魔法都市日記(28

1999年3月頃


3月は久しぶりにゆっくりできた。私はいくつかの仕事をしているが、そのうちのひとつに、医歯薬、京大、阪大、神大等を受験する中高生の受験指導もある。とは言え、予備校などで教えているわけではなく、私の個人的な知り合い、医師や法曹関係者が多いのだが、その子供をどうにかして志望校に入れて欲しいと頼まれたのが契機となり、気がついたらいつの間にか20年近くもやっていた。遠方(奈良、京都、神戸等)から来ている生徒が多く、そのため、この一年間は日曜日も休めなかった。 日曜に仕事が入っていると、世間一般の休日とずれるため、誰かと朝から出かけることができず、少々つらいものがあった。しかし、幸いにも日曜日に来ていたN君が無事現役で京大に受かってくれてホッとしている。

これでここ20年近く、京大、阪大、神大に限れば、全員受かっている。特に中学から教えていた子は100%現役で医歯薬、京大、阪大に受かっているので、これは今後も維持して行きたい。お子さんの受検でお悩みの方は、何なりとご相談ください、と宣伝もしておこう。(笑)とにかく受検シーズンも終わり、久しぶりにゆっくりできた一ヶ月であった。

某月某日

十数年間ご無沙汰であった大阪奇術愛好会の例会に、ここ何度か続けて出席している。ずっとさぼっていたが、一度行き出すと、メンバーの大半は昔のままであるので、すぐに以前のペースに戻った。新規メンバーとして、先月からお見えになっている井元さんに見せていただいたカードマジックで、おもしろいものがあったので紹介しよう。

マイケル・アマーが出演しているビデオ、"Easy to Master Card Miracles vol. 5"の中で、"Virginia City Shuffle"というタイトルのマジックをやっている。

これはフレッド・カップスがやって有名になった"Sidewalk Shuffle"の元になったカードマジック、"Only Three Card Trick in the World --Using Four Cards"のヴァリエーションと言えば言えるのだが、これほど見事なヴァリエーションも少ない。ざっと現象を説明しておくと、最初、3枚のブランクカード(トランプの表が印刷されていない真っ白なカード)とハートのエースを1枚使い、エースの場所を当てたら勝ちというゲームを行う。なかなか当たらないのだが、最後はハートのエースが3枚と、ブランクカードが1枚になるというクライマックスがある。

このトリックがよくできているのは、最後の時点で、ハートのエースを3枚とも完全に見せることができる。要するにギミックカードを使わずに、今の手順ができる。

また、六人部君もラムゼイの「シリンダーとコイン」を基にしたムトベヴァージョンの「シリンダーとコイン」を見せてくれた。原案にある、「わざと怪しい動作をする部分」がなくなっており、ムトベヴァージョンのほうが現象としてはすっきりしているので観客も混乱しないだろう。原案は、よほどうまく演じないと、あの「サカー・ムーブ」が意味をなさない。

某月某日

Paul Daniel Show宅急便で大きな段ボールの箱が届く。注文していたネタか、本でも届いたのかと思ったが、今頃届くようなものは心当たりがない。箱を開けてみると、ビデオテープが30巻詰まっていた。ラベルには「ボール・ダニエルズ・ショー」と書いてある。

送ってくださったのは、静岡の蓮井彰氏であった。マジックをやっている人であれば、大抵、蓮井さんの名前は知っているだろう。マジック関係のビデオ・コレクターとしては日本ではダントツのNo.1であり、世界的に見ても屈指のコレクターのお一人である。今も増え続けているとは思うが、現在のところ、二千数百巻お持ちのようである。

その蓮井さんが、「魔法都市案内」を見てくださり、「ここにバカが一人いた!」とでも思ってくださったのだろうか。マジックに限らず、珍しいものや不思議なものがあれば、何でも首を突っ込むところは私も蓮井さんも同じであり、何か近いものを感じてくださったのかも知れない。それでビデオを送ってやろうと思ってくださったようなのだ。

