POSEIDON→LIZARD→ISLANDS(2000.03.12)

 'King Crimson 30th Anniversary Edition'シリーズの第二弾が三枚まとめて発売されました。。
一般に中期Crimsonと言われる時期の'IN THE WAKE OF POSEIDON'、'LIZARD'、'ISLANDS'の三作品です。
まあ、やはりファーストや後期Crimsonあたりの作品と比べるとちょっと下に見られている作品ではあるのですけど、
それなりに味わいもあり、そしてこの頃のFripp & Sinfieldコンビが中心となった時期の作品であり、この二人と他のメンバーの関係とか、背景も複雑なのです。
今回も24bit Digital re-master、初回はアナログ盤と同様の紙ジャケを使用、加えてシースルーのピュアゴールドCD仕様です。。
では、そんな三作品を。


IN THE WAKE OF POSEIDON まずはファーストアルバム発表後のUSツアー終了と同時にCrimsonの中心人物(一人は重要なコンポーザ、一人はCrimsonの前身'Giles , Giles & Fripp'のリーダ)であったMcDonald & Gilesが脱退、しかもGreg Lakeも既にEL&Pの結成に動き出すという、まさにCrimsonが分裂、そして消え去るのも時間の問題とも言われていた訳ですけど、Fripp & Sinfieldはバンドを解散させない事を決め、セカンドアルバムは、多数のミュージシャンをセッション扱いで参加させ、二人で作品全体をプロデュースする事としました。
それが、'70年に発表された'IN THE WAKE OF POSEIDON'という訳です。
このアルバムには後に正式メンバーとなるMel CollinsVocalとして一曲のみの参加だったGordon Haskellも参加していますが、この時は契約問題等も含めて、正式メンバーとしてのクレジットはありませんでした。
又、このアルバム発表前にシングル'Cat Food'を発表していますけど、参加ミュージシャンはFripp & Sinfiledの他、既に脱退していたMichael GilesCrimsonスタート時に解雇されたPeter GilesBassに、Pianoにフェアリーオーケストラの企画を実現する為の協力者を捜していたKeith Tippett、まだ一応正式メンバー扱いだったと思われるGreg LakeVocalというかなり変則的な編成で製作されています。
何せ、B面に収録された'Groon'に至っては、演奏内容は別として'Giles, Giles & Fripp'という編成なのですから。
まあ、Fripp翁も当時は背に腹は代えられなかったのでしょう。
それは、一般的に言われているとうり、ファーストの成功の二匹目のドジョウを狙った当時のアナログ盤のA面の作りなんか、まだFripp翁も冒険出来なかったのが、良く判ります。
収録曲も、'PICTURE OF A CITY including 42nd at Tredmill'はファースト発売後のUSツアーで既に演奏されていた'A Man, A City'の改作(っても殆ど同じ??)だし、'CADENCE AND CASCADE'と言えば、McDonald & Gilesが曲を持ち去り、歌詞はFripp & Sinfieldが持っていったってのは有名な話だし、当時のアナログ盤のB面を占めていた'THE DEVIL'S TRIANGLE'もファースト時代からライブではハイライトとして演奏されていた'MARS'だしと、やはり未だ完全なFripp & Sinfieldの書き下ろし作品だけで構成することは無理があったのでしょう。
多分Fripp & Sinfieldの名刺代わりだったのは、タイトルナンバーの'IN THE WAKE OF POSEIDON'であり、その他は正直寄せ集めの感は否定出来ないでしょう。
さて、今回のリマスターで音質はどうなったかというと、ちょっと気になるのは'PICTURE OF A CITY including 42nd at Tredmill'で妙な細かいレベルチェンジ。
何でなんでしょうね、これ??
それとアナログ盤のほうが分離が良いような気がします。
ただ、Drumの存在感は今回のCDのほうが上かな??それとPianoも....
でも、やっぱメロトロンの響きはアナログのほうが良いと思いますね。
多分、これまでのCD化の時よりはかなり良くなっているのでしょうけど、アナログ盤にはやっぱかないませんね??


LIZARD さて'LIZARD'ですけど、まあ内容やら、当時のFripp、Sinfield、Gordonの確執は、当サイトの'FRIPP翁はトカゲがお嫌い??'を参照していただければ幸いでありますが、まあ今回のリマスター盤で一番心配していたGordonのパートの差し替えは、さすがに行われませんでした。
(よかった、よかった^^)
でも、相変わらず印税はGordonには払われないんでしょーけど....
さてさて音質のほうは、アナログ盤より音の分離と切れは良くなっているように思います。
ただ、音のドロドロ感が逆に薄く感じられて、何かちょっと軽めの音に感じられるのも事実です。
この作品の独特の重さが薄く感じられるのは、まあCDの宿命と言う奴かも知れませんねー。
でも、非常に丁寧なリマスター作業が行われたと思いますよ。
ある程度リマスターの良い面が多く出ているんじゃーないでしょうかね??このCDは。


ISLANDS さて、最後は'ISLANDS'。
筆者としてはこのアルバムのタイトルナンバー、Crimsonのボーカルナンバーでは一番のお気に入りでもあります。
非常に抽象的な歌詞ですけど、実は凄く素敵なラブソング。
まあ、この時のCrimsonと言えば、もっとも凶暴なラインナップと言われるは、ステージでの即興演奏は、結局Fripp以外の三人にジャムに変えられちゃうはと、かなり波瀾万丈だったわけですけど、この'ISLANDS'というアルバムは、ある種の静寂感が漂う、Crimsonの静の部分の作品とも言えます。
まあ、既にCrimsonのあり方がSinfieldの理想とするものでなかったと言うことで、Sinfieldは投げ遣りだったのですけど(有名な'LADIES OF THE ROAD'の成り立ち話は有名ですが)、作品としては非常に引き締まった良い作品となっていると筆者は思います。
まあ、Keith Tippetも参加はしたけどって態度ではありますが、各ゲストの演奏も非常に充実していると思うんですけど.....
さて今回のリマスタリングはって言うと、これかなり良い感じだと思います。
分離も音の艶も、アナログ盤に非常に近い感じです。
これまでの三作品と比べて、一番良いのではないでしょうか??
ちなみに、アナログの日本盤やこれまでのCD化の際にオミットされた収録曲終了後のオーケストラとのリハーサル風景も、今回はきっちり収録されています。
それと、'ISLANDS'を除く三作品は、アナログ盤の頃から元々ダブルジャケット仕様だったので、縮尺を落とすだけで良かったのだけど、'ISLANDS'は元はシングルジャケット仕様でインナーに薄いダブルジャケットが収められてたのですけど、まあ今回の紙ジャケは、かなり苦労したようですけど、それなりに再現しているのも見物でしょう。


 さて、今回の三枚以降、次は'Lark's'以降の三作品が発売される筈ですし、噂の'USA II'、そして'ISLANDS'Crimson期のライブ('Earthbound'の代わり??)も出てきます。
それに四月にはダブルデュオ(かなり苦しい表現^^)になったCrimsonのニューアルバム'The ConstruKction Of Light'も発売されます。
近い内に日本公演もあるでしょう。
Fripp翁のダイアリーを見るとそれなりの自信ありげな話が書いてありますが、さてどうなものやら楽しみにしていようではありませぬか??
でも、やっぱもうちょいダブルトリオ編成、続けて欲しかったな.....(Fripp翁は金と時間の問題でダブルトリオに戻す気はあんまし無いみたいだけど....)

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