最近このシリーズが、なんだか、ますますファンタジーな方向に走り始めていて、現実感がどんどん薄れているように思ってしまう。また、アクション的要素がどんどん増えているようにも思う。ただ、まあ、このシリーズは絶対にお勧めだと思う。
読んだ瞬間に、もうくらくらするほどの凄さを感じてしまったから、よほどの作品っていうか。それと、この作品書いている著者が、自分よりもだいぶ歳下と知って、よくまあ若いのに、ここまでヒネた作品書くもんだわーとびっくりしたのも事実。
導入部分からして凄くて、いきなり、美を意識させる完璧なまでの絵画的構図をもつシーンの描写から入る。殺された美しい少女の死体が、完全なまでの対称性をたもったまま、生きた人間の姿としてはこれほどまでに不自然なものはない、としつつも、その精神の宿っていた頭だけは、正しい向きで、そして、その死体を見るものを、うつろな目でみつめ返すというすごいもの。このシーンがどういう意味をもつものなのか、即座に現れる怪物はいったい何者なのか、っていうあたりは、ストーリーとともに語られるのか、、。
ストーリーは、最後の最後まで全体が語られることはない。ただし、それぞれの話、最終的な全体像を秘めたまま、始めから終りまで語られ、中には後日談すら含まれる。全体像がわからないのに、後日談まで語られてしまうのだから、読んでいる側としては、なんだかよくわからない不安の中に取り残されることになる。
そして、各話は、「事件」に関わったか、あるいは巻き込まれた人々の一人称で語られる。そして、各話の間には、ところどころで、間奏曲としての、短い話が挿入されている。
第一話の竹田の話からは、物語の表の部分、表の世界が語られる。いわば、一般向けに公開されている事件の全貌とでもいうべきもの。物語のヒーローあるいはヒロインの一般向けの姿が出てくる。次の第二話は末真によって語られ、これまた公開部分といってよいかもしれない。ここでは、もう一人のヒーロー的なヒロイン、霧間凪について語られる。第三話は、三人称で語られるが、実際には、事件の犯人側にいる少年の立場での話。犯人サイドから見た事件の姿である。第四話は、事件の被害者の一人について、その友人が後日談を含めて回想するもの。そして、第五話は、事件の最後の全貌を見せるもので、これは、風紀委員の新刻によって語られる。しかしながら、この新刻もまた、この最後に至るまでの物語の全貌を知っているわけではない。それはこの作品の読者のみが、作品を通じて知ることができるという仕組みなのである。
マルチサイトもののPCノベルゲームと非常に似た構成で、それを小説でやっておきながら、きわめてうまくこなしている。いわゆるミステリー的な物語には、時系列にそった物語の流れと、不可解な謎を解く上での物語の流れがあり、それは別系統であって良い。よって、その別系統というのを、なんらファンタジックな仕掛けをせずに、見事なまでに実現してしまったのが、マルチサイトの導入によるものということになろうか。
まさに、「電撃ゲーム文庫」に入るにふさわしいゲーム的な物語であるといえる。これほどの作品が最初の作品として出てしまったからには、次の作品を出すのが難しいのではないか、と思われたが、やっぱりそうだったという感じがする。
この作品の良さは、ファンタジー性がほとんどないことでもある。もちろん、人喰いのマンティコアは完全に幻想的な存在であり非現実的であるし、その行動も非現実的でありながら、その点だけに非現実性を押し込めて、他の部分ではごく普通の、物理的な物語が進行しているのも良い。後のシリーズ作品には必ず現れる統和機構も、現れることなく、敵の姿が完全に判明していないところが、いっそうの不気味さを演出しているともいえる。
ブギーポップシリーズの一つの失敗は、この作品の中で、統和機構なる秘密結社あるいは、闇の組織を出してしまったことではないか。もちろん、これがこのシリーズの受容なベースとなったことも事実だし、また、上手かったのは、この統和機構そのものを悪とすることなく、また、これをブギーポップが本来敵とする「世界の敵」そのものとすることがなかったことかもしれない。
「敵」は、大きな組織に裏付けられたものではなく、そこからのハグレもの、あるいは、小さな集団である。その方針がここで固められたのではないか。
あと、人造人間の大量の出現、超能力などなどの出現で、ブギーポップシリーズがある意味で、ファンタジーホラーとか、ファンタジックミステリーホラーとかそういうものに分類されることにもなった。現実には起こり得ない物語ということにはなってしまったわけだ。
どうせだから、続編も続けて書いてしまおう。