今回送ってくださったのは、蓮井コレクションの秘蔵ビデオの中から、特に蓮井さんが気に入っておられるポール・ダニエルズ・ショーの全巻、延べにして200時間以上あるらしいのだが、そのうちの半分、30巻分を送ってくださった。残りは今、ダビング中とのことである。

ヨーロッパのビデオとVHSでは録画方式が違うため、ダビングするにも時間がややこしく、ダビング中、横に付きっ切りでやらないと、ヘンなところで切れたりするらしい。たまに私も2,3本ダビングすることがあるが、それだけでも面倒なのに、60本もダビングしてくださるとは、時間や肉体的苦痛を想像するだけで涙が出るくらい感激してしまった。

おそらくこのビデオは、蓮井さんが海外のコレクターから、それ相応の代価を払って入手されたものに違いない。それを、「魔法都市案内」をご覧になっていただき、「おもしろかったから」ということだけでこのようなものを頂戴してしまい、お礼の申し上げようもない。

現在、このビデオを毎晩見ているのだが、それでもまだ10本くらいしか見られない。この番組は1979年から16年間も続いただけあり、そのおもしろさは半端ではない。

1回の番組は約40分くらいで、ポール・ダニエルズのマジック以外にもゲストのマジシャンのマジック、カーニバルで香具師がやっているギャンブル・ゲーム(コン・ゲーム)、ボードビルの芸人、大道芸、腹話術等、バラエティに富んでいる。16年間に渡り、世界中から一流の芸人を集めているので、見ていておもしろくないはずがない。

実のところ、私は今までポール・ダニエルズに関しては名前くらいしか知らなかった。1989年に、"PAUL DANIELS ADULT MAGIC"(BARRY MURRAY著、MICHAEL O'MARA BOOK, LIMITTED)という本が出ているが、彼自身はまとまったマジックの本も書いていないし、有名なオリジナルマジックがあるわけでもないので、今まで注目したこともなかった。それが今回、このビデオで彼のマジックを見て、マジシャンとしてのセンスの良さや、頭の良さには驚嘆した。また、好奇心のかたまりのような人でもあり、その辺りが私や蓮井さんとも体質的にあうのだろう。

また、番組の中で頻繁に出てくる「カーニバル用のゲーム」も、今まで文献では知ってはいたが、実際に見るとそのおもしろさ、巧妙さは格別である。ポール自身が演じる場合と、本物の専門家を連れてきて実演してもらっている場合もあり、これを見るだけでも価値がある。とにかく、その他の芸人もおもしろく、世界にはすごい芸を持った人がいるものだと感心するとと同時に、オリジナルの芸を持つことの大変さやすばらしさもわかる。

マジックに限っても、16年間ひとつの番組の中でマジックを見せ続ければ、それこそクラシックや有名なマジックはほとんどすべてと言ってもよいくらい演じているはずである。また、今まで見過ごしていたマジックも数多くやってくれている。本で読んだだけではおもしろいとも思えなかったものが、きちんとした演出で演じらているのを見ると、やってみたくなったものもが少なからずある。とにかく、ただ楽しいだけと言うより、様々な面で資料としても大きな価値のあるビデオである。ビデオ版「マジック&ボードビル百科」と言ってもよいものになっている。

現在、順に見ている途中なので、もう少ししてから「魔法都市案内」の中で情報を還元して行きたいと思っている。これを私の頭の中だけに入れて、それでおしまいにするのであれば、蓮井さんからこのような貴重な資料を送っていただいた意味もないので、何らかの形で還元できたらと思っている。

「フレッド・カップス特集」のような形で、「ポール・ダニエルズ特集」として紹介するか、この番組全体をフィーチャーするようなものにするか、まだ決めていないがしばらくお待ちいただきたい。

