜〜〜〜!ってな感じだなぁ〜。」

A「それまではね、でもさ、終わりがイマイチだと、全体の感じもそれなりになっちゃうのよ。それが残念で。」

D「まあ、終わり良ければ全て良し、って言うしねぇ。でも、俺も自分の目で確かめるために行く事にしてみるわ。」

A「そうね、行って、観て、感想聞かせてよ。」

Y「僕も聞きたいな、大介さんの感想。今度何時来ます?」

D「観てからに決まってるじゃないのよぉ。何寝ぼけちゃってるの?」

A「まあまあ、大介もそうカリカリしないで。印象悪くなるわよ。」

Y「大丈夫ですよ。慣れちゃいましたから。」

A「終わり良ければ、って言うじゃない。」

D「そうだわねぇ。はははは・・・・・。」

おわり


*今回紹介した映画・お芝居は、
1) <ブルース・オールマイティ>
                ユニヴァーサル系にて公開中
2)<BENT>  上演中〜2/1まで
                            PARCO劇場
以上です。どうぞ、足をお運び下さい。


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