銀河ローマ帝国英雄列伝
「不死身の」ガイウス・ヘクトール・アウレリウス中将
東ローマの誇る四将軍の筆頭格であり、遥か昔、ローマ帝国に叛旗を翻した将軍ヘクトールの後裔であることを公言してはばからない人物。攻防のバランスに優れており、地味で華麗さはないが用兵は力強く、決して崩れることがない安定感を持つために同僚や部下からは最も信頼されている将軍である。戦艦ロンデニウム搭乗。
戦役後は東ローマを代表する指揮官として数多の戦役に参与。遠くゲルマン星系から侵入を試みる侵攻軍の撃退に尽力した。
「ディオニュソスの愛しき」ダリア=ハルトロセス中将
東ローマの誇る四将軍の一人。東方ギリシア星系で親しまれていた豊穣と酩酊の神であるディオニュソスを愛する、東ローマでは珍しい破天荒な赤毛の女性提督。指揮卓においても命の水と称する酒瓶を手放さないが、戦場における実力では不死身のヘクトールに勝るとも劣らない英傑である。女性ながら退役後に造営官、国務官を歴任、あまりに享楽的な祭事を行ったために後代の評判は悪いが、民衆からは絶大な支持を受けた。
旗艦ハイラントは東西ローマ両軍を通じても最も美しい戦艦であったと言われる。
ピナル・アルトゥア中将
東ローマの誇る四将軍の一人。自他ともに認める強硬な軍事至上主義者であり、老齢ながら、全軍に並ぶ者とてない猛将である。戦艦ヴァスパシアンを最先頭に前進、突撃、攻勢をモットーとしており、その破壊力は比類ないが守勢にまわると脆く戦場では大勝か大敗の何れかであることが多い。多くの兵士が彼の部下となることを嘆く一方で、同時に部下の兵士から最も熱烈な支持を受けている提督でもある。
戦役後も志願して最前線を転戦、2年後のアルボガストの動乱で戦死。
コルネリウス・アエミリウス中将
東ローマの誇る四将軍の一人。没落貴族出身の若い野心家で、出世の手段として軍人を選んだと常々称している。その為か、同じく強硬論を唱えがちなピナルとは何かにつけて気が合うことが多い。「端正だが険のある顔」と一部の史書に記されている。
戦艦カンパーニアに乗船、性格の割りに安定した用兵を好み、戦役後も東ローマの提督としてゼフェルとの両輪で長く活躍する。アルボガストの動乱で乗艦を撃沈された後、修復したピナルの旗艦ヴァスパシアンに乗り替わった説話は有名。
「海賊女神」レオーナ・シロマーサ大将
上官から奪いとった総旗艦ダイダロスを駆る、隻眼の女性提督。海兵隊出身の生粋の軍船乗りで、性格は謹厳実直とはほど遠い。異名に違わぬ豪快な急襲戦法を好み、特に自ら装甲服に身を包んで白兵戦に参与した例は数しれない。プライベートでは類稀なる色事師としても勇名を馳せており、後に武勇伝や伝記の主人公として広く知られる怪人物である。
戦役後の消息は不明。余りに言い伝えが多く、どれも真偽のほどが不明であり一説には彼女の実在を疑う説も存在するほどである。
カルレット・ザリエル中将
一介の兵卒から士官を経て提督となった、たたきあげの将校。その経歴にはレオーナと並び不明な点が多いが、徴兵制を嫌った当時の西ローマが志願兵を募った際に、属州補助軍として参与してから戦場で出世したとする説が一般的。皮肉屋で不遜な言動により敵が多いが、本人は気にする風もない。戦艦エウリュティオン乗船。
一時、降格された後に遠ヒスパニア属州総督付でアフリカ星系にあるマウリタニア王国への外交使節として復帰、その後の消息は不明。同国の王子になったという伝説もあり。
「信仰の娘」ヨハンナ・ガリアヌス中将
生真面目で信心深い女性提督。流麗な外見に似合わず生来の性格か、積極果敢、攻撃的な用兵を好み、一方で柔軟さに欠けて融通が利かない一面もあり、その為に大敗を喫したこともある。同僚や上官からは「ヨハンナちゃん」と呼ばれてからかわれるが、数少ない常識人でもある。戦艦アキピテルに搭乗。
司教アンブロシウスの統括する教会軍に編入され、その後も混迷する西ローマの防衛や叛乱鎮定に奔走する。歴史上の評価以上に教会での評価が多く伝わる。
ゼフェル・クレンダス中将
同僚からも上官からも「気の弱い青年」と見られている、線の細い士官学校出の青年提督。慎重で積極性に欠ける用兵が更にその評判を後押ししているが、守勢に強く、退却戦でも常に最前線にあって指揮をとる姿が意外に部下の信頼を受けている。その粘り強さに一部では皮肉っぽく「小ヘクトール」と揶揄されているとの噂も。
戦役後は一時、予備役に入っていたがその後東ローマに編入、常に最前線に駆り出されて三十年以上も現役であり続ける。乗艦は戦艦ケーニギン・ティガー。
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