とにかく毎晩見ているのだが、数ヶ月は睡眠不足が続きそうなくらいおもしろい。

またこのビデオと一緒に、蓮井さんのビデオ・ライブラリーを"Microsoft Access"でデータベースにしたものも頂いた。

これがまた膨大なものであり、あれほどの量を一体どうやって入力されたのか、想像するだけで気が狂いそうになる。ビデオの場合、本と違い、中身を外からすぐにはチェックできない。そのため、あるマジックを見たいとき、「あのビデオ」の中に録画されていることがわかっても、それを引っぱり出すには早回しなどをして見つけなければならず、大変面倒である。2,000本どころか、200本を越えたあたりから、人間の記憶などあてに出来なくなる。

それが、頂いたデータでは、「出演者別分類」、「出し物別の分類」その他様々面から検索できるようになっており、テープの頭から何分目に録画されているのかもわかるようになっている。後から見直すとき、これがあればすぐにでも引っぱり出せるので、重宝なことこの上ない。データーはここまで整理できてはじめて資料として活用でき、力を持つ。

何の分野でも、本物のマニアというのは、ときに専門家をも凌駕することが珍しくないが、それにしても蓮井さんのライブラリーは半端な量ではない。コレクターというのは、ややもすると集めた資料を表に出さず、自分だけがこっそりと楽しみ、一切表には出さない人が多いのだが、それでは資料が生きない。集めるのに掛けるエネルギーは、金銭面、時間、労力、どれをとっても膨大なものであるので、自分だけでこっそりと楽しみたいという人がいるのもわからないではないが、それでは折角の資料が活きてこない。

絵画のコレクションを趣味にしていたある大金持ちは、自分が死んだとき、集めたすべての絵画を棺桶に入れるように遺言に残していたそうであるが、それでは世界的な名画も浮かばれないだろう。

蓮井さんご自身、マジック関係のビデオを集め、そのデーターベースを作るのをライフワークとなさっているが、それにしても、ただマジックが好きだからという理由で、世界中からこれだけの量を集められるものではない。日本にこれだけの量が集まっていると、後から続く者にとっても、かけがえのない財産になる。

ビデオテープは時間と共に劣化するが、最近ではレーザーディスクなど、これをデジタル化する機械も普及してきた。蓮井さんのあのビデオライブラリーを、すべてそのようなものに変換できたら保存、検索、閲覧も楽になる。私にその手伝いができるかどうかは今のところわからないが、もし必要なら、何らかの形でご協力したいと思っている。

某月某日

「魔法都市案内」には、今月も皆さんから色々と提供していただいた。それはモノであったり、情報であったりするのだが、何であっても大変ありがたいことだと感謝している。 別に頂くだけでなく、何かについて質問していただくだけでも、私自身、今まで気がつかなかったことが意識できたりするので、何なりとおたずねいただきたい。

ゴン太

奈良のN氏からは『ゴン太くん 手品できるかな』というパッケージに入ったものを数点頂戴した。

ゲームセンターでよく見かける機械で、クレーンを動かし、何かをつかんだり引っかけたりして、景品を取るゲームがある。あれの景品として、マジックのタネが入ったシリーズがあるそうだ。

左の写真のような、「ゴン太くん」というキャラクター人形と一緒に、「スポンジボール」や「メンタルもの」など、ネタの入ったセットがある。うまくやれば1回100円で取れるが、数種類あるようなので、すべてを集めようと思えば、かなりの額の投資をしなくては取れないのだろう。内容はマニアであればすでに知っているものが大半であるので、無理をしてチャレンジすることもないと思う。

また、山形のU氏からは、今流行っている「だんご3兄弟」に引っかけたカードマジックを紹介してもらった。このマジック自体は『カードマジック事典』(東京堂出版)にも載っているのだが、演出を「だんご3兄弟」とするだけで、観客の興味を引く。(「オンライン・マジック教室」に掲載中)

