住いづくり ミニ知識

法律 ミニ知識

□ 都市計画法

国土・土地利用の秩序のための法律、全国土は都市計画区域内と区域外に区分され、その内、都市計画区域内は市街化促進目的の市街化区域と、それを抑制すべき市街化調整区域に分けられています。

さらにその市街化区域は、住居系、商業系、工業系、その他特殊用途地区等に細分され、同時に防火・準防火地域が指定されています。
(実際の線引きは都道府県条例により決定されます)

その上で、地域・地区毎に建築基準法によって細かく建物用途制限、建築仕様等が適用されるシステムになってています

* 平成13年の法改正により、市街化調整区域内にある既存集落に隣接する区域( 50戸連たん区域)についは自己居住建物(地方自治体の条例による)については建築が可能に緩和されています。

□ 建築基準法

建築物の敷地・構造・設備に関して、人の 安全、環境・衛生、財産の保護等を目的 とした法律。

大きくは都市と個々の建物との関わり方を規定した集団規定(都市計画区域内の建物に適用)と、個別の建物についての構造・設備等の単体規定(全ての建物に適用)に分かれています。

* 兵庫県南部地震の被災結果を受け、平成12年に構造関係規定が大幅に法改正されました。
在来木造軸組の仕口金物の規定が盛り込まれたのもこの時点です。

* 耐震偽装事件を受け、平成19年6月に基準法が大幅改正されました。
一般には法律の体系を(設計者の)性善説から性悪説への大転換と言われています。

既存建物の扱いついての基準も大きく変更され、最小限のものを除き増築の場合は既存部分も現行法に適合する事が規定されています。
従って平成12年改正以前の建物の増改築は構造についても現行法に適合させるための改造が必要になっています。
(その後、この法律は厳しすぎ、現状にそぐわないとの批判により運用規定及び条例の改正等により構造上の問題については大幅に緩和されています)

別欄 によく耳にする法律用語をミニ知識として解説しました。

□ 建築士法

建築士の資格と業務を定めた法律、建築物の用途・構造・規模に応じて、設計・監理業務の資格が定められています。 建築士の設計監理業務報酬の基準は、この法律に基づく大臣告示です。

□ 建設業法

建設業者の許可、請負契約等について定めてあり、時々マスコミ等で取り上げられる 「一括下請負の禁止(丸投げ禁止)条項」 もこの法律にあります。

建築用語 ミニ知識

延べ床面積 : 各階の床面積の総合計(容積率の対象)

建築面積 : 外壁(または柱の中心線)によって囲まれる面積(建ぺい率の対象)

容積率 : 敷地面積に対する延べ面積の割合、都市計画によって定められる割合と、前面道路幅から計算される割合の小さいほうで規制されます。

都市の立体的な密度(ボリューム)を制限しています。

建ぺい率 : 敷地面積に対する建築面積の割合、都市計画によって定められます。
都市に平面的な空地を残すための規制

接道義務 : 都市計画区域内では道路(一般的には4m巾以上の道)に2m以上接していること(原則)が建物を建てる敷地としての条件となっています。
消防活動などの人名救助が目的です。

50戸連たん(都市計画法) : 敷地相互間の距離が55Mを超えない距離に位置している建築物が50以上連たんしてる土地。
(距離計測上道路や水路等の官地は除かれます)

施工床面積 : 正式な定義はありません、ハウスメーカー等が坪単価算出のために便宜的に計算する床面積です。
建築基準法の床面積に、ポーチ、バルコニー、テラス、吹抜け、小屋裏倉庫等の面積を加えたもの
(算入部分及びその割合についてもそれぞれです)分母の面積が増加する分、坪単価は見かけ上低く 算出されます。

工法 ミニ知識

□ 木造在来工法(木造軸組工法)

従来より行われている、柱(垂直材)・梁(水平架構材)の軸組みにより構成する工法。
水平力(風圧力、地震力)は、柱間に入れられた、斜材(筋かい)によって基礎に伝えます。

