Rumble!!
ROCK LEGENDS Vol.3'Procol Harum VS 四人囃子'(2003.11.09)

 再び、TV朝日の倉林さんが仕掛けてくれました、ROCK LEGENDS Vol.3、今回は英国のベテランProcol Harumと四人囃子の競演と相成りました。
当初、ROCK LEGENDS Vol.3になるかは判らなかったのですけど、春に英国のあの大物バンドと囃子の競演の話もあったのですけど、結局今回は、この取り合わせとなりました。
Procol Harumと言えば、四人囃子がデビュー当初からカバーを行っていたバンド、昨年のROCK LEGENDS Vol.2、そして春の渋谷QuattroライブでもProcol Harumのナンバーが何曲か披露された事を覚えている方もいらっしゃるでしょう。
ある意味、囃子メンバーがあこがれていたバンド、Procol Harumとの競演、その顛末やいかに??
そんなライブの様子をRadio Gnome的に....


10/31開演前の様子は??

 夕方6時の開場ということ、仕事を早めに切り上げ会場につきますと、四人囃子TRBのメンバー達とばったり。
'新曲やるのかねー??'、'大二さんに聞いても、んー???って教えてくんないんだよ'、'昔の未発表曲だったら、全部口メロで唄うぞー!!'などと、ヨタ話をしきり。
そんなこんなしていると、山梨のEさんにばったり、ホント、お久しぶりです。
と思ったら、夏のTommyライブで大活躍だった難波弘之さん登場。
さすがにProcol Harum、見に来たんでしょうな???
そして何と元囃子メンバー、中村真一さんがスーツで登場します(^^)。
思わず'どうしたんすか??'、'仕事の帰り!!'なんて挨拶したりして(^^)。
さすがに70年代に活躍していた日本のバンドにとってProcol Harumは大きな影響を与えましたからね???
既に開場も始まっていたので、そそくさと会場に入りまして、知り合い達と声を掛け合い、自分の席へ。
正直、今回の席、あんまし良くないんです。
前の方は前なんだけど、思いっきし端っこでした。
ちょっと見にくいよね....テレ朝さん、これが先行予約の席かね???もうちょい何とか考えて欲しいっすよね???
この件だけは苦言を言わせて頂きます、きっぱしと!!!!


秋の陣開始!!四人囃子参上!!

 今回、一応競演って事になってますけど、やっぱし囃子の方が先に出るのは自明の理。
ステージには四人囃子のセットが並びます。
いつものようにステージ左にモリさん、中央に大二さんのキット、その横に佐久間さんのベースアンプ、そしてステージ右に坂下さんの鍵盤のお城の構成。
照明が落とされ、四人囃子のメンバーが登場。
さて、オープニングは??と思っているとモリさんのギターが聞き覚えの無いイントロを奏でます。
そう、トップナンバーは新曲の'A to Z'(この日のモリさんのMCでは'新曲1'と呼んでいました)。
ちょいと面白いリズムに乗って、モリさんのギターがメロディーを。
さすがに初演と言うこともあってか、かなり手探りの演奏ではありました。
曲調は、確かに一時期のクロスオーバー的な感じもありますが、坂下さんのハモンドのソロなんかも織り交ぜて、加えてリズム隊は完全にロックでした。
曲が終わった後、観客もちょっと戸惑ったのでしょうか??拍手も無く曲は'おまつり'、'空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ'、そしてモリさんがヘッドレスのギター(新しく仕入れたのかな??)に持ち替えて'カーニバルがやってくるぞ'へと続きます。
ちょっと'カーニバルがやってくるぞ'のギターハーモニクスが詰まっちゃいましたけど、モリさん、ギターに慣れてなかったのかな??
モリさんのMCの後、再び新曲'Ramble'(当日の曲紹介では'新曲2')へ。
こちらの曲は、イントロの雰囲気は何とNational Health系。
この曲については色々な意見が聞かれます、特に良く判らないって意見。
確かに中間部がブルースになったりもしますけど、そんな変な構成の曲とは筆者は思わないんだけど....
まー、こちとら筋金入りのCanterbury Musicファン、初期のネオクラシカルとジャズが入り交じったNational Healthを考えると、それ程でもないぞ??などと威張ったりして(^^)。
演奏はさすがに二組なんで、囃子の演奏は50分程度。
と言うことで'なすのちゃわんやき'、'一触即発'に雪崩れ込んで行きます。
'なすのちゃわんやき'でモリさんのギターがタイムスリップしてしまいましたけど...でも'一触即発'の中間部のギターはかなり面白いバージョンでした。
これまで、悪評紛々だった厚生年金での音って事で、どうだったかというと、前二回よりは良くなっていました。
特にボーカルのエコーのかけ方が心地よく、モリさんのボーカルが前二回よりも圧倒的にクリアーです。
'一触即発'のエコーの部分もちゃんと三回返って来ました。
でも、モリさん、'一触即発'ではいつもより早くみんなを緑色の星に連れて行っちゃいましたけど(^^)。
ただ、今回は大二さんのバスドラがちょっときつかったなー、かなりおなかに響きましたから。
あ、佐久間さんのベースの低音の周りは解消されてました。
これまでと違うベースのせい??
坂下さんの鍵盤は、前二回よりは良く聴こえましたけど、やはり'一触即発'のキメのメロのセカンドパートはちょっと小さめ。
照明は、ラストの'一触即発'のドリフ状態以外は、かなりアッサリした感じでした。
福島のライトショウなんかを考えるとちょっと物足りない??
さすがにアンコールは無し。
ここら辺も、一部のファンからかなり辛辣な意見が出ていましたけど、冷静に考えてもこれはしょうがないかな??
前座扱いと行ったらそれまでなのだけど、この辺はProcol Harumが競演する際に、当然トップビル扱いを要求してたでしょうしね??
競演じゃなくて、Procol Harum来日公演、ゲスト四人囃子って扱いと考えた方が良いんじゃないですかね??