某月某日

パソコン通信のNIFTYにも入っているので時々覗くが、今、インターネットの世界では「メリッサ」「パパ」というコンピュータウィルスが流行っているらしい。メールに添付されて送られてくるので、知らないと感染してしまう。

このウィルスに対する警告が、NIFTYに接続したら出てきた。その最後に、次のような文があった。

もし、あなたのパソコンがコンピューターウイルスに感染しても、コンピュー ターウイルスはプログラムですから、人間に感染したりしません。感染したパ ソコンに触っても人間には感染しませんので、落ち着いて対処してください。

私はてっきり冗談で書いているのかと思ったが、そうではないようだ。わざわざこのような説明をするということは、コンピュータウィルスが人間にも感染する病気だと思っている人もいるのだろう。コンピューターが「一家に一台」となれば、このようなレベルの人まで出てきても不思議ではないのかも知れない。

某月某日

京都在住のテディベア作家、山田やすこさんに、「マジシャンのテディ・ベア」(笑)を作っていただくようお願いしている。

3月は京都大丸でテディベアのコンテストなどもあり、お忙しかったようだが、近々、作っていただけるようなので楽しみにしている。と、さりげなく催促しておこう。(笑)

LA PRIMAVERA

大丸のコンテストに出展されたのは上の写真のもので、タイトルを「プリマヴェーラ」(LA PRIMAVERA)という。(イタリア語で「春」の意味)

イタリアの画家、ボッティチェリの作品で同名のものがある。これはその絵からイメージして作ったものだそうだ。ボッティチェリといえばこの絵もよく知られているが、裸のヴィーナスが真珠貝の上に乗っている「ヴィーナスの誕生」のほうが一層よく知られているかも知れない。

本当ならコンテスト用にもっと趣向を凝らしたかったようである。それが、締め切り直前になって、参加者が増えたことを理由に、展示スペースの縮小などを主催者から言われれ、だいぶご不満のようであった。

近年、NHKの番組でもテディ・ベアを作る講座があったり、カルチャースクールなどでも「テディ・ベア教室」がよく開かれている。 デパートなどにもテディベアを専門に扱っているコーナーがあり、そのようなところで展示品をながめていると、外国人の有名な人の作品になると10万円前後するものがいくらでもある。なんでこんなにするのか不思議だが、たくさんテディ・ベアが並んでいる中でも、パッと目に付くものがある。不思議な存在感が漂っているものがある。どれも同じと言えば同じようなものなのに、妙に気になるものがある。

大勢の「コーラス・ライン」から一歩踏み出し、こちらに迫ってくる作品は、かわいいと言えばかわいいのだが、普通の整ったかわいさではなく、一見するとむしろヘンな顔といったものも少なくない。しかし、しばらくながめていると味があり、確かに引きつけられる何かがある。これは必ずしも値段に比例するわけではないが、たくさん並んでいる中で目に付くものは、そこに何か他と違うものがある。それはおそらく作者の「魂」なのだろう。同じような素材を使用し、同じように製作しても、顔の表情ひとつを例にとっても作者の個性が反映される。結局、自分の気に入るベアというのは、作者の個性に共感する何かを感じるときかも知れない。

某月某日

某週刊誌の編集部から、宴会用のマジックを教えて欲しいというメールが来る。うちにまで来て取材をしたいということであった。 引き受けようかと思ったのだが、締め切り日が連絡を受けてから数日しかなく、私のスケジュールとも合わなかったので今回はお断りした。

今までにも、宴会用、結婚式用、幼稚園などで開かれる小さな子供相手のマジックを紹介してほしいという依頼があった。このようなとき、いつも困ることがある。

ひとつは、紹介するマジックに市販のネタを使ってもよいのか、それともそのようなものは使わず、身の回りにあるものだけでやるのかということ。これは予算次第でアドバイスするものが変わってくる。

二つ目は、どんなに簡単なマジックでも、文字や写真だけでは伝えにくいものがある。目の前に本人がいれば1分で教えられるが、言葉だけではどうしても伝え難い場合がある。特にタイミングなどは、目の前に本人がいれば10秒でわかることが、言葉で説明しようとすると難しくなる。

