魔法記録書−上級魔法・禁忌の魔法−

 数ある魔法の中でも、特に何度が高いもの、または特に禁忌とされているものが存在する。たいていは魔術師の名を貶めるような野蛮なものであるか、危険な存在や知識との接触を図るものである。ことに現界に重なって存在している異なる世界に干渉する術については、賢人や同業の魔術師によって厳しく監視されているのがふつうである。


assassin's dagger

 恐ろしい幻覚の魔法。術者の指定した任意の目標に対してこの魔法を唱えると、相手の目の前に短剣を持った人影の幻覚が現れて襲い掛かる。幻覚は目標にのみ見る事が出来、本当に傷付け、殺す事が出来る。魔法を解除するか、目標が幻覚を倒すまで効果は持続し、他人が手助けする事は出来ない。人影でなく怪物の幻覚が呼び出される場合もある。

assume shape

 変身の魔法であり、術者が望むあらゆる動物に姿を変える事が出来る。変身は速やかに行われ、暫くの間持続する。術者の知性は残されたまま変身した動物の能力を自在に使用出来るが、余りにも大きな動物や余りにも小さな動物には変身できない。また、変身する動物は術者が良く知っているものに限られ、この魔法で亜人や怪物に変身する事は出来ない。

banishment

 この魔法は不死の怪物、魔法生物、魔人等自然ならざる存在に対して効果を発揮し、術者の指定した任意の相手を追い払い、消滅させる事が出来る。対象がより強力な存在である程、術者には強大な能力が求められる。強大な魔術師が用いる事で極低級の怪物を消滅させる事がせいぜいであるが、普通の死体にこの魔法を掛ける事で怪物化を防ぐ使い方もある。

bless

 神々に師事を受ける聖人が用いる事がある儀式であり、特定の人間や物体に対して祝福を授ける。人間であれば特別な困難の時に思わぬ幸運が訪れたり、例えば祝福された武器や聖水は不死の怪物や魔物に致命的な傷を負わせる。このような祝福を行う事が出来る人物は大陸でも極僅かであり、出会えるには余程の幸運が必要であろう−神々の祝福を受けたかのような!

command

 知能の低い生き物に対して効果があり、この魔法を唱えると、目標を意のままに操る事が出来る。但し、目標を直接傷つけるような命令や、その生物の能力を越えるような命令を与える事は出来ない。また、この魔法は知性の高い生き物や複数の相手には効果が無く、また、余り長い時間は効果が無いので注意が必要である。

control weather

 膨大な儀式を伴う魔法であり、術者を中心とした広い範囲内の天候を操作する事が出来る。曇りがちの場所に雨を降らせたり、寒冷な地域に雪を降らせる程度なら簡単な儀式で済むが、砂漠に大雨を降らせたり、氷指山脈に酷暑の気候をもたらそうとすればより大きな儀式が必要になる。魔法の効果範囲や時間は無制限だが、術者の能力と体力が現実的には制限を設ける事になる。

create device

 生物を除くあらゆる非金属に対して掛ける事の出来る魔法で、任意の物質に特定の言葉や音声を封じ込める。封じられた言葉は予め用意した合言葉によってのみ再現される。伝言として用いる他、高位の魔法使いになると巻き物や杖に魔法の呪文を封じ込める事も出来る。再現された言葉は消滅し、効果を失う。

create familiar

 術者が任意に選んだ小動物を、使い魔として自在に操る魔法である。小動物は蛙から猫程度までの大きさに限られ、魚や昆虫を使い魔にする事は出来ない。使い魔が死ぬまで効果は永続し、術者は使い魔の感覚で得た視覚や聴覚を共有する事が出来る。また、使い魔は一人の術者に一体と限られている為、通常は空が飛べたり夜目が利いたりする生き物が選ばれる。

create zombie

 禁忌とされている魔法であり、死体を不死の怪物として蘇らせる。四肢が揃っている死体に対して効果を発揮し、鈍重に起き上がる。魔法は怪物の身体が完全に崩壊するまで持続し、術者の命令に服従するが、簡単なもので無ければ理解する事が出来ない。また、術者の能力と儀式次第で、より強力な怪物を作り出す事も可能である。

curse

 邪悪な魔術師が最後に用いる代表的な魔法であり、任意の対象に恐るべき呪いを掛ける。呪いに掛かった相手は毎日徐々に体力を失い、適切な方法で解除しない限り、如何なる方法を用いてもこれを回復させる事は出来ない。呪いの効果が切れるまで、術者自身も毎日体力を失う事になるが、これを回復させる事は可能である。効果は呪いを解かれるか対象が死ぬまで持続する。

finger of death*

 恐るべき死の魔法である。あらゆる生物に対して効果があり、術者が目標に指先を向けてこの魔法を唱えると、避け難い死を迎える。魔法は一定期間を置いた後に発現し、速やかな死を招来するが、如何なる手段を用いてもこれを解除する事は出来ない。術者は死の代償として、自らの寿命を一年減らす事になる。