この物語の最後は、再び、美を意識したものになっていると思う。ブギーポップの活躍の場は、異形のものたちの乱舞する舞台であり、そこで、その乱舞の中に決戦が行なわれる。そして、世界の敵は、倒される。このあたりの決闘の場での映像的な美しさの探求は、その後もずっと登場し続ける。そして、だからこそこの作品が映像作品となったら、素晴らしいと思うのだが、「笑わない」を映像化した劇場版実写作品も、そして、アニメ版も、原作の文字による表現以上の映像的美しさを十分には表現しきれていない。なぜなんだろう。
しかし、それが、生体兵器として生まれた少女に絡む陰謀に巻き込まれて、地獄絵図をつくり出す、というあたりだろうか。発想としては、この作品は、第二作のイマジネーターに比べると遥かによい。よい理由は、ストーリーの奇抜さ、そして見事さと、簡潔さ、わかりやすさであり、十分なエッセンスが、その簡潔なストーリーの中に活かされている。
ここに来てやはり最後のアクションシーンはとてつもないものになっていて、人間がモノとしてどんどん死んでいく様が描かれているが、その中にも、最後の最後に一種の美を感じさせる要素がある。
語られる人の数が多いので、多少うっとうしい部分もあるのだが、それにしても、よくもまあ、あれだけいろいろなストーリーをつめこんで、全体としてのバランスを保っているものだと思う。
表向きの事件と、そして裏で進行している事実と、その事件を最初に引き興そうとした人の思惑などが、微妙にずれていて、そして、それらを互いに補完することによって、全体像としては、全く奇想天外なストーリーが生まれるという形式になっている。つまり、最初に事件を起こそうとした、寺月と、それを利用して登場した歪曲王、そして、そのときにたまたまその事件に遭遇した、「被害者」たちの妄想とが、絶妙なバランスで、想像もできない面白い方向に走っていくのが良いと思う。ブギーポップシリーズは、この作品が登場したことで、たんに、最初の作品の続編を出し続けるためのシリーズものから、本当に面白い、意味のあるシリーズへと変貌したように思う。
ただ、この作品そのものは、第一作や、直前に出ている歪曲王ほどのインパクトはない。ただ、たんに舞台装置を提供しているだけの作品には留まらない面白さがあると思う。
まあ、この作品から、霧間凪もまた、常人ではない、超少女であることが判明してしまう。超能力こそ使わないように見えるが、ナミの人間ではないのだ。
そもそも、自然の材料だけで、アイスクリームが、人の心を変えさせるほどの力をもつものになる、それも、人の心の痛みがわかるからだ、その痛みに対応する味をつくれば、というすごい発想の話から始まるところがすごい。
なんといっても、アイスクリームなのだから。
近代になって、マスコミの成立とか、テレビ放送とかで、大衆を操作、誘導していくという話はいろいろあって、第二次大戦のときの、マスコミの報道のあり方とか、ナチスの台頭がどうのこうのとか、日本軍の戦争報道のどうのこうのとかそういうのはあるし、また、それに類する話として、放送によって大衆を洗脳する話なんていうのがSFなんかには盛んに登場するものでもある。
もちろん、たべものの中に薬を入れてどうのこうのという話もあるのだが、そうじゃなくて、この話はアイスクリームだ。しかも、アイスクリームには、薬が入っているわけではない。本当に、天然の材料から作られたアイスクリームが恐ろしいほどに人の心を変えるという話なんだから、すごい。
で、この話、要所要所で、マルチサイト化しているのだが、同じ事実をここまで違う見方してよいのか、というほどに立場による、あるいは認識によるストーリーの違いを際だたせているのもうまい。
この物語は、もちろん、ブギーポップシリーズの中の一つであるし、また、ブギーポップシリーズ全体の舞台装置がなければ、実現しない話ではあるということが、逆にこの話の独立性を弱めている。単独の話として自立できないのが一つの「惜しい点」ではなかろうか。独立した自立した単行本としてなりたつならば、これだけで大作といって良いのではないかと思う。
もちろん、ブギーポップ自身が、「ぼくは自動的だ」といっているように、ふと涌いたような、意志ではあるのだが、、。
このカウントダウンの前半ともいえる部分はそれほど思想性がはっきりとは現れないが、、、
このまま続ける。
ブギーポップもまたそのようなものであり、藤花の無意識の中の願望がから生まれたものであるが、さらにいっそう、無意識の意志、無意識から生まれた人への影響力のようなものと、世界を動かす力、といったものが、色濃くでてくる。
いわば、原因と結果であり、ある一連の事件なり、事象なりの連鎖があったときに、その一連の事象の連なりにおいて、つねに、なんらかの決定的な力を行使した、影響力があった人がいたとしたら、彼/彼女は、その一連の事象の中におけるヒーロー/ヒロインなのかもしれないが、本人が決してそれを望んでいたわけでもないし、また、それが、本人の行動パターンや趣向から生まれたのか、それとも、結果として彼/彼女がその立場におかれるようになっただけなのか、そのあたりは良くわからない。
