<やっぱりいい!>の巻

仙ちゃん(以下S)「アキさん、20周年おめでとうございます。乾杯しましょうよ。」

あき(以下A)「あらら、覚えていてくれたんだ。仙ちゃんは最初から来てくれてたもんね。ありがとう!それじゃ、 お言葉に甘えて頂こうかな。」

S「何にします?折角ですからワインでも抜きましょうよ。シャブリでいいですよね。」

A「あいよっ!それじゃ、・・・・・いただきま〜す。」

S「おめでとうございま〜す!乾杯!」

A「ありがとう!・・・・う〜む、やっぱりシャブリは美味しいわね。」

S「本当ですね。30日の20周年記念パーティーも楽しみです。」

A「何もやらないわよ。ただの立食パーティーだからね。沢山飲んで、沢山食べて頂戴ね。本当にささやかなお土産付きだから、 是非来てよね。」

S「もちろん行きますよ。宜しくお願いします。」

A「こちらこそ、宜しく!」

勝(以下M)「今晩は。」

A「あら、マサルちゃん、いらっしゃい。」

M「何ですか?何かあったんですか?それとも、二人のお邪魔虫だったりして・・・。」

A「やだやだ、違うってば。はい、おしぼり。」

S「勝さん、知らなかったんですか?今日は、ペンギンの20回目のお誕生日なんですよ。」

M「え〜、そうなんだ。全く知らなかった。アキちゃん、周年パーティーとかしないしね。でも、今年はするんでしょ、パーティー。 5月の30日だったよね。ちゃんと行きますよ。2日が本当のオープンだったんだぁ。そういえば、 いつもよりバラの数が多いよね。」

A「勝ちゃんは、何にしようか?」

M「それじゃ、俺は、う〜む、赤ワインにしようっと。アキちゃんも飲んで下さいね。」

A「ありがとう!遠慮なく頂くわね。」

S「それじゃ、みんなで乾杯しようよ。」

M「そうだね、かんぱ〜い!」

S「乾杯!・・・ねえねえ、今日勝ちゃんの持ってるのって、あのパンフレットじゃないの?」

A「何か観て来たの?勝ちゃん。」

M「今日ですか?え〜とですね、・・・。」

A「判った!<トゥルー・ウエスト>でしょ。そのパンフ。」

M「当たり!そうなんですよ。女の子ばかりで参っちゃったけど、芝居はなかなか良かったですよ。」

A「ジャニーズ事務所の二人もそこそこ良かったでしょ。」

M「アキちゃんも観に行ったんですね、そう言う所をみると。」

A「モチ、行ったわよ。知り合いが翻訳を担当してたからね。」

S「あ〜、それがこの芝居なんですか。ちょっとパンフ見せてくれます?」

M「はい、どうぞ。」

S「いや〜、立派なパンフですね。高そう!」

A「ちょっと高いわよね。芝居が¥8500で、たしかパンフレットが¥2000。二つ合わせたら一万越えちゃうもんね。 女の子たちも大変だわ。」

M「でもね、あの子達はそれでいいんじゃないかな?それで満足なんじゃないの?」

S「そうですよね、きっと。松岡と大野か。」

A「あら、仙ちゃん、どちらかのファンなのかしらん。」

S「どっちもダメですね。はははは・・・。手塚とおる、木内みどりも出てるんだ。」

M「出演者は四人だけなんだよ、仙ちゃん。でも、緻密に出来ている芝居だよ。ちょっと訳解らないけど、ね、 あきちゃん、そう思わなかった?」

A「そうね、サム・シェパードだもん。訳解んなくてもいいんじゃないの?」

S「訳解んなくてもいいって、そんなのアリですか?」

A「そういうのもアリよ。でもね、メッセージっていうか、そういう物はちゃんと有るのよね。」

S「何か、僕が観たら全く解らないまま終わっちゃいますね、きっと。メッセージが有ったとしても、 気付かないですよ、多分ね。」

M「でもさ、それがまた良いんじゃないかな?気付かなくても何かを感じる事が出来れば。」

A「そうね、それは言えてるわね。今回の<トゥルー・ウエスト>だって、ただ単に、ジャニーズの二人が出ているって事じゃなくて、 感じた何かが話題になれば良いな、って思っているんだけどね。折角良く演っているんだから二人とも。」

