反物質生命体Kage

kagegame

掲載:マイコンBASICマガジン 作者:YAMI様

 通称ベーマガことマイコンBASICマガジンに掲載されていたものです。プログラムは妙に長いですが、そのほとんどはBGMで流れる石川ひとみの曲と、ブタ丸パンツを参考にしたらしいグラフィックデータに使われていて、それだけ聞くと単なるビジュアル重視の作品に思えるかもしれませんが、これがなかなか個性的なアクションゲームに仕上がっています。タイトルが当時の編集者KAGEさんに関係あるのかどうかは不明。

 主人公は赤いブタのトンペイ君で、敵は黒いブタのKAGEが二匹。プレイヤーは赤いブタを遠隔操作することができますが、ブタが五歩歩くと通信機のエネルギーが充電されて一回だけ命令をすることができます。命令は上下左右に向きを変えるかレーザーを撃つことで、命令するとエネルギーが切れるので次に五歩歩くまで待たなければいけません。レーザーは赤いブタの目の前にまっすぐ発射されて、これが黒いブタに当たるとブタの数が二倍に増えます。黒いブタに当たらないようにしながら三十匹より増やせばそれ以上増殖できなくなり、ゲームクリアになって終了です。
 黒いブタを増やすことが目的ですが、ブタを増やせば当然避けるのも難しくなりますし、命令が五歩に一回しか与えることができない点がゲームバランスを絶妙なものにしています。例えば黒いブタに向けて歩きながら、レーザーを撃って向きを変えるには十歩歩く必要があって撃たれても黒いブタは消えるどころか増えますのでブタたちの距離や位置を予測しながら命令しないといけません。命令をしなければエネルギー充電状態が持続されるのと、壁に当たると跳ね返る動きまで利用しつつなるべくまとめて黒いブタを増やすのが理想です。だいたい二十匹くらいまでは増やせると思いますが大変なのはその後で、処理落ちしまくる中でぎりぎりの戦いをする緊張感がたまりません。

 先述したとおりプログラムのほとんどはBGMと、四方向に二パターンずつ用意されているブタのグラフィックデータでプログラムもさほど工夫が見えるものではありません。MSXの性能ではブタの数が32を超えると処理しきれなくなってエラーが起こるので、そのときに出るエラーメッセージをクリアメッセージに変えているのが面白いと思います。わりと当たり前のコマンドだけを使ったプログラムで、ものすごく処理落ちをして、にも関わらずぎりぎりの攻防が面白いという見事なアクションゲームです。
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