昨年の六甲縦走に引き続き、新田次郎『孤高の人』の舞台を訪ねる、第2弾! 。。。なんて軽いもんじゃない。 『孤高の人』以前から憧れのルートだった キタカマ。。。北鎌尾根は、『孤高の人』の加藤文太郎、『風雪のビバーク』 の松涛明が遭難死した地として知られるけど、彼等が遭難したのはいずれも厳 冬期。そんな厳しい時期にも憧れはあるけれど、計画は、去年もGWに持ち上 がり事情で中止、そして今年もまたGWに計画が持ち上がって意気込みはなみ なみならず。去年計画した3人で行く予定だったけど、直前に1人が行けなく なり、槍ヶ岳登頂を誓って出発した。 |
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豊科インターから大町へ、途中、夜中だったけど大町警察署に計画書を提出、 七倉に向かう。何度か来ている葛温泉からさらに奥へ。七倉のゲート手前に車 を停めて仮眠した。ここから先は許可車しか入れない。ゲートの開く6時半に タクシーを予約してあったので、それに合わせて起きて支度をする。 七倉の ゲート脇には登山指導所があって、ここでも計画書を提出できた。 タクシーで高瀬ダムへと向かう。九十九折りの道をダムの上へと上がったとこ ろまで。1,900円の価値は充分にあった。タクシーを下ろされたところに公衆 電話があり、運転手さんが、何かあったらそこの電話で連絡しなさいと言って 去っていった。 ここからはしばらく林道を歩く。少し歩いたところにトイレがあり、水洗だっ た。感動。林道終点から山道に入る。リーダーがぽつんと、「さっきの運ちゃ んの電話って、自分らが撤退した時のためかね」と言った。そう言われれば、 北鎌尾根を槍までピストンなんてあんまり考えられないし、この先、沢の徒渉 が核心であり、水量によっては撤退もやむを得ない場合もあるのは承知のこと だった。 温泉小屋のある湯俣までは、高瀬川沿いに登山道が続く。途中で雨が降り出し て雨具を着ける。雨粒はわりと大きくて、本格的に降ってきた。湯俣は『孤高 の人』の中で、北鎌尾根から滑落した加藤文太郎が避難地として最後に目指し たところだ。結局、千天出合手前で力尽きてしまうのだけど。。。湯俣に着い て、本には吊り橋を渡るようなことが書いてあったけど、指導標は渡らずにそ のまま進むようになっていた。湯俣からはいよいよ水俣川沿いに登山道のない 道を進む。 足回りを登山靴から沢靴に履き替えた。背中に背負う登山靴が重 い。。。 水俣川沿いに進んですぐに吊り橋を左岸に渡る。本にあった吊り橋って、これ のことだったのかな。いきなり高巻きだー。踏み跡はあって、それをたどるよ うに進む。しかし、崩れた斜面の足元の崩れそうな所をトラバースしたり(実 際、崩れてひやっとした。。。下に落ちたらドボンだし、泳げないし)、急な 斜面を登ったり下ったり、要所要所にはロープが張ってあったけど、気が抜け なかった。 |
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やがて中東沢出合の辺りの岩のトラバースになった。慎重に足場を取りながら 進むが、やがて行きづまり、河原に下りる。いよいよ徒渉。ここでもう1組の おじさん2人組と一緒になり、徒渉点を探すが、どこも流れが速くて見極めか ねている様子。自分は沢のぼりをやらないので、よく分からない。リーダーが 徒渉点を決めて徒渉を試み、成功。自分も続こうとするが、流れに足を取られ て水の中に沈む。リーダーに助けられてなんとか渡り切る。教えられた徒渉の ポイントは、流れを見てはいけない。たしかに目が回ってやばい。上流に身体 を向ける。などだそうだ。むつかしぃ〜。下はカッパの下を短パンにしてたの で問題なかったが、カッパを脱いでいた上はびっしょり。。。乾いた服に着替 える。 気を取り直して先に進む。河原を歩いたり、雪渓の上を歩いたり。倒木を伝っ て沢を渡りルートを探しながらまた渡り返す。前方に大きな雪渓と脇を滝状に 流れる沢が現れた。リーダーはそのスノーブリッジを上るのは危険と判断して 高巻きに入る。もう1組はそのスノーブリッジを上っていた。高巻といっても 薮やぶヤブ。。。そして、雪の斜面を雪渓に下る。沢靴ではステップが蹴り込 めず、つらい。不安定な体勢でザックを下ろし、ピッケルを手にした。雪渓を 横切ったところで、登山靴に履き替える。ザックが軽くなる。 そこからまた沢に下ると、先行した2人が徒渉の準備をしていた。というより すでに徒渉を試みて1人が1回流されたらしい。せっかく履き替えたのにまた 沢靴に履き替える。ここの徒渉はリーダーのフォローもあって無事にクリア。 更に進み、千天出合手前の吊橋跡らしいものを確認。これを目印に、右岸への 徒渉点を探して徒渉、右岸を高巻く。 ここがいちばん際どかったような気がする。滑ったら十数メートル下の沢にド ボンだけど、足を置く場所も手で掴むものも限定されていてしかも覚束ない。 残置のスリングを掴んで、少し先の木の根に手を伸ばして掴み、なんとかクリ ア。そこからも崩れそうな足元の斜面を高巻いて、沢に下りる。千天出合だっ た。 雨も降ってきているし、ここで行動を打ち切ることにし、テントを張る。水は 作らなくても沢から取り放題なのが楽。後から2人組が来て、少し離れた場所 にテントを張った。沢の近くにフキノトウが自生しており、夕食のアクセント に少しいただいた。
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