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<意外や意外>の巻
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トニー(以下T)「こんばんは。」 あき(以下A)「あら、トニー。今日はずいぶん早いじゃないの。」 T「だって、あきさん、見ました?昨日のトニー賞。」 A「見たわよ。意外だったわね、<アヴェニューQ>の作品賞には。」 T「そでしょ、そうでしょ。だからさ、その話をしにきたんですよ。俺、見てないんですよ、新聞の記事しか。だから・・・。」 A「まあ、まあ、まず座って、それからね。はい、おしぼり。で、何にしようか?」 T「あ〜、すいません。今日はですね、自家製梅酒をロックで。」 A「トニー、梅は入れる?」 T「はい、お願いします。」 A「はいよっ、お待たせ。」 T「はい、どうも。いただきます。」 A「だけど、本当に意外だったわよね。」 純(以下J)「そうですか?僕は獲ると思ってましたけどね。」 T「あ〜、純くん、居たんだ。」 J「居ましたとも。トニーさん、あんまり興奮しているんで、何時挨拶しようか迷っていたところなんですよ。今晩は。」 T「あ〜、今晩は。で、純くんは、<アヴェニューQ>が順当だったと思ってるんだね。」 J「はい。面白かったですからね。」 T「あきちゃんはどうだったのかな?<アヴェニューQ>。」 A「アッシさ、観てないのよね。ニューヨークの友達に面白いから観れば、って言われたんだけど、他に観たい物があって、 見落としちゃったのよ。」 T「純くんは<ウィケット>とか、<ボーイ・フロム・オズ>とか、<キャロライン・オア・チェンジ>とかは観たの?」 J「<キャロライン・オア・チェンジ>はまだ観ていないんですよ。すごい評判だって聞いてたから、もしかすると、 最後の最後でこの<キャロライン・オア・チェンジ>が獲っちゃうんじゃないかな?って気もしていたんですけどね。」 A「アッシもそうなの。今、本当にすごい評判だからね。じゃあ、ちょっと、三人で、今年のトニー賞を振り返ってみない?」 T「いいね、それ。でも、俺見てないからな、会社があってさ。ヴィデオセットも忘れちゃったし。あきちゃん撮ってる?」 A「勿論よ。でもね、生放送だったじゃない。いらない同時通訳が入っているのよね。邪魔で仕方ないのよ。」 J「あれですね。僕もあれはどうかな?って。勿論、少しでも見ている人に分からせたいっていう気持ちは分からなくもないんですけど。 でもね、あの同時通訳だったら、いらないな、って思っちゃいますよ。」 A「それ、本当よ。一度抗議しなきゃね、NHKに。まあ、それはさておき、まず、オープニングからね。どうだった?純くんは。」 J「あれ、<ドリーム・ガールズ>の曲ですよね、<ワン・ナイト・オンリー>。好きなんですよ、あの曲。 今年も司会者になった、ヒュー・ジャックマンと、コーラスの3組の3人組が織りなす、関心するオープニングですよね。」 A「そうそう。良かったね、あのオープニングは。毎年、アカデミー賞もそうだけど、オープニングに関心しちゃうのよね。 もうこれで完全にノックアウト。向こうのショーは違うな、って。」 T「だから行きたくなっちゃうんでしょ、毎年。いや〜、早く見たいな。新聞の記事だけじゃね、やっぱり。」 J「あきさん、再放送あるんですよね。」 A「勿論よ。後で教えてあげるからね、トニー。」 J「で、受賞した物についてですけど、どう思いました?僕は作品賞は順当だな、って。まあ、みんなはきっと <ウィケット>が獲ると思っていたでしょうけどね。」 A「そうね、アッシもそう思ってたのよ。今年は絶対に<ウィケット>だって。まあ、残念だけど、 観てきた純くんが言うんだから、<アヴェニューQ>は素晴らしいんだろうけどね。今度行った時には絶対に観なきゃ。」 T「主演や、助演、演出は?なんか、新聞で<アヴェニューQ>が作品賞だって見ただけで、他の賞を誰が獲ったか、 見てないんだよね。」 J「トニーさん、よっぽどショックだったみたいですね。」 T「まあね。」 A「アッシね、他の受賞については順当だな、って思ってるのよ。純くんは?」 J「そうですね、<キャロライン・オア・チェンジ>だけは観てないんですけど、あとは観たから。」 A「今年のショーは、オープニングのあと、最初のプレゼンターにビリー・ジョエルが出てきたんだけど、 ちょっと危ない発言をしちゃたのね。それでドキドキだったんだけど、ショーは順調にいってひと安心。 助演女優賞で凄い!って思わせたのは、ストレート・プレイの方なんだけど、オードラ・マクドナルドが4度目のトニーを獲得した事ね。 彼女、ここのところ、ミュージカルじゃなくて、ストレート・プレイの方で活躍していて、これからも彼女の出る舞台は、 要チェックって所よ。」 J「彼女は4度目だったんですね。すごいですね、それは。僕が印象に残っているのは、ストレート・プレイで言えば、 <I AM MY OWN WIFE〜僕の妻は私>。オフからオンに上がってきた作品だけど、一人芝居で、ジェファーソン・メイズという役者が、 40以上の役を一人でこなすっていう、これも凄い事をやってのけて、この人以外に受賞はないな、って思ってたら受賞してくれて、 本当に感激しちゃいました。