上遠野作品は、結局として、その、因果と、偶然と、そこにからむ人の意志と無意識のはざまのようなところでの、圧倒的に面白いストーリーを描きだそうとしているんではないかと思ってしまう。そうなのかな。
最後の炎上シーンはこれまた美しいです。はい。
まだまだその本当の姿には届いていないけれど、今回もまた、敵は、その水乃星らからはぐれたはぐれモノである。
多少話がうますぎるようにも思うし、また、朱巳や凪があまりにもあまりにも超能力少女化してきているように思うのだが、しかも、中学生にして、これだから。
この作品の評価は、まだ続編が出てこないと決まらないように思うけど、さしあたり、ちりばめられた奇想天外な発想のすごさと、物語の面白さと全体の構成のよさなどなどからして、結構いけていると思う。
今回は、独特の厭世感っていうか、そういうのがただよっていて、やっぱり、こういうのに巻き込まれるのはタダモノじゃないっていうことも明らかで、殴られているばっかりの女の子も登場するし。
いや、まだ、読んだばっかりで感想まとまれないんですけどね、なんといったらいいのでしょう。今回のウリは、私にとっては、比較的物理的にみて、マトモなアクションとマトモな展開だったこと。ロック・ボトムについては、かなり超科学的ですが、それ以外のところについては、ホーリィとゴーストの活躍そのものもごくごく普通のアクションの範囲で、けっして超能力的でないし、たしかに、スリムみたいな存在もこれからならあり得るし。
でも、これって、いわゆるメディチ家最後のジャンガストーネとか、ハワード・ヒューズとかの話ですな。病床にあって、人を電話で指図するだけで、世界を動かすっていうか。たしかに、ネットワークがはりめぐらされれば、ジャンガストーネもさぞかし楽だっただろうし、ヒューズももっと楽しめたのかもしれません。
うーん、まだ感想がまとまらない。
いきなり、人生すてているっていう感じの作品ですね。主人公からして、完全に人生やめちゃっているような感じで、にもかかわらず、それなりに現世のことをなんとかしようとするような不思議なストーリー。内容的には、人々の想いの中から生まれるものが、実際に存在しちゃって、そして、実際に、いろいろおこっちゃって、というものなんすけど、文体などもなんともいえず、ものすごい怖い感じがつたわってくるというか。
ようするに、魔物はいる。魔法はある。そういうオカルト的なものは、すべて存在するんだ、ってことにして、そういうのがベースにあって、そこから話が組み立てられると、妖魔夜行シリーズみたいな感じになる。でも、そうじゃなくて、そんなものは、ないんだ、世の中は科学的なんだ、と思いたい向きの人にとっては、それもまたこじつけられる程度に、現実的。その境目のあたりが、非常に怖いところで、最初からなんでもありなんだ、と思うと、怖さも半減します。そうなると、ストーリーのおもしろさが重要になりますが、最初から、最後まで、現実的か非現実的か夢想的か、よくわからない状態で、最後までいく、とやっぱり怖いです。この話、それが怖かった。魔法が本当にあるかもしれない、と思わせるだけの現実味もあります。それは、たんに想定された、つまり、魔法があったとしたら、どうなるんだろう、と思うだけでなされたものなのかもしれない、という部分を残しているからこそ、怖いのか。「あるはずがない」と思いたい気持ちがあるから、「信じちゃいけない」と思う気持ちがあるからこそ、怖いんでしょうね。うーん、怖い。
それにしても、四冊全部読んでみて(まだ先も続くんでしょうけれど)、民話、伝承のようなものと、さらには呪いとか、そういうオカルト的なものを、現代のストーリーとしてどう組み立てるか、と考えたときに、こういうやりかたがあったのか、というようなものを見せてくれた感じがしました。
つねにこの作品、どこかビジュアル的にこったところがあって、今回もなかなかビジュアルがすごいですね。挿し絵らしい挿し絵がないのに、非常に鮮明なイメージをみせる文章はなかなか。ただ、ちょっとマンネリ的なので、また新しい形での展開が欲しいところ、かな。なかなか怖い話ではありました、、とさ。
えっと、一応目隠しの物語完結編も読みましたが、なんだかよくわからなくなってしまいました。またいずれちゃんと読み直そうと思いますが、うーん、これもハリポタ的なのかな。
