ようやく過ごしやすい陽気になりました。
ここのところ9月末から10月の初旬にかけては四人囃子関連(Music
Bazaar in Yaon やら四人囃子TRBライブ等々)の話題に浸りきっていましたが、今回は再びPirate盤、そしてBootleg関連のお話をしてみたいと思います。
最近は、一昔前なら絶対出回らなかったようなテープトレーダ向けの音源が堂々とCDもしくはCD-Rとして発売されていますが、今回はそんな音源を幾つか紹介しようかと思います。
さてさてまずは、ホント良くこんな音源が出てきたものだわいと感心してしまう、なんとオランダの'Earth & Fire'の'74年3月のドイツ公演の音源です。
今年に入って設立された(??)'Die HARAKIRI'レーベルから出たのですけど、これが驚く程の高音質と来ました。
放送音源の可能性も無きにしもあらずなんですけど、とにかくバランスが良い音源なのです。
演奏の方も、充実していまして選曲的にも時期的に4thアルバムの'To The World Futures'の前後あたりですので、もっともシンフォニックな頃の曲が収められています。
(当時、多分ドイツにてシングルで発売された'Memories'を要求する観客の声も聞かれます)
人気の高い'アムステルダムの少年兵(Song Of The Marching Children)'も勿論、この当時の重要なレパートリーですので、この音源にも入っています。
正直、'Earth & Fire'って筆者にとってノーマークだったし、そんな演奏力の高いバンドに思えなかったのだけど、この音源を聞いて見直しちゃったのであります。
特にGuitarと鍵盤の演奏は質が高いですね、これ。
鍵盤はオルガンとメロトロンを中心に随所でクラビコードかエレピ、そしてソリーナかローガンのようなストリングスをブレンドするなど工夫も見られ、Guitarのワウの使い方も曲調に良く合っています。
個人的にはオープニングの'Atlantis〜In The Mountains'、ラストの'Storm And
Thunder'の演奏は好みだし、見事なもんです。
だけど、このボーカルは好みじゃないなー、力入り過ぎって感じ。
でもこれってほんまめっけもんですよ。
一応、限定300枚プレスって話だけど、きっとそれ以上プレスされるんでしょーね???(^^)。
そいでもってもう一枚、こちらはカンタベリーの生んだ影のスーパーグループ'NATIONAL
HEALTH'のデビュー前のライブとデモ音源を集めたものを紹介しましょう。
'NATIONAL HEALTH'と言えば、'Hatfield
& The North'を解散したDave Stewartがその当時親交の深かった'GILGAMESH'の'Alan
Gowen'と合流、Twin Keyboard、Twin Guitarにリズム隊といういわゆるダブルカルテットスタイルに女性コーラスを絡めるという編成のグループで、GuitarにはPhil
MillerにPhil LeeもしくはSteve Hillage、ベースには元'EGG'のMont
Campbell(後にNeil Murrayにチェンジ)、女性コーラスはAmand Parsonsと当時のカンタベリー系ミュージシャンの中でも、特に生きの良い腕達者のメンバーが揃っていました。
ただ、困った事にうまいドラマーが見つからなかったのですけど、そんなところに何とBill Brufordが参加しました。
後のインタビューで、譜面が読めるBillが参加してくれたことにDave Stewartは非常にうれしかったと語っています。
(当然、このメンツですから殆どの曲は譜面が存在し、ほぼかっちりとアレンジされた曲が殆どだったようです)
このメンバーで正式デビュー前に行った'76年2月のライブと'75年10月から'76年に行ったデモ及びBBCのスタジオセッションをそれぞれ一枚づつに収めたのが、このCDというわけです。
実際にはデモ音源およびBBCセッションについては、正規発売されたやはりBill Bruford在籍時の音源を含む'Missing Pieces'が存在し、何曲かはだぶっています。
当然、そんなだぶった音源は正規発売された'Missing Pieces'のほうが圧倒的に音質は上ですが.....
それでも、この編成でのスタジオテイク'ELEPHANTS'や'TENEMOS ROADS'が聞ける事、そしてまさにオリジナル'NATIONAL
HEALTH'による'AGRIPA'等の未発表曲を含むライブが聴ける事は、非常に貴重且つうれしい事です。
さすがに、ここのところ好調のHIGHLANDレーベル、良くやったと誉めてあげましょう(^^)。
ちなみに、このオリジナル'NATIONAL HEALTH'ですが、この当時はジャズ色とともにやはり'EGG'でネオクラシカルとも言える曲を演奏していたDave
StewartとMont Campbellが揃って居ることもあって、クラシック風の曲も目立ちますし、Daveのオルガン自体も'EGG'時代に戻ったような雰囲気も感じられます。
加えて、Alan GowenとDaveのエレピの二重奏等、とにかくユニークなサウンドと言えます。
ただ、残念ながらMontの書くクラシック風の曲がメンバーから拒絶されたことによりBassがNiel
Murrayにチェンジ、加えてダブルカルテットの要であるTwin Guitarが結局Phil Miller一人になってしまいます。
この5人編成にAmanda Personsを加えた形でのライブも音源が存在します。
確かに、Montの曲が削られどちらかといえばジャズよりの演奏になっています。
この編成も'76年末まで続きますが、残念ながらある意味ヘルプだったBillが脱退、代わりにPip Pyleが加入、さらにGowenとAmandaも脱退するに至ります。
ちなみに、これによって残った四人とはつまりDave, Phil, Neil, Pipとなった訳で、皮肉なことに'Hatfield & The
North'からBassが代わっただけという事になったのです。
結局残った四人はファーストアルバムの録音を'77年の3月に完成させるのですが、そのアルバムも当時の所属レーベルVerginの方針でなかなかリリースする事が出来ない等、トラブルも多かったようです。
この辺のメジャーデビュー後については、また日を改めて'The
Musical Box'にて書くことにしませう。
さて最後に先日公開した'盤起こし考察〜Keith
Tippettの場合'で紹介出来なかった'OVARY LODGE'の盤起こし盤を紹介しておきましょう。
実は、値段が高かったわけが判りました(^^)。
何と、これCD-R盤だったのです。
当然、ジャケ等はカラーコピーで非常に汚いんですが、音質的にはスクラッチノイズが聞こえますが、それでもかなり良質なほうでしょう。
とにかく、後にFripp翁がJamie MuirをCrimsonに参加させるきっかけとなったFrank
Perryの演奏と、それに触発されるKeith Tippetの演奏は見事の一言です。
はっきり言って'BLUEPRINT'より数段上の出来映えです。
それと、今回、この盤を購入して気になったのだけど、どうも'OVARY LODGE'って一応CD化された形跡があるようです(裏ジャケを見ると判る)。
じゃー、このCD-Rっていったい元はなんなんでしょうーね???
疑問深まる、秋のひとときと言ったところでしょうか???