S「ちゃんとしているんですね、芝居自体は。」

M「俺も驚いたんだけど、ちゃんとしているんだよね。やっぱりジャニーズ事務所は厳しいのかな、レッスンが。 そこいらのアマチュア劇団とは大違いだったよね。アキちゃんもそう思うでしょ?」

A「そうね、全くその通り。ただ、やっぱり観客の反応がね、イマイチというか、・・・。笑いや拍手の場所が。 ちょっと芝居の腰を折られてしまうわね、あれじゃ。」

M「分かる分かる。トーストがいっぺんに焼けちゃう所とかだよね。あれ、参ったもの。何でここで拍手なの?ってね。」

S「その当たりがファンの怖さなんですかんね。下手すると芝居全体を壊しかねないですよね。」

A「まあ、この芝居に関して言えば、そこまでひどくはなかったけどね。ジャニーズのファンの子は、 お行儀は良いほうだと思うけどね。だから、全体を壊すまではいかないわよ。まあ、安心だから行ってくれば?」

S「そうですね、でも、¥8500かぁ、う〜む、考えちゃいますね。外に最近何か観ました?」

A「渡辺えり子が劇団として立ち上げた<宇宙堂>の<アオイバラ>。今回は、プロデュース公演じゃなくて、 劇団員を中心にした本公演なの。」

M「どんな話なのかな?<アオイバラ>って。」

A「そうね、これも解りにくいかも知れないけど、青い薔薇って無いじゃない。存在しない。夢よね、夢。 その夢を追い求めて行くような芝居かな。」

S「ちょっと今の時点でもうダメです。全く解りませ〜ん。」

A「渡辺えり子も言っているけど、テネシー・ウィリアムズの<ガラスの動物園>に登場するローラ。 彼女の存在が崩壊しかけた彼女の家族の中では、実は重要だったと後で判る。最初はどうとも思わなかった物の中に、 大事な物を見つける。」

M「なるほどね。埋もれている宝石を探す旅みたいなものだよね。」

S「益々わからない。で、幾らです?チケット。」

A「こっちは¥4000ね、指定席で。いいわよ、やっぱり。アッシ、渡辺えり子と同じ歳だから、 何か共感する物があるのよね。今回、外の役者さん達を極力抑えて、自分の劇団にいる若手中心になったけど、 芝居は有名、無名に関係無いなって。感動する時は、どんな人が出ていようと感動するんだなって思ったもの。」

S「結構いける。外にありますか?」

A「値段と芝居が納得出来るものを選ぶんだったら、Air Studioプロデュースの<ゴジラ>なんかどうかしらん。 ¥2500だし。」

M「ゴジラって、昔、劇団離風霊船(りぶれせん)がやったゴジラ?」

A「そうそう。もう20年近く前にやったやつ。」

S「どんな話なんですか?」

A「ゴジラの話よ。東宝映画のゴジラ。そのゴジラに恋してしまった娘と娘に恋してしまったゴジラの話。」

S「面白そうですね、これは。」

M「あれは面白かったよ。家族に説得するんだよね、なぜゴジラが好きかって。」

A「そうそう。ゴジラもまた、説得するのよ。哀しくて考えさせられる芝居よね。出演者はアマチュアに毛が生えた人が多いけど、 脚本が良いからやっぱりいいのよ、お芝居も。つまらない自作を上演しているアマチュア劇団より全然まし。 値段も手ごろだし、行ってみたら?」

S「そうですね、行ってみようかな?」

A「まずは行動よ。それに<生>はやっぱりいいわよ。良く出来た脚本もね。やっぱりいいわ。」

M「それにペンギンも。」

A「あら勝ちゃん、お世辞いっても何も出ないわよ。」

S「ねえねえ、もう一度乾杯しましょう、ね。」

M「そうだよね、乾杯しようよ。」

A「それじゃ、これからも宜しくね、乾杯!」

一同「かんぱ〜い!」

おわり

*今回紹介したお芝居は、
1)<トゥルー・ウエスト> 5/23まで
     東京グローブ座
2)宇宙堂<アオイバラ> 5/9まで
     ザ・スズナリ
3)Air Studioプロデュース<ゴジラ>
     5/10まで 東銀座エア・スタジオ

以上です。どうぞ足をお運び下さい。


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