一応、Missing 全体というのを眺めてみて、異界と現実世界とのつながりに、民話や物語をもってきて、しかも、そこに科学的な解釈を与えてるのが、大迫という作家であり、その作家が実は、舞台である学園の創立者の一人であり、かつ、それがその地域全体のマツリゴトをとりしきっていた三つの家族のうちの一つに属していた、というあたりで、そこに、ときには、柳田の民話についての話などもおりまぜつつ、実に見事に雰囲気を出しているし、非常に合理的な中に闇、異界というものをすりこませ、そして怖い話にもっていくっていうか。うーん。でもって、さらにいえるのは、それぞれの表題になっているものとは若干ずれた話が多いです。今回の「座敷童」も、本来のよくしっている座敷童とは違う視点で描いているし。読み直してみて、この作品全体、なんかかなりのヒットだし、それこそ、アニメ化なり、場合によっては、実写映画化でもしたら、まじで怖い話になりそうな気がします。
で、えっと、座敷童はまだ終わらないんでしょうか。10巻でましたけど。このシリーズ、敵が、ちっともまとまりがないのが、救いなんでしょうか、まだ不完全なので、これからどうなるか、つぎあたりが、山でしょうかね。 さて、11巻で、一応完結しました。またあとでかきます。
調べにいった賀茂は、そこで、とてつもない妖気を感じる。そして、その妖気にあてられた律子は、病気に。これには守護霊召喚してパワーアップしかない、と必死で呼び出した守護霊は、なんと、すさまじい高位の天使アブデル。神への忠誠心も人一倍なアブデルは、しかし、美少女趣味のとんでもないやろーで、、、。
さてこの第1話では、自分でも気がつかないうちに妖気をだして周りの人々を病気にしたり死にいたらしめたりしていた、不幸な悪魔の「たま」ちゃんがヒロイン。ロリプニ系の彼女は、国際認定でS級の悪魔。知らないうちにこれまで10万人以上の人々を死にいたらしめてきたが、本人は「自分の周りの人がどんどん病気になったりして不幸に」と思っている被害者でもあったのだ。アブデルの趣味にぴったんこの彼女と、賀茂、律子をまきこんでの、学園ラブコメ?。
いやあ、面白かった。四冊全部かっておいてよかった!しかし、キリスト教国で出版したら、まじで危ない本じゃあないかなーっておもっちゃうようなすごい内容。すごい!
しかし、その真央を封じようとする根呂と、その忠犬神パトラッシュがあらわれて、二人(二匹?)をおいつめる。
ってことで、二巻のヒロインは、猫耳の少女「真央」。そんな中でぼけまくりの自覚のない悪魔の「たま」ちゃんと、そして、ひっかきまわしまくる律子がなかなかとんでもないコンビネーション。もちろん、猫耳少女にあたっくのアブデルも健在!
やがて、自分の仇討ちの相手が、「しらないうちに妖気をふりまいていたころのたまちゃん」だったとわかり鬼女となって、仇討ちを果たそうとするが、、、。
はい。もうこのシリーズの目論見は見えますね。つまり、1話は、悪魔娘、2話は、猫耳娘、そして3話は、ミコさん。すなわち、アニメ、ゲーム系の美少女の典型的パターンをつぎつぎとゲストヒロインとして登場させるというものです。2話登場の猫耳娘の真央は、この3巻ではお休み。まったく登場しません。(律子に監禁されているらしい)。いやあ、はまりすぎのすごい小説シリーズであることがわかります。最後に、みきが、鬼に変身していくところは、陰陽道な感じでもあるし、はまりすぎ!
もうすごい!
その紳士が、なぜかとつぜん賀茂たちの高校の校長先生になって登場。しかも、娘は、眼鏡っ子の真理子。よくある眼鏡っ子らしく、結構意志が強そうな彼女は、、しかし、、。
はい。悪魔娘、猫耳娘、ミコ、ときて、第四話は、眼鏡っ子ではありますが、ややヒロインとしてはインパクト薄く、それよっか、最終的にたまちゃんの実の父である悪魔べリアルの登場のほうがインパクトが強く、おそらく、眼鏡っ子真理子のストーリーは、また別の路線で語られることになるのかー?って感じ。
さてさて、次は一体なんでしょう。
はてさて、親よりも先に死んだ子供たちは、三途の川の河原で石積みをさせられているんだけど、以前は、10歳くらいまでの子供たち、だったのが、日本の児童保護法がかわったので、18歳までに引き上げられたとか、妙な話が大量に出てくるあたりも相変わらずです。
ストーリーがやや一本調子なのが気になるところではありますが、でも、今回もおもしろい話で、いっきによんでしまいました。
さて、次の美少女はどんなタイプ?エルフ耳?かな。
この作品を読む直前に夢枕氏のコミック版のほうの「陰陽師」をそれなりに読みまして、ついでに、映画もみちゃったりしていたんですが、この「陰陽の京」って作品、基本的には、夢枕氏のものの、一種のその「外伝」ってことでしょうか。実際に、安部清明も登場しますしね。ただ、こちらでは、子持ちの親父として登場。主人公は、賀茂保胤っていうか。