作品賞も獲ちゃったし。」 A「彼の評判も凄かったからね。アッシはね、彼にも獲らせたかったけど、映画<サウンド・オブ・ミュージック> でトラップ大佐を演じてたクリストファー・プラマーに獲ってもらいたかったのよね。」 T「まだ生きてたんだ。」 A「4月の終わりまで<リア王>に出てたのよ。彼の演技も評価が高かったけど、やっぱり冷静に見ても、 今回はピューリッツァー賞も獲った彼に行ったのが順当かもね。」 J「それより、僕が意外だった、というか、くやしかったのは、ミュージカル主演男優賞ですよ。」 T「多分、ヒュー・ジャックマンでしょ。」 J「そうなんですけど、僕はですね、あのちょっと下品な演技が駄目だったんです。確かに、彼の一人舞台みたいに、 凄かったけど・・・・。」 A「それは、少しは言えるかもね。まあ、トニー賞の中継を見れば分かるけど、ちょっと品がないところがあるわよね。 でも、アッシは彼しかいなかったんじゃないかな?って思ってたから順当ね。」 J「僕は、<リトル・ショップ・オブ・ホラーズ>のハンター・フォスターに獲らせたかったですね。」 A「ああ、分かるけどね、気持ちは。でも、<ユーリン・タウン>の時に比べたら、演出のひどさもあって、 イマイチだったからね。まあ、次に<プロデューサーズ>に出るらしいから、そっちを期待したら?」 T「え〜〜っ!<プロデューサーズ>に出るんだ。ちょっと濃すぎるかもしれないけど、それは楽しみだね。」 J「ミュージカル主演女優賞はどうですか?僕は、これも外れちゃったんですけど、・・・。」 A「アッシは獲ってほしいな、って思ってたから、嬉しい誤算だったかな。」 T「誰、誰?」 A「<ウィケット>に出ていたイディナ・メンツェルよ。」 T「確か二人ノミネートされてたよね、<ウィケット>からは。」 J「クリスティン・チェノウィスとイディナ・メンツェルですね。僕はこの二人じゃなくて、 ドナ・マーフィーだと思ってたんだけど・・・。」 A「評判高かったからね。でも、今年のこの部門は、すごい混戦。誰が獲ってもおかしくなかったんじゃないかしらん。」 T「ノミネートされてたのは、その3人の他に、<アヴェニューQ>のステファニー・ダブルッツォと、 <キャロライン・オア・チェンジ>のトーニャ・ピンキンスだよね。話題性から言ったら、トーニャが獲ってもよかったかも。」 A「そうね、アッシも、トニー賞が近づくにつれて、トーニャが獲るかな?って思ってきちゃったんだけどね。」 J「しかし、トニー賞でのパフォーマンスでは、喉を痛めていたせいか、イマイチでしたよね。」 A「そうね、あれは頂けなかったけど、向こうの役者さん達って、本番になると見違えるように良くなっちゃうから、 実際に観てみないとね。」 T「そうそう、リヴァイヴァル賞は<屋根の上のヴァイオリン弾き>かな?」 J「残念でした。ミュージカルが<アサシンズ>、ストレイト・プレイが<ヘンリー4世>。両方とも演出家賞も獲ちましたよ。」 A「<アサシンズ>はね、一度911(テロ)のすぐ後に上演する予定だったのが延びていて、ようやく上演できたから、 本当に嬉しかったと思うわね。アッシも昔オフで観て、是非再演してほしいと思っていたから嬉しいわ。でも、 限定公演だから、今回のプロダクションのは観る事ができないけど。」 T「ますますTV早く見たくなってきたな。あきちゃん、再放送って何時だっけ?教えてよ。」 A「ちょっと待って。え〜と、・・・あら、トニー、今日だわ。夜の7時半から。」 T「嘘だろ〜!勘弁してくれよぉ〜。」 J「大丈夫ですよ、ねえ、あきさん。確か今日のは2時間のダイジェスト版。後でノーカット版を放送すると思いましたけど。 そうですよね、あきさん。」 A「はい、その通り。20日の深夜にノーカット版が放送されるわよ。」 T「いや〜、安心した。でもさ、アメリカじゃ、トニー賞の放送自体が、視聴率の低下で危なかったっていうのに、 日本では、生放送を含めて3回も放送しちゃうなんて、意外だよね。」 J「僕にはトニーさんが演劇好きだったて事の方が意外でしたよ。」 T「純くん、知らなかったの?俺が芝居好きって。本当に好きなんだよね。ねえ、あきちゃん。」 A「そうよ、もうず〜っと前から。昔はロンドンとかにも行ってたわよね。」 T「そうだな、もう20年近く前だよ、それも。あっ、そうだ。今度さ一緒に行く?何かいいの捜して。 ねえ、純くん、行こうよ。」 J「本当ですか。嬉しいなぁ〜。一度一緒に行きたかったんですよ。でも、トニーさん、お芝居に興味なさそうだったから。 行きましょうよ。」 A「あら、意外な展開・・・・・。」 T「あきちゃん、何か言った?」 A「いえ、な〜んにも。」 T「それじゃ、いいんだけど。はい、お代わり。純くんのも作ってあげて。」 A「あいよっ!・・・・(頭の中で)まあ、いいか。うふふふ・・・。」 T「まだぁ〜、早く、早くぅ。」 A「ホント、意外だわ。」 おわり *登場人物は全て仮名です。 *今回紹介した<2004年トニー賞>は6月12日の午後7時半からと、21日の午前0時40分からNHKのBS2で放送されます。 是非ご覧くださいね. |