fire ball

 術者の掌から、人間の拳から頭程の大きさもある火の玉が飛び出す魔法である。火に耐性の無い殆どの生き物に対して致命傷を与え得る強力な戦闘魔法であるが、術者は大きく体力を消耗する。普通は直接的な戦闘魔法は禁忌とされる事が多く、これらの魔法は魔術師の間でも殆ど用いられる事が無い。

force bolt

 力場や障壁を生み出す力で、目標を弾き飛ばす魔法である。術者が至近の目標に向けて片手を翳して呪文を唱えると、目に見えない衝撃で相手は転倒したり後退させられる。この魔法自体に致傷能力は無いが敵を遠ざけ、或いは罠や断崖に追い込む等使い方によっては致命的な結果を齎す。魔法は物理的な壁や障壁によって防ぐ事が出来る。

force field

 極めて強力な防護の魔法であり、この魔法を唱えると術者の周囲に球状の力場を作り出し、身を護る事が出来る。魔法を唱える事による体力の消耗が大きいが、力場は殆ど全ての物理的な衝撃や魔法でさえも弾き返す。精神を集中している限り効果が持続し、術者の意志次第で力場を動かす事も可能である。

forget

 相手の精神に働きかける魔法であり、術者が触れた相手のあらゆる記憶を奪い去る。言語や幼児が持つ程度の一般知識は維持されるが、自分の名前や魔法の呪文を含む、殆ど全ての知識が失われる。効果は一定時間持続するが、スローベンの魔術師はこの魔法が永続する罠の扉を作り出し、恐るべきスローベン・ドアとして知られている。

illusion

 術者の指定した任意の場所に、一定時間持続する幻影を作り出す魔法。視覚と音と動きとを伴い、術者が見える範囲にいる限り、自在に変化させる事も出来る。術者が視界から離れた場合も効果は持続するが、単調な繰り返しの動きしか出来なくなる。触れられれば幻覚である事が分かるが、それによって幻影が消える事は無い。この魔法で何かある場所に何もない幻影を重ねる事は出来ない。

imitate

 しばしば魔術師が重要な書庫や財宝を護る為に用いる優れた物質変化の魔法である。扉の取っ手や小さな箱等を変質させ、殴り付ける拳や噛み付く蛇に変える事が出来る。予め魔法を掛けておき、誰かが触れた時点で発動する。触れた相手に襲い掛かった後、暫くすると元に戻るがこれを破壊してしまえば魔法の効果は失われる。

language

 術者に叡智を齎す言語理解の魔法であり、唱えるとあらゆる言語で書かれた文章を理解出来るようになる。効果は暫くの間持続し、話したり聞いたりした言葉を理解する事は出来ない。賢人や魔術師が古代の遺跡に入り込み、途方も無い昔に書かれた書物や記された異界の言葉を調べる為に用いられる。この魔法で暗号を解く事は出来ない。

lost

 高度な透明の魔法であり、一時的に術者の実体を消失させてしまう。消失している間は魔法を含むあらゆる干渉が不可能になり、姿も見えず、感知も出来ず、術者自身が何かに触れる事も出来なくなる。壁などを容易に通り抜ける事が出来るが、消失した状態での移動は歩行速度と等しい。魔法は術者が精神を集中している間持続し、その間術者は体力を消耗し続ける。

master of times and spaces*

 長い間その存在のみが語られ、謎とされてきた禁忌の魔法である。時間と空間を支配し、術者の存在を他の時空に転移したり、時間の順番を入れ替える事が出来る。過去と未来を移動し、相手を殺した後で殺す事さえ可能になる究極の魔法である!膨大な体力を消費し、制御を誤れば術者はこの世界から完全に消え去ってしまう。

petrify

 恐ろしい石化の魔法である。生き物一体に向かってこの魔法を唱えると、四肢の先が硬直し、徐々に石と化していく。全身が石化する前に術者が倒れるか魔法を解除すれば助かるが、さもなければ完全な石像となり、二度と復活する事は無い。魔術師の間では禁断の魔法とされている。

polymorph

 極めて強力な変身の魔法であり、特定の相手を小動物に変えてしまう。人間大の相手までにしか効果が無く、変身させる小動物も蛙から猫程度までの大きさに限られ、魚や昆虫に変身させる事は出来ない。もとの知性は変身前と変わらないが、会話が出来るかどうかはその動物次第となる。この魔法は衣服等には効果を及ぼさず、術者が魔法を解除しようとするまで永続する。

remove curse

 あらゆる呪いを解く事が出来る魔法であるが、実際に呪いを解く為には術者自身の実力と相応の儀式が必要となる。呪いを掛けた相手の能力が高く、呪いを受けてから経った日が長い程、呪いを解くのは困難になり厳しい儀式が必要になる事が多い。儀式は様々であり、仮面と薬草の魔法を用いる癒し手の儀式は有名であるが、自らを鞭打たせる激しい儀式も存在する。