男言葉の女の子って言う感じの時継姫が、なかなかよい味を出しているのが1巻です。男勝りで、かつ、ふわぁっとあくびまでしちゃうような壊滅的な慎みのなさ、っていうのも平安時代にしては、とんでもなく、きっと、お歯黒もしていない、白い歯むき出しで体術系でがんがんな御姫様なんでしょうけれど、それなりになんか魅力があって。2巻からは、絵がかわって、ちょっとかわいくなりました。
なかなか描き方もよいし、おもしろいです。一番いいと思うのは、我々現代人にとっては、よくわからない平安時代の雰囲気を、どくとくに伝えている点でしょうか。若いのによくこんな小説かくよなー、って思うのがこの作品です。電撃文庫の中では、なかなか意味ありげな、おもしろい作品ということで、紹介します。
ついでですが、パラサイトムーンも読んでいます。うーん、やっぱり陰陽の京のほうがすごいです。
いまんところ、4巻まで出たところでしょうか。話がだんだんとまたこみいってきて、登場人物もまた多数。雰囲気変わらず、なかなかよいところをつついていますが、ところで、この時継ちゃん、結局のところ、いまどきの女子高生風の雰囲気をもった部分がかなりあって、それが、平安時代のかなり雰囲気ばりばりな中におかれていることの違和感っつうのがおもしろいのかもしれません。
最近、一応買っているのですが、よんでいません、とかいうのですが、一応、なにやら完結したらしいので、読んでみました。うーん、やっぱり、なんかイマイチね。甲院派の話になってから、なんか違うぞ、っていう感じになって、最後はよくあるみんなで戦って勝ちました!みたいな感じで終わってしまう。結局、なにはともあれ、異能者の変身もの、っていうことになりそうだし。うーん。かなり真剣に全部読んだのですが、おわってみて、ちょっとがっかりなモードでした。
最近、いろいろな、この手の小説の中で、一つのジャンルとして、「奇少女譚」っていうのがあると思うんですよね。ストーリーの始まりは、ちょっとだけ日常生活に疲れたような主人公がいて、それは男で、少年でもいいんですが、ふと公園とかで、なにげなく、ベンチに座っていたり、あるいは、家の中で、ぼーっとしていたり、なんでしょうが、そういうときに、突然、意味不明、あるいは、なにがなんだかわからないことをしゃべっていたり、あるいは、奇妙な動作をしていて、なんか変?どうかしちゃった?っていうような、そういう女の子が現れて、これまた、主人公に対して、意味不明なことを、比較的早口で、べらべらしゃべって、で、そのまま、去っていく。そんなことが、なんどかあって、主人公はその少女を追いかけるようになって、やがて、その少女は、とんでもない、なんつうか、力があるとか、組織に属しているとか、なんかそういう形で話は進む。
映画なんかでも、そういうのありますね。海外旅行にいって、ふっと疲れたときに、妙な感じではなしかけてくる、日本人の若い女性がいて、それが変で、それなりにその女性が、その外国の地で妙な生活をしていて、だから、意味不明なことしゃべって、そういうことしているうちに、だんだんと主人公が巻き込まれていく、みたいな。
このインフィニティ・ゼロっていう作品は、そういうのです。で、結局、闇の魔物と戦うとかそういうあたりになると、まあ、はっきりいってどうでもよいけれど、でも、ゼロが、恐ろしい魔物に対して、「サトーさん」とか呼びかけたりするあたり、そのあたりから、して、やっぱり、奇少女譚なんです。バランスとしては、なかなかよいなーと思う作品ですが、こういうのが、巻を追うごとに、だんだんと普通の作品になっていくとしたら、ちょっと残念かも。
あと、いぬかみ!も読みました。いいですよ。うん。めちゃくちゃな話ですが、この、女性の会話のめちゃくちゃさ、ボーイミーツガールが基本なんでしょうか。
これまた、銀賞をとった、電撃ゲーム大賞ものなんですが、やっぱりおもしろいです。若い人の才能を感じさせるっていうか。
1巻で、ヒロイン!って感じで登場の日奈ちゃんが、いきなり死んで、バラバラ死体にされて、保存っていうあたりで、かなり猟奇的な感じもしますが、小鳥遊(たかなし)とか、舞原姉妹とか、へんな人間どんどん出して、とにかく、おかしな方向に話がすすみます。
2巻の、インヴィジブル・エア!っていうの、小説のカバーの裏の絵をみたら、なんか、電池の話かと思ったけど、結局、電池じゃあなくて、スプレーですね。噴霧すると、その噴霧されたものが触れて、かつ、噴霧した人間が思ったものが、消える、っていうあたり。そして、大理石の彫刻の消滅事件とからめて、非常に不思議なミステリーになっています。最後はとんでもないことになりますしね。太陽でレンズになって、どうのこうのとか、。
魔法と科学との絶妙なコンビネーションとミステリーっていうあたり、仮想現実の中に、なんともいえない感じのストーリーを紡ぎだしている点で、非常にすばらしい!
