マジシャン紹介

マイケル・スキナー

Michael Skinner (1947-1998)

Michael Skinner

 

2000/8/3(一部追加)
1999/1/17記


アメリカのクロース・アップ・マジック専門のプロマジシャン。ダイ・ヴァーノンやエディ・フェクターに指導を受ける。ラリー・ジェニングス、ブルース・サーボンなどと並んで、ヴァーノンの高弟のひとり。

ハリウッドにあるマジック中心のナイトクラブ、マジック・キャッスルやラスベガスで長年クロース・アップ・マジックを見せていました。 ラスベガスは、芸人であればたいていの人がここに出演することを目標にしていますが、ショービジネスの現場としては最も厳しいところです。マイク・スキナーはここで20年ほど見せていたのですから、それだけでも実力がどれほどのものかわかるでしょう。ポール・ハリスで1ヶ月、あのラリー・ジェニングスでさえ3ヶ月で解雇されているのですから、どれだけ厳しいところかわかると思います。エンタテイナーとしての力、雰囲気、そのようなものがすべて一定の水準を超えていないことには、とても20年もラスベガスで専属契約を結べません。

彼のマジックを一言で言うなら、「洗練されている」ということに尽きるでしょう。 どうすれば自分の演じるマジックがきれいに見えるかということに最大の関心があった人です。トランプを一枚、テーブルから取り上げるときでさえ、最もスムーズで、きれいに見える方法を常に意識していました。

日本には1972年、1973年に来日しています。私が初めて出席した外国人のレクチャーがマイク・スキナーであり、このとき見せてもらったトリックの数々は、どれもゆっくりとした動きの中で演じられ、一切無駄な動作がなく、見ていてもほれぼれとするようなものでした。同じヴァーノンの高弟と言っても、ラリー・ジェンニングスが「鬼っ子」という雰囲気なのに対し、スキナーはいかにも「正統派」を感じさせる、お行儀のよい弟子といった感じでした。

昨年(1998年)、51歳という若さで突然亡くなりましたが、亡くなる直前に7本ビデオを出したのが遺作となってしまいました。昔の若い頃の演技を生で見ている私としては、ビデオの中で演じている手つきがおぼつかなく、手が震えていることが信じられない思いでした。ビデオが発売された直後に亡くなりましたから、ここ数年は体調もよくなかったのでしょう。

2,3年前にはハードカバーの本、"Michael Skinner Classic Sampler"を出しています。載っている作品はいずれも簡潔ですっきりしたものです。

技術的にはクロース・アップ・マジックを専門にしているマジシャンの中でも現在最高レベルであり、大阪奇術愛好会の宮中桂煥氏にたずねたところ、クラシック・パスに関しては世界でもNo.1であったそうです。とにかく、彼のクラシック・パスは全然「見えない」そうです。これがビデオに残っていたらよいのですが、残念ながらそれはビデオには撮らせていないようです。

技術ばかりでなく知識という面でも屈指の人です。古典を大変よく勉強しており、ヴァーノン同様、完全なオリジナル作品というものは少ないのですが、古くからあるトリックを彼のセンスで一ひねりしたものが多く、それはどれもすばらしい作品に仕上がっています。

彼も亡くなる直前まで本物のパフォーマーとして活躍していた人ですから、ビデオはほとんど撮らせていなかったのですが、昨年、相次いで7本が出ました。

"MICHAEL SKINNER'S Master Teach-In Series"
Volume One:The Linking Rings
Volume Two:The Color-Changing Knives
Volume Three:The Ring on The Stick
各巻$12.50

以上の3本は、ワン・トリックだけを解説したものです。

カードマジックを中心にしたものでは"Professional Close-Up Magic"全4巻セットがあります。
(各巻$29.95、4本セット $110.00)

特にこの4本セットのビデオはお勧めします。カードマジックが好きな方でしたら買っておいて損はありません。

 

魔法都市の住人 マジェイア


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