My Favorite Tricks

Giant B'Wave

 

Giant B'Wave

1999/2/11

最初に

メンタルマジックの名人、マックス・メイビンが数年前に売り出したトリックです。($25.00) 

これは名前のとおり、縦が30センチ、横が20センチくらいある大きなトランプを使います。これが発売される数年前から、普通のトランプの大きさで行うものは販売されていました。 どちらもタネの原理はまったく同じで、値段はこの「ジャイアント・タイプ」の半額以下なのですが、お薦めするのはこの「ジャイアント」のほうです。この大きさですと、相当広い会場でも十分見えます。クロース・アップ・マジックのときにこれを使っても全然問題ありません。むしろクロース・アップでこれを使うと、指先のテクニックなど使えないことがわかりますから、観客も現象に集中できます。

90年代に発表されたメンタルマジックだけでも1,000を越えるでしょうが、これは90年代を代表するベスト5に入るでしょう。

現象

マジシャンは大きなトランプを4枚、手に持って登場します。観客には裏の面を向けていますので、表は見せませんが、持っているのは「クイーン」、つまり、日本で言う「12」のトランプであることを説明します。

観客に一人、舞台に出てきてもらいます。

トランプにはダイヤ、スペード、ハート、クラブと4種類ありますが、4枚のクイーンの中で、観客に1枚だけ心の中で思ってもらいます。しかし、マジシャンはこの観客が何のクイーンを選ぶか、すでにわかっていると宣言しておきます。勿論、観客は4種類のうち、何を思ってもかまいません。

たとえば観客が、「スペードのクイーン」を選んだとします。 マジシャンが手に持っている大きな4枚のトランプを裏向きのままゆっくりと広げると、一枚だけ表向きになっているクイーンがあります。それがまさに「スペードのクイーン」なのです。さらにそれを抜き出し、裏を見せると、それだけ裏模様の色が違います。残りの3枚はすべて「青裏」なのに、観客が選んだスペードのクイーンだけが「赤裏」です。

マジシャンは、昨日からこの観客がスペードのクイーンを選ぶことがわかっていたのです。それをはっきり証明するために、残りの3枚を表向きにすると、なんと、3枚とも表には何も印刷されていない、真っ白なトランプなのです。 本当に3枚とも何も印刷されていないトランプで、表面全体を見せることができます。

コメント

最初の現象は、観客の思ったマークのクイーンだけが表向きに現れるというものです。ここだけ読むと、ダイ・ヴァーノンの「ブレイン・ウエーブ・デック」を簡単にしたものに過ぎないと思うかも知れません。また、確率的にもブレイン・ウエーブは一組のトランプを全部使い、その中で一枚、まったく自由に思ってもらうため、ブレイン・ウエーブのほうが効果的だと思うかも知れません。

しかし、実際にやってみると、この4枚しか使わない「ビー・ウエーブ」のほうが、むしろ観客は驚きます。この結果は私も予想外でした。

「ブレイン・ウエーブ・デック」は、当たる確率は1/52です。こちらはわずか1/4です。難易度から言っても、「ブレイン・ウエーブ・デック」のほうに軍配があがってもよさそうなのに、そう言えないのはなぜでしょう。このマジックには、どこにそれほどのインパクトがあるのでしょう。

ひとつは、最後に残りのすべての3枚を見せると、そこには何も印刷されていないことがわかりますから、本当に「スペードのクイーン」しかないことを納得します。マジシャンが指先のテクニックを使って、「スペードのクイーン」を素速くひっくり返しても意味がないことがわかります。また、これほど大きなトランプですから、どんなに速くやったところで、「目にもとまらぬ早技」で、何かをするのは不可能だと観客もわかるでしょう。

是非一度、やってみてください。これは実際、テクニックは不要なので、私も何度か、マジックをまったくやったことのない人に指導しました。「魔法都市日記(15)」でも、修学旅行に行く高校生に教えたときの話を紹介しておきました。

ただ、簡単とは言え、いくつか注意する点はあります。それは「セリフ」です。このマジックはセリフがすべてなので、解説書のセリフをしっかり読んで、それを忠実に守ってください。私は、上記の高校生に教えたとき、いくつかのポイントを付け加えながら、台本を一緒に作り、それを覚えてもらいました。 それとハンドリングです。これは立って演じることが多いので、トランプの持ち方やひっくり返すときの動作などを、しっかり事前に確認しておいてください。これをやらないと、もたもたしたり、無駄な動作が入り、見苦しくなります。

あと注意する点は、一番最後で白いトランプを見せる部分です。日本でこれをやっている人の演技を見たり、日本語のカタログを読むと、「最後に、残りのトランプにおまじないをかけると白くなる」となっているものがあります。誤解しないでください。これは何もトランプを白く変化させるマジックではありません。

そのようなことを強調すれば、メンタルマジックでなくなってしまいます。そうではなく、現象のところでも書きましたように、「昨晩から、予言に確信があったのでスペードのクィーンだけを持ってきて、あとは何も印刷されていない真っ白のトランプを持ってきた」という演出で見せてください。

観客にしても、いくら1/4の確率とはいえ、マジシャンがそこまで確信をもっていると、一層不思議に感じます。

追加:これが発売されて数年になりますが、現在でも人気のある商品ですので、アメリカであれば、ハンク・リー、タネン等、大手のショップには大抵あります。($25.00)

魔法都市の住人 マジェイア

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