ますます話がどうなっているのか分からないのが、この3巻。うーん、コウにとっての一つの試練のときなのか、現れた謎のカウンセラーはいったい?あらすじなんてかけないほど絡みまくっているのですが、まあ、簡単にいえば、本の紹介のところにあるような内容の話ですね。舞原妹による舞原姉とのデートをコウに強制するところ、そして、現れるわけわからない舞原家のメイド、みんとれい。すこし、全体に羽目はずし過ぎですが、また、秋口ぎぐる氏以上に、めちゃくちゃな雰囲気の筆致になりつつありまして、なかなかストーリーが読みとりにくいのですが、まあしょうがないか。
3巻、4巻で、パーフェクトワールド。うーん、これまた奇想天外なすごい仕掛けの入った作品ですが、ただし、舞原姉妹の周りの親衛隊連中がちょっとやりすぎでして、多少雰囲気ぶっこわしているような気がします。お嬢様には、取り巻き、親衛隊というのは、お約束ですから、双子のお嬢様にあれだけいろいろいてもおかしくはないのですが、ストーリーの進行がそれでちょっと止まってしまって、、、。
はおいといて、今回の仕掛けもすごくて、しかも、それを破る方法もすごい。魔法があろうと、超能力があろうと、それが人間の行いであるならば、推理と謎解きと、そして、ミステリーがある、ってことですね。この作品、そのあたりにすごい挑戦しているように思います。
さて、5巻まで、どんどんハイペースで出てきますね。今回は、ついに本格的に身内の中に魔法アイテムを利用するものが、、。心の葛藤のようなものを深く深くえぐりだそうというか、しかも、魔法アイテムの合成型というのも登場。で、敵とは誰なのか、というのもかなり明白になりつつあり、、、ってあんまりシリーズそのもののことはどうでもよいのであって、ビジュアルに、すごいし、展開もすごいし、個々の作品それぞれが光っているシリーズです。
6巻は、「たかなし」の子供時代の物語ですね。たかなしがなぜ女である日奈を愛するようになったのか、そのあたりの仕組みがこれでわかるというもの。なかなかおもしろいのですが、最近、話が爆発しすぎているようにおもいますです。
7巻も、その続きですが、うーん、やっぱりその「ゆやゆよーん」でしょうか。脳味噌のどこをどうつっつくとこういう発想が出てきて、しかも、その発想について、どういう神経をつぶすと、そのまま小説にしようという気が起こるのか、とにかく、あやしい作品になってきました。そういえば、部長とか、いろいろ出てこなくなった人も多いのですが、次は、また新しい発展があってほしいかも。
8、9巻。うーん、もー、よくわからん。すごいっていうか、パワーが変っていうか、なんか、もうぐちゃぐちゃで、破綻しています。結局、どういう設定なのか?日奈はどうした?舞原王国の問題ががんがんでてきて、さらにいろいろな組織がでてきて、ぐちゃぐちゃです。多少はまとめてほしいところもありますが、一方で、この怒濤のような進み方を、まだまだ続けてほしい感じもしますが、以前との関係もよくわからないので、最初から読み直さないといけないのだろうか。
というわけで、1巻から全部読み直しました。11巻まで全部。で、なんとかストーリーはつながりました。it の話になってから、どうもよくわからないし、ワーゲンがどうのこうので、部長が結婚して、纏一族が?あれ?とまあなんかもうなんだろうっていうかんじですが、一応、話は一つ一つきっちりつながっているようですね。なにを描きたいのか、ファンタジーなのか、なんなのか。でも、このぐいぐいとおしまくる雰囲気は好きなので、さらに先までいってほしいと思います。ようやく、舞原姉妹の部下たちのこともわかってきた。それにしても、11巻はなんか話が飛びすぎな感じもしないでもないんですけどねー。で、吸血鬼は一発で死んじゃうし、しかも小学生に殺されるし。
でもって、12巻ですが、11巻の延長であり、またコウを中心とした主人公連中はでてきません。サクラはかなり登場していますが。ってことで、次回13巻あたりが、かなり派手な展開になりそうです。で、主人公も登場しないにもかかわらず、かなりいいところいっています。読んでいて、面白いです。この作者はやっぱりとんでもないや。
でとんでもない13巻はやっぱりとんでもなかったです。やっぱりコウはでてくるのは最後の最後でしたが、、。
この物語も、最初の部分は、典型的な、奇少女譚でして、冴えない主人公の目の間に、とつぜん、へんな少女が現れて、しかも、プールで二人で遊ぶ。変な女の子で、そのあと、転校してくるが、これまた変。変づくしな彼女はいったい?っていうあたりで、2巻では、その彼女が、特殊訓練をうけた飛行機のパイロットっていうことになっていて、って、そういうのはどうでもよくて、とにかく、ストーリーのテンポと、話の進み方、そして、そこここでの登場人物の会話などなどに、非常に妙な雰囲気ただよわせつつ、ぐいぐいと進んでいくストーリーのおもしろさ。この作家さんも才能を感じさせますね。
