回答 |
更年期は女性ホルモンを出す卵巣の働きが低下した年齢から始まります。
しかしこの年齢では、卵巣に命令を出す脳の働きは活発なために、脳からの命令が過剰に出てしまい、バランスが崩れて顔や脳に異常な症状が現れます。
ホルモン療法に抵抗感のある女性が多いですが、本来あるべき女性ホルモンが出なくなって起こる、全身の異常状態の緩和にはもちろんのこと、
高齢者になってからの、骨や血管にも良い結果をもたらしますので、時々でもいいですから、治療を受けられることをお奨めします。
女性は閉経を迎える50才頃から、卵巣から出る女性ホルモン(卵胞ホルモンと黄体ホルモン)が急激に減ってきます。
卵巣に命令を出しているのが、脳の中心にある下垂体です。脳は卵巣に比べてまだまだ活発に働いているので、働きの低下した卵巣に対し、もっと女性ホルモンを出すように脳からの命令が急に大量に出てきますが、卵巣はその命令に答えられません。そのため、ますます脳が過剰に働いて、「のぼせ」「頭重感」「不眠」「不安」など脳や顔の症状がまずでてきます。次に、女性ホルモンの減少が更に5〜10年続くと、皮膚や粘膜の「弾力性」がなくなり、性交時の痛みや尿がもれるとか、粘膜の傷に雑菌が生えて「おりもの」に異臭がする、などの症状がでてきます。
さらに、60才頃になって女性ホルモン欠乏状態が続くと、骨が弱くなり骨折すると「寝たきり」になったり、腰や背中が曲がるなどの影響も出たり、コレステロールが上昇し動脈硬化が進むこともあります。上記症状の原因は、卵巣の働きが低下して女性ホルモンが減少したからです。女性の平均寿命が80才を超える現代では、閉経以降の女性にホルモン補充療法は不可欠なものになりつつあります。
女性ホルモンの薬のためにガンの発症をうながすという昔の誤った報告もありますが、それに対しては、婦人科と乳がんの定期的な検診を受けながら薬を続けることが必要です。逆に、女性ホルモンの薬を飲んでいるとガンになり難いという報告も多くあります。各個人に適したホルモン補充療法により、快適な閉経以降の生活を楽しむことは人生に有意義なことです。
|