受けて立つのはProcol Harum!!

 さて、機材の入れ替えも終わり、ステージにはProcol Harumのセットが並びます。
ちなみに休憩時間にはMoon Ridersの白井良明氏を見かけました。
ステージを見ますとステージ左にエレピのブースがありますので、ここに御大Gary Brookerが座るのでしょう。
その横にギター、中央にドラム、そしてベース、一番右にMatthew Fisherのハモンドが鎮座しています。
ちなみに、ドラムのキットがかなり面白くてコンパクトなキットだったのが印象的です。
今回のツアー、多分殆どの機材はレンタルだと思うのですけど、あのドラムは持ってきたのでしょうかね??確かにクラブ周りにはちょうど良いキットでした。
Matthew Fisherのハモンドは、やはりレンタルでしょうが残念ながらM型ではなくB3でした。
ハモンドの上にはRolandのオルガン(VK)が乗っていました。
これは推測ですけど、多分Procol Harumもツアーでハモンドを使えるのはそんなに多くないんでしょう。
何せ、レンタルしていたら金がかかりますし....
きっと日本では主催者が用意してくれたんでハモンドが使えたけど、他の国のツアーなんかは、Matthew FisherといえどRolandのオルガンを使わざる負えないんじゃないでしょうか??
さて、ライブの方はここのところ四人囃子のライブでも聴かれる'Shine on Brightly'(さすがに今回はやりませんでしたが^^)で始まり、往年の名曲'Grand Hotel'や'VIP Room'、そしてラストの二曲'A Salty Dog'、'Conquistador'は圧巻でした。
新しいアルバムからも数曲披露されましたが、やはりこのバンドは良く言われるプログレ系のバンドなんかでは全然なくてGary Brookerの唄を聴かせるバンドなんだな??と思わせました。
Gary Brookerの唄を生かすのがMatthew Fisherのハモンド、他の三人のメンバーもGary Brookerの唄を第一義に考えた演奏をしていました。
でも、ハモンドマニアの筆者、残念ながらMatthew Fisherから遠い位置に居たので演奏を見るというのは出来なかったんですけど、出音は素晴らしかったでね。
それとドラムがうまかったんです。
さすがにツアーを続けているだけあって、演奏も良くまとまっていましたし、何度も言うようにGary Brookerの唄を聴かせるという点では場数をこなしている事がよくわかる、そんなステージでした。
アンコールでは'A Whiter Shade of Pale'も演奏されましたが、さすがにモリさんと大二さんの事前運動が功を奏したのか、手拍子は無しでした(^^)。


そして11/1、川崎決戦!!