さーて、イリヤの空、UFO の夏も、3巻めがでました。今回は三話+おまけ、でしょう。最初の「無銭飲食列伝」、大笑い。これぞ、秋山節でしょう。最後のほうのイリヤが、だんだん表情あらわで、っていうあたりがすごい。「晶穂と同じのっ!」って叫ぶようにいうイリヤの声がなんか聞こえてきそうです。いーなー。で、つぎはボーリングの話。これまた最後はちょっと悲惨ですが、なんともなんともいい話じゃあないですか。で、最後は、脱走の話。
この種の作品に詳しい我が同僚氏によると、秋山作品はほぼどれも共通パターンだそうで、今後さらにさらにイリヤがいじめられるんだろう、とのこと。まー、それでもいいです。おもしろいし、楽しみます。
さて、ついに、完結編が出ました。最後の終わりかたは、ハッピーエンドともなんともいえないけれど、なるほど、という感じで終わりました。そこまでもっていく途中の冒険は、いわゆる、よくある「メロディー」な感じでしょう。あれは小学生くらいの年齢ですが、中学生でも通用するようです。イリヤがなぜ学校にくるようになったのか、そのあたりが、十分納得できる説明でした。うん。最後まで読んで、これは十分な名作であろうと思うのです。表現もよいし、すばらしい。感動しました。
まあ、その、いわゆるコロニーみたいなものになると、でかいから全体が把握できない。そのうちにコロニーの中が、どんどん原始化して、中世のような社会になる、そして、っていうことで、だれかが、失われた過去を研究し、そしてそれがルネッサンスだ!というわけです。それを猫を主人公にして、なんともいえない妙な世界を描き出す。そういう作品でしょう。
おもしろいです。頭がかきむしられるような変な話。でも、この本がでてしばらくして、アフガニスタンのタリバーンとかの話がでてきて、まじで、日本の大金持ちのお嬢様が、そういうところで、テロ相手に戦っている、なんてことあるかもしれない、っていうか、なんともおもしろい時代になったもの、ではないか。
まあ、実際のところの設定は、よくあるタイプのものだといえましょうか。ようするに、人間に害なす魔物とか、吸血鬼とか、そういうのがいたとすると、人間だけではそれに立ち向かえない。そこで、その魔物やなんかと、人間との中間的な立場である人々が人間に協力して、っていう形。吸血姫美夕はそれを典型的な形でやっているし、実際のところ、ウルトラマンもまた怪獣の一種といえば(巨大な身体をもつとかいう点で)、これまた、怪獣の一種が人間に手を貸すような形かもしれません。で、この作品では、アヤカシという存在。ちょっとSF入っていまして、ATGCの四つ以外の塩基をもつ特殊な生物として、アヤカシが定義されていて、これらは「特殊生物」ということになっているものの、人間ににた身体をもつもの(ただし変身することはある)は、甲種とよばれ、日本においては、人間と同様の権利をもつことができる(とはいえ、いろいろと差別はあるのだが)という設定。で、ヒロインである主人公の優樹は、この甲種と人間の母との間の混血、ってことになっている。でまあ、その父親のアヤカシは?っていう話で、実際、アヤカシの側も、たくさんの仲間がいて、深く人間社会にとけ込んでいる状況もあるし、まあ、そのあたりはいろいろ複雑ですけれど。
で、優樹は、警察官でして、巡査部長ですので、警部なのかな。で彼女一人が、特殊生物に対抗するための組織に属していて、普段はなにもしない。毎日酒ばっかり飲んでいる。で、人間が手に負えないようなアヤカシがらみの事件が起こると、彼女がでてきて、。そこに、山崎という青年が出向して、しばらく一緒に行動する。そのうちに、、、。
まあ、毎回のように、傷つき体がぼろぼろになっても、また再生復活して、戦い続ける優樹の姿がなんかいたいたしいのと、それが、私的には秋口ぎぐる作品でおなじみのたけひと氏のほんわかな絵で描かれているので、なんか違う、っていうかとっても痛々しい感じがします。切なくて、、、。部分的には、妖魔夜行シリーズなどと似た雰囲気があって、彼女の周りには、たくさんのアヤカシ(一応人間型のもの)があつまってきたりして、それぞれがそれぞれ不思議な生活をしているのもなんともいえないし。
まあ、読めば読むほど味の出る作品というようななんともいえないものでした。引っ越し準備とかいろいろしなくてはいけないときに、こんな作品にはまってしまうなんて、、。