大別して、大壁(柱が壁内にかくれるもの)と真壁(柱が露出するもの)があり、現在では、数寄屋・茶室等の特殊なもを除き、大壁工法が一般的になっています。

伝統的な日本家屋に見られるような、開放的な空間構成 が可能な工法です。

最近では、この工法を支える職能(大工さん)の減少から、従来手作業でされていた、仕口、継ぎ手等の加工を、コンピュータ制御のプレカット工場に委託するケースが大半になってきていますが、全ての架構形式に対応できるまでにはもうしばらく時間がかかりそうです。

□ 2×4(2×6)工法(枠組み壁工法

北米大陸(カナダ・USA)から輸入された工法で、木製枠(38*89又は38*140)に構造用合板を釘打ち作成されたパネルにより壁を構成し 壁の面剛性により、水平力を受け止め、基礎に伝えます。

壁よりも、作業床として使える床面を先行することから、プラットホーム工法ともいわれます。

作業性の良さから、工期の短縮、コスト上のメリットがある反面、大きな開口部の多い建物には強度的な面であまり適さないことと 増改築の際壁を取り除く場合には、充分な検討と補強が必要とされます。

北米では、ポピュラーな工法になっているそうですが、日本ではここ五十年くらいの実績です。

□ 木造住宅合理化システム工法

在来木造の技術者不足から、さまざまな金物を併用し、仕口・継ぎ手を簡略化し、省力・省資源化、コストダウンを計った工法。

国土交通省主導の認定制度(財団法人 日本住宅・木材技術センター)のもと、多くの工法が開発されています。

ほとんどの場合、開発元の主催するフランチャイズシステムによって技術提供されており 工法採用には、加盟する工務店に発注することが条件となっているようです

採用の際には、将来の改造等に対応可能性( 数十年後にその工法が継続されているかどうか、あるいは別の工法との混構造の可能性等)を検討しておく必要がありそうです。

□ 鉄筋コンクリート造(RC造)

作業現場で鉄筋を組み立て、型枠を作成し、コンクリートを流し込み、一体成型する工法。

耐火性能、耐久性能、遮音・防音性能に優れた工法で、自由な形が可能なことも特徴です。

反面、コンクリートは熱伝導性の高い(外気の暑さ寒さを伝え易い)材料であるため 居住性と結露防止のためには、入念な断熱材の施工が必要とされます。

又 構造体のほとんどが、現場作業となるため、施工の良否により、品質のバラツキも大きく 基本性能確保のためには、厳重な施工管理が必要な工法です。

一般的に木造に比べ、コスト高となっているようです。

□ 型枠コンクリートブロック工法

組積造のコンクリートブロックの施工性と、鉄筋コンクリートの強度・耐火・耐久性等の良さを活かした工法。

専用のコンクリートブロックを型枠兼用で使うため、 現場での、型枠作成及び脱型が不要であり、施工性の良さと、型枠材の省資源が特徴で、工期・コスト上のメリットの一方、形の自由度はRC造に比べ制約がある事と、コンクリートの充填が十分であるかどうかの確認が困難である点が指摘されています。

比較的新しい工法です。

□ 鉄骨造

鉄骨による軸組み工法、木造軸組み工法と同じく斜材(ブレース)により、水平力を負担させる方法と 工場溶接での剛接合により、ブレースが不要な方法があります。

使用鋼材の規格(肉厚)により、LGS(軽量鉄骨)造と、重量鉄骨造に分けられます。

ハウスメーカーの規格住宅の多くはLGS造) 材料の種類の豊富さから、大スパン(柱間隔)も可能であり 使い方によって、可能性は大きく、それに応じて、コストの巾も広がります。

鉄は非常に熱伝導性の高い材料であり、部分的な冷橋(コールドブリッジ)による、結露対策には、充分な配慮が必要です。