さて、前回はボックスセット'From
the Vaults'/Disk 1のレビューでした。
今回は、ワンステップフェス音源を含むDisk 2のレビューをお送りします。
んでは(^^)/
先日のDisk 1は'73年のライブを収録したものでした。
Disk 2には、本質的なデビューアルバム'一触即発'発売直前の'74年初期のライブ、'一触即発'発売後に参加、まさに伝説のステージとなったワンステップフェス、杉野講堂でのワンマンライブ、そして'75年のフロントアクトとして参加したDeep Purple武道館公演の音源が収録されています。
特に、ワンステップでの演奏、そして後の'78年RainbowのJapanツアーのフロントアクトに起用されるきっかけとなった'75年のDeep
Purple武道館公演フロントアクトの演奏は見事なものですし、杉野講堂でのワンマンライブ音源では、この時が初演であった'なすのちゃわんやき'、そして結局は未発表に終わりながらも森園/中村コンビが書き上げたダイナミックな曲想を持った'羊飼いの唄'は白眉と言えましょう。
冒頭二曲は'74年1月の中野公会堂のライブです。
まず一曲目は'空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ'。
この日のライブは、後の'四人囃子アーリーデイズ'に貴重な当時の演奏風景のフォトが掲載されました。
演奏のほうは、ドラムの先導からベースがリフを刻む、この当時の定番的なアレンジ、加えて中間部に岡井氏のドラムソロを含むバージョンです。
四人囃子オフィシャルホームページで、ファンから'岡井氏のドラムソロを是非収録して欲しい'という意見に答えたのかどうかは判りませんが、その当時のシングルタム/シングルバスでありながら縦横無尽のソロを展開する岡井氏のプレイが堪能できます。
ちなみにここでは、後の'円盤'と若干歌詞が違っているのも、この当時ならではでしょう。
二曲目の'おまつり(やっぱりおまつりのある街へ行ったら泣いてしまった)'は、やはりこの当時一番アレンジがかっちりしていた曲ですので、イントロの艶やかなトーンのギターが始まると、じっくり聴かせる演奏を行っている事が判ります。
前回でも書きましたが、ここので中村氏の'唄うベース'は見事なものですし、同様に坂下氏のたゆやかなオルガンといい、Disk
1の演奏からさらに一段と充実した演奏を聴かせてくれます。
多分、現在の四人囃子までを含めても、演奏の初期の段階からレコーディング、その後のライブまでもっともかっちりしたアレンジで演奏されたのは、この'おまつり(やっぱりおまつりのある街へ行ったら泣いてしまった)'くらいなのでは無いでしょうか??
三曲目に納められているのはやはり'74年デビューアルバム'一触即発'発売直前の目黒公会堂での'一触即発'。
既にアルバムのレコーディングも終了しており、演奏はアルバム収録のアレンジに極めて近いものとなっています。
とはいえ、この曲、頭の岡井氏のゆったりしたカウントから始まる訳ですけど、この部分がCrimosnの'Earthbound'に収録された'21st Century Scizoid Man'みたいで、個人的には非常に気に入ってたりして(^^)。
それと、この演奏でうれしいのは、テーマリフでのシンセのメロディー部分を、このライブでは多分オルガンでやっていると思うのですけど、後の片手での演奏ではなくて、多分両手で細かい装飾音をつけて坂下氏が演奏しているところ。
この部分なんかのライブアレンジなんかは、非常に細かい部分ですがうれしいところです。
残念ながら'だ....'のエコー音は不発ですが。
で、一番の白眉はライブアレンジでのオルガンソロパート。
所謂EL&Pの'Blue Rondo'アレンジ、冒頭ではYESやPFMがやりそうなオルガンとギターでの早いフレーズの連弾状態を経て、ドラムのリズムもEL&Pの'Blue
Rondo'スタイルになり、運動会状態のメロも登場、後半のオルガンは多分オルガンのリバーブを揺らしながらの演奏。
ちなみに'もうちっとも...'の部分の歌詞がアルバム版の歌詞で歌われているのもこの時期だからとも言えるのかな???
さて、アルバムアレンジに近いと言っても、後半のリフに乗る森園氏のソロはかなりフリーキーなソロを聴かせてくれまして、これはアルバムレコーディング以前と同じ感じ。
しかし、キメのダブルチョークはきっちりキメております。
さて、このDisk 2の目玉と言えば、あの伝説のとなった'74年ワンステップフェスティバルでの'泳ぐなネッシー'でしょう。
音源所有者がいる事は囃子ファンならご存じのとうりですが、この時の演奏がついに公になったのです。
(ただ、今回、その音源が使用されたかどうかは判りません....)