で、ひさしぶりに新作がでましたが、次の作品で大いに話が進展してほしいところですが、まだまだ、悲惨な状態が続いています。なんか、読んでいて、つらい。うーん、次でぱーっと明るくいってほしいと思う。
で、9巻ですが、これって、カバーに書かれたあらすじそのものがただ、膨大にふくらんでいるだけ、っていうべきなので、それだけでいいような作品です。ますます悲しい作品になってきました。そろそろ作家さん大丈夫でしょうか?もっとも、微妙なところをついているのはいいんですけどね。そろそろラス前ですね。
えっと、正直いって、しょーもない物語です。設定の舞台そのものが、よくわからない。中世ヨーロッパ風に、ところどころ現代的風味が入っていて、魔法が出てくるかと思えば、また一方で発信器取り付けてどうのこうのという、いわゆる「はいてく」が登場したりする。スレイヤーズはそのあたり一応の脈略があったように思いますが、だって、冒険者カードだかが、いきなりぴこぴこいって、レベルアップを告げるとかいうあたりも、もうそのなんつうか、とんでもないっていうか。
さらに、エレキテルなんちゃら、っていう動物だか機械だかわからないのも出てくるし、まあ、それに、パステルたちも、なんだかんだいって、つねに生き残るし、死ねば、生き返るし、どうでもいい。
がしかし、一方で、やっぱり深沢さんの作品ってば、なんか、その元気なノリっていうのはあって、ほどほどに乙女チックなのか、なんじゃらほいですが、そのあたりは、富士見ミステリーの、最初の「菜子」の雰囲気もそのままっていうか、その、ストーリーの展開そのものは、なんか、つぼを押さえているように思いますね。で、とにかく、なにも考えたくないとき、重たい作品読みたくないとき、ただ、食事のあとの腹ごなしとか、そういうのもふくめて、たらーっと読んで、たらーっとそこそこ楽しめる、っていうあたりが、こういう作品の良さでしょうか。
でぇ、まあ、感想文はまたいずれ、ってことにしまして、あ、乙一作品、また、スニーカーで出たし。買ったけど、これから読みます。ではでは。
「毛布おばけと金曜の階段」は、これまた奇妙な作品でしたね。うーん、なんか一発、この人からおもしろいの出ないかな。それとも、バトルシップガールを読むべきなのか。
全部買っていますが、読んでいません。
三作めまで読みました。四作目は買ったばかりで、まだ読んでいません。毎回おもしろいですが、そろそろ、主人公たちの試練のときがくるのか、と思いますが。
えっと、悪くないです。ストーリーとして、展開も計算されているし、あっと驚くな感じでもあるし、それなりに、よいのですが、ただ、ストーリーがちょいと空回りしている感じがあって、便利な絨毯のせいかもしれませんが、もうすこし厚みが欲しいですね。時代は唐代の中国。そこに、よみがえった則天武后がなぜか少女の姿で、そのままいすわって、で、時間を場所を飛び越える絨毯にのって、いろいろな中国の時代で事件を解決するとか、混乱させるとかそういう話ですね。はい。それだけです。そういうと悪いけど、なんか、若い文化に入り込もうとしていて、でも失敗しているって感じがするんですがね。違うかな。
ついでに、この人の、新作「ブラックナイトと薔薇の棘」とかいうのですけど、うーん、やっぱりこの作家さん、感覚がいまっぽくないです。なんつうか、話のないようが説教じみているっていうか。発想としてはおもしろいのですが、芯がなんか狂っているような感じがしますね。うーん、どういうべきだろう。
続編も出ました。うーん、もうすこしたったら書きます。一応読んだけど、おもしろかったけど。
で、さらに三作めも読んでいます。一応、毎回あまり変化なしですが、なんかたんたんと話は続いていて、扱っている世界観そのものはおもしろいので、読み続けます。
さて、三作目まででています。前回までは、「桜色BUMP」が題名で、副題っていうのでしたが、今回は、「腐敗の王」という題名だったので、新シリーズかと思ったけど、やっぱり、桜色BUMPでした。ヒロインがやっぱり魅力的かな。独特でいいです。が、ただ、この作品全体を貫くストーリーがいまひとつつかめない。いや、ないならないでいいんですが、どっかで、そういう方向もないといけないような気がします。つまり、敵となる連中の間の関連。まあ、もっともそういうのがあると雰囲気が壊れるっていうのもありますが、でもなー、なんかもう少し全体をつらぬく思想とか、そういうのが欲しいです。まあ、いまごろ編集者といろいろ考えているとは思いますが。
Last modified: Mon Aug 30 02:47:37 JST 2004
おわり