 さて、翌日は川崎CLUB CITTAでの公演です。
開演前に知り合いと落ち合い、会場に着きまして、既に開場してはいましたけど、ちょいと近所で腹ごしらえ。
そして会場に入りますと普段はスタンディングのCITTAに椅子が並んでいます。
小振りの会場なので、あまり観客は入りませんけど、逆に皆見やすくって良いかも知れません。
この日は開場時間も早く、一応ロングバージョンと謳われていました。
一応、四人囃子の方は曲はあれが増えるんだろーな???等と思いながら、開演を待ちます。
ちなみにこの日も難波弘之さん、来てました。
大阪も追っかけたって話です(^^)。
あ、風の噂ではあの松任谷由美さんも来ていたとか....
そりゃ、Procolの曲パクってデビューしてんですからね??Procolファンであるのも当然かと....
そうそう、中村真一さんも来てました。
最初に登場したのは、当然四人囃子。
演奏は初日同様に'A to Z'から。
さすがに二回目の演奏なので、だいぶ演奏自体もタイトになって来ました。
初日のセットリストと同じ曲が並び、再び新曲の'Ramble'、ちなみにこの曲の演奏前のMCでモリさん、'A to Z'を'スプーンよ曲がれ'(楽屋落ちのギャグですが、こっちのタイトルの方が筆者は好み^^)と紹介していましたが。
でも'A to Z'は大二さんの曲なんですけど、'Ramble'は誰の曲なんでしょ??モリさんか大二さんかのどちらかと思うのですが....
ちなみに、モリさん曰く、'ホントはもっとあるんだけど、一人無茶苦茶忙しい人が居てリハが出来ない'などと申しておりましたが。
そう言えば、佐久間さん、このツアー中も夜は自分のスタジオでお仕事だったそうで....
ある方の話だと、モリさんは唄付きの新曲を考えていたとかいなかったとか.....
さて、お次はロングバージョン用の'泳ぐなネッシー'。
筆者の大好きなテーマ部分が無い、ここのところのお約束バージョンだったのが、ちと残念。
ちなみにコミカルパートの'ラッパラ'も無かったのも残念。
その後は前日と同様'なすのちゃわんやき'、そんでもって'一触即発'へ。
演奏も音も、前日より良かったですね、全体的に。
前日よりも大二さんのバスドラ直撃も少なかったし....
ちなみに、ライブ終演後、大二さんとお話したら、ご本人は厚生年金の方が良かったと言ってました。
(まー確かに、川崎では大二さんが間違えると顔の表情が変わるの良く見えたもんなー^^)
多分、筆者にとっては今年最後の囃子のライブ、味わい深いものとなったかどうか....それは筆者の心の内だけに結論を書いておきましょう....


ベテランの妙味、そしてPA論争は??

 さて、Procol Harumの方もロングバージョン、少しセットも組み替えて来ました。
個人的には'Homburg'が加わったのはうれしかったですね??
Gary Brookerのボーカルも前日と同様、非常に良く声が出ていました。
かなり今回のツアーは機嫌が良かったのでしょう。
MCや他のメンバーとのやりとりも軽妙です。
(何せ、70年代の初来日の時は、色々物議を醸し出しましたからねー??Gary Brooker^^)
でも、今回うれしかったのは席がMatthew Fisherの真ん前だったのです。
Matthew Fisherのハモンド使い、特にレスリーのスイッチングなんか、絶妙の演奏/操作でした。
まさにMatthew Fisherのオルガンを眼でも楽しませて貰いました。
ラストの曲は前日と同様に'A Salty Dog'、'Conquistador'、アンコールも二曲'A Whiter Shade of Pale'とインストの'Repent Walpurgis'。
前日の'Repent Walpurgis'ではベースのアンプトラブルもありましたけど、今回は大丈夫でした。
でも、こうゆうミディアムテンポに泣きのオルガンとギターってスタイル、イタリアのバンドがみーんな真似したよなー(^^)。
そうそう、初日は舞台袖で、二日目は二階の真ん前でProcol Harumのステージを見つめていた大二さん、楽しそうな顔してたな(^^)。
さて、今回のツアー、ROCK LEGENDS Vol.1以来のPA論争がまたぞろ起こっています。
先にも書いたように前二回よりは四人囃子のPAもかなり良くなったと思いますけど、残念ながらProcol Harumのクリアーな音にははっきり言って負けてました。
'70年代から四人囃子は爆音だったとか、今回のライブもステージの上は轟音だったとか、Procolと囃子の音のスタイルの差だとか、色んな意見が出ています。
で、筆者がどう思うかと言えば、これはツアーバンドと年に数回しかライブを行わないバンドの差だったと思っています。
経験値の差という奴です。
確かに、Procol Harumより四人囃子の方が厚生年金なんかはここのところ良く使っているわけですけど、ツアーバンドの場合、その会場毎の条件を鑑みて、それに合わせるだけの経験値を持っています。
今回、Procol Harumはツアーマネージャーと楽器担当、PA及び照明担当の三名程度のスタッフしか連れてきていないでしょう。
それでも、あのようにPAを使いこなすのは経験値の差としか言いようがありません。
残念ながら、四人囃子もデビュー当時にはPAを前提にしたリハーサルなんか、会場入りしてもヘタをすれば出来ない事も多々あった筈です。
あの当時の日本のバンドを取り巻く環境は、そうゆうものだったのです。
でも、今なら四人囃子だって、半年くらいツアーをやれば、Procol Harumに負けない経験値を蓄える事も出来るんじゃないでしょうかね??。
(一人無茶苦茶忙しい人が居るから、無理かな....)

To Musical Box