この時のライブは、当地のTV局が収録したそうですが、残念ながら四人囃子の演奏部分はダメージがひどく、廃棄されたとも伝え聞きます。
唯一残っているのは、昨年NHKが放映したもの程度のようですが、NHKの番組テープのほうは残念ながら音声が収録されておりません。
そこから考えても、この音源が公になった事はまさに事件と言えましょう。
今回の'From the Vaults'でもジャケットやブックレットにこのときの写真が多く使われていまして、その点からもこのライブがメンバーにとっても重要なイベントであったという事が伺えます。
今回使用した音源は、冒頭の観客の話声からすると、多分オーディエンス録音の音源でしょう。
オープニングはラーガサウンドと申しましょうか、そんな感じのテープが流れ、それとクロスするようにメンバーによるインプロビゼーションが入ってきます(昨年夏のワンステップ2001を思い出します)。
このインプロの後、'ハマベス'を使わずにイントロが始まり'泳ぐなネッシー'の世界が展開されていきます。
アレンジ的には、'73年版よりも'ゴールデンピクニックス'に近くなってきているようにも思えます。
冒頭のボーカル後のエコーのたっぷりかかったシンセのソロなんか、ゆったりしたベースの上をたゆやかになびいているようです。
ボーカルに戻り、その後は変拍子で展開されるギターソロ、そして各自の短いソロを織り込んだブレークパートに入ります。
(森園氏の雄叫び付き^^)
でも、一番ライブらしいのは、後半のコーラスパートでは、段々スピードアップさせて一度曲を終わらせ、観客を煽りながら再度演奏に戻るところ。
ちなみにここのコーラスで一番目立っているのは多分岡井氏の声でしょう(^^)。
'お前も一緒に唄えよな'ってのは、誰に言っているのでしょうか??
観客もここの部分ではかなり良いノリをしているのが良く判ります。
再び、テーマに戻りボーカルパートが始まります。
エンディングは、'73年の頃の'ハマベス'風エンディングです。
このDisk 2のもう一つの目玉は、'74年杉野講堂での初演二発、つまり'羊飼いの唄'と'なすのちゃわんやき'。
'羊飼いの唄'では、何と後に囃子に合流する茂木氏が羊の着ぐるみで登場、中間部でアコーディオンソロを聴かせてくれたという事が、先日明らかになりました。
(ちなみに、当時茂木氏とミスタッチで一緒だった佐久間氏は観客席に居たそうな....)
この曲、歌詞が聞き取れないのが残念ではありますが、曲自体は非常にドライブ感のある曲で、当時の囃子としてもかなり新機軸な感があります。
そしてもう一曲'なすのちゃわんやき'は作曲者の中村氏が演奏に参加している貴重な初演です。
テーマの構成やら、リフの上にソロが乗っていないとか、リズムのアクセントが後の'ゴールデンピクニックス'版と異なる、エンディングも違う等々、非常に多くの発見があります。
ただ、それでもこの曲の特徴のリズムチェンジの多さと、それを楽勝でこなす囃子の演奏力/構成力には舌を巻かざる負えません。
さて、'74年の囃子はワンステップフェスへの参加で大きな注目を浴びます。
'75年春に先の杉野講堂でゲスト参加していた茂木氏が坂下氏が提示したツインキーボードのアイディアに基づき参加。
加えて、ベースの中村氏が家庭の事情でバンドを離れ、佐久間氏が参加と、短期間で重要なメンバーチェンジが行われたのも'75年前半の大きな出来事でした。
そして今回残念ながら収録はされませんでしたが、'75年は夏の'WORLD
ROCK FESTIVAL EASTLAND'に参加、ここでも各方面から高い評価を受けます。
その翌月9月、四人囃子は、東宝レコード離脱前にシングル'空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ'を発表します。
しかし、この直後、茂木氏が脱退、茂木氏の在籍期間は六ヶ月程と、非常に短い期間に終わりました。
再び四人に戻った四人囃子は、年末のDeep Purple 武道館公演のフロントアクトに起用されましたが、このDisk 2の最後に収録された二曲は、この時絶賛を浴びた、まさにその際の演奏です。
この音源は、多分あの人が提供したオーディエンス音源だと思います。
(囃子サイドもこの音源を懸命に探していました....)
曲は'空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ'と'なすのちゃわんやき'の二曲(この他'一触即発'も演奏されたのですが、それは未収録)。
'空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ'は、シングル版に準拠したアレンジです。
さすがに前座で時間制限も厳しい事もあり、ドラムソロは無しです。
注目されるのは'なすのちゃわんやき'、オリジネータの中村氏の初演バージョンと異なり、'ゴールデンピクニックス'版のリコーダソロ無しアレンジとなっています。
しかし、'ゴールデンピクニックス'録音前のデモ(Disk 3に収録)では、再度異なるアレンジをやろうとしていたようで、この辺を見るとこの曲には幾つかのテスト的なアレンジが存在していたのかも知れません。
ただ、リズムやアクセント、繋ぎのフレーズも含めて'ゴールデンピクニックス'版アレンジ、違いは先にも書いたリコーダソロが無い事とギターソロがエコー逆回転風でない事くらいというのも、'うーん....'腕組みして考えちゃいますね、この辺の前後関係....
いずれにしても、今回のBOXセットは色んな事を教えてくれます。
なんと、またまた二枚目のCDをレビューするだけで、こんだけの量になってしまいました。
前回、'デモトラックてんこ盛りのDisk 3'までと予告していましたけど、実はそのDisk 3が一番色んな事を書けそうでして、今回はDisk
2だけでお許し下さいm(_ _)m。
と言うことで、今回はこの辺で(^^)/。