regeneration

 非常に強力な癒しの魔法であり、任意の生物一体に対してこの魔法を唱えると、あらゆる傷や欠損が再生し、回復する。物理的な負傷である限り、失われた四肢を再生する事も出来るが、毒や病気、呪いに対しては一切効果が無い。また、既に死亡した生物の負傷を癒す事も可能であるが、それにより生物を蘇生させる事は出来ない。

shape exchange

 特定の生き物を対象にして掛けられる魔法であり、術者と相手との身体を交換する事が出来る。知識や精神は完全に入れ替わるが、体力は身体の物になる。効果は術者が任意に解除しない限り永続し、仮に術者が死んでも元には戻らない。但し、一度この魔法で身体を入れ替えた者にもう一度この魔法を唱えても効果は無く、或いは新しい魔法が優先されて今までの効果は解除される。

speak to Being

 儀式を必要とする魔法であり、魔法陣を用いて異界の存在を呼び出し、話し掛ける事が出来る。summon Beingに似た儀式が必要となるが、遥かに危険度は低い。効果は会話が終了するまで持続し、術者の問いに答えてくれるが、必ずしも望む回答が得られるとは限らない。また、この時相手の言語によらず互いの意思を伝える事が可能である。

speak with the dead

 儀式を必要とする魔法であり、遥か昔に死んだ人間の魂を呼び出して話し掛ける事が出来る。対象の死体かその一部に対して魔法を掛けると、目の前に死者の霊が呼び出される。効果は会話が終了するまで持続し、術者の大抵の問いに知る限りの事を教えてくれる。また、この時相手の言語によらず互いの意思を伝える事が可能である。

spectacular image

 強力な幻影の魔法であり、術者の視界の届く範囲の相手全てに対して地割れや雷鳴、津波等の荘厳な映像を感じさせる事が出来る。幻影自体を打ち破る事は不可能であり、相手は自分が実際にそれらを体験しているような錯覚を覚える。宗教的な儀式や煽動に用いられる事が多く、術者の使い方次第で想像を超える効果を発揮し得る。

Staff to Snake 2008.08.24

summon Being

 魔法陣を描き、異界の存在を召喚する魔法。儀式を必要とする魔法で、runeを刻んだ陣、香料、長い魔法の詠唱を伴う儀式の後に召喚される。魔人や精霊を呼び出す事も可能で、術者が制御し得る限り効果は持続するが、行動や命令を行う度に膨大な精神の集中を必要とする。失敗した場合の結果は常に致命的なものである事が多く、賢明な者は普通試みない。

summon insectplague

 強力な召喚の魔法であり、毒や疫病を持つ羽虫の群れを呼び出す。目標に襲い掛かり、あらゆる生物に致命の被害を与える。武器や炎を用いてもこれを追い払うのは困難であるが、虫除けの魔法や薬はこれに対抗する事が出来る。魔法の持続時間が切れた時点で羽虫の群れは送還され、完全に姿を消すが毒や疫病の効果は残る為に慎重な対応が要求される。

teleport

 この魔法を唱えると、術者の良く知っている場所に一瞬で移動する事が出来る。一切の障害物を無視し、また、移動先に障害物が置かれていた場合はそれを避ける事が出来る。術者自身と最大人間一人程度の大きさの荷物を運ぶ事が可能であり、術者が一度でも訪れた事があって、その場所の事を良く記憶さえしていればどんなに遠くへでも移動する事が出来る。

wall

 この魔法を唱えると、術者の前方に頑丈な不可視の壁が現れる。壁を維持するには相当な体力を消耗するが、殆ど全ての衝撃や魔法を通さず、また、術者の意思で自在に動かす事も出来る。より熟達した魔術師には、この壁を土や炎、蒸気から作り出す事も可能であり、こちらは通過される場合こそあるが、その材質に相応しい被害を相手に与える。

web

 力場を作り出す魔法の一種であるが、目標の頭上の広い範囲に重い巨大な網を投げ掛ける。網は目で見る事が可能であり、如何なる怪力や刃物でもこれを切る事は出来ない。網を抜け出すまで無防備な状態になる。効果は一定時間持続し、より高度な、或いはより邪悪な魔術師は蜘蛛のように粘性のある網を用いたり、鋭い刃を持つ網を用いる事がある。

word of sorcery!

 特殊な魅了の魔法であり、術者が紡ぎ出す言葉自体に掛けられる。その声を聞くあらゆる相手を説得したり騙したりしやすくなる。相応の論旨や演説が必要になるが、特に傍聴者に対しては効果が大きく煽動や同盟を行う際に利用出来る。意思の強い者なら抵抗が可能であるが、用い方によっては極めて危険である為、厳しく禁じられている魔法である。

zap

 突き出した人差し指の先から雷を放つ魔法である。大岩も砕く程の衝撃を持つ強力な戦闘魔法であり、電気に対する防御手段を持たないあらゆる対象に甚大な被害を負わせる。術者は体力を大きく消耗する。直接的な戦闘魔法は禁忌とされている事が多く、これらの魔法は魔術師の間でも殆ど用いられる事が無い。


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