「オン・ライン・マジック教室」では、今までクロース・アップ・マジックが中心であったが、ちょっとした宴会などでも出来そうなもの紹介しようと思っている。

某月某日

「煩悩即涅槃」に書いた「シュールな『恋人』」に関して、数名の方からメールをもらった。某Y女史は、例の「数え歌」の他にも「東京音頭版春歌」も知っていると言っていた。大阪のS氏からは、同じ「数え歌」で少しセリフの違うものや、13番まであるものが送られてきた。しかし、それらを全部紹介していたら、Yahooに、「春歌サイト」か「成人指定サイト」に登録されそうなので、掲載するのは控えておく。

京都のYさんからもメールが来ていた。 (『東京音頭』のY女史ではない)

Yさんによると、4月1日から「改正男女雇用機会均等法」がスタートしたので、若い女性がいるところで、この「数え歌」のようなものを歌ったら、それだけでレッドカードだろうと言われた。(汗)「お酌強要」もレッドカード、「結婚はまだ?」とたずねるだけでもイエローカードになるそうだから、ご時世とはいえ、宴会やお花見でこんな「数え歌」をやったら、間違いなくレッドカードが出るだろう。

また、Yさんはこのルネ・マグリットの絵を見たとき、最近インターネットで流行っている「メール・カップル」を連想したそうだ。メール・カップルというのは、お互いの顔も知らないままメールの交換でイメージやら妄想を膨らませ、「理想の恋人」に仕立て上げて勝手にその気になっているカップルのことである。

十分盛り上がったところで「ごたいめ−ーん」とやって(ちょっと、古いか?)、実際に会ったとたん幻滅するというパターンが、このところ激増しているそうだ。

普通の結婚にしても、お互いが一種の「発狂状態」(恋愛中と言ってもよいが)のとき、勢いにまかせてやってしまわないと出来ないが、顔を見ないでメールの交換をやっていると、益々妄想は膨らむのだろう。

メールに限らず、文章からわかるのは相手のほんの一部にすぎない。実際に会ったとき幻滅するのは、日常行っている些末なこと、無意識におこなう何げない振る舞い、そのようなものの中に、その人の本質なり、自分との相性が隠れているが、その重要な部分がわからないからである。

食事の仕方、掃除の仕方、その人の癖、その他諸々の日常的なことの中にこそ「気になる部分」はある。その一番重要なことが、メールや文章だけではわからない。電話でも大同小異である。一緒に旅行に行ったくらいでもダメで、本気で結婚を考えているのなら、2,3ヶ月同棲してみることが賢明である。それでうまく行きそうなら、それから結婚式を挙げても遅くない。書類一枚のこととはいえ、婚姻届を出す前なら別れるのもずっと簡単である。

マグリットの絵を見て、私のように「数え歌」を連想する者もいれば、「記号論」、「男女雇用機会均等法」、「メール・カップル」を思い浮かべる人もいる。こうして並べてみると、どうにも品性の差が歴然と出てしまい、何ともまずい。(汗)

某月某日

阪急電鉄神戸線、武庫之荘駅から北に5分ほど歩いたところにあるイタリア料理の店、DAVINCI(ダ・ビンチ)で「愛人」と食事をする。うちから車で5分ほどの距離なのに、こんな店があるなんて今までまったく知らなかった。本格的なイタリア料理が、大変リーズナブルな値段で食べられる。予約しておくと、奥まった部屋の、落ち着ける席を取ってくれていた。

DAVINCI

初めて入った店は何がおいしいのかわからないので、とりあえずシェフにおまかせして作ってもらうことにしている。一般的なディナー程度のものをお願いしたら、全部でいったい何皿出たのかわからないくらいたくさん出てきた。前菜だけでも3,4皿、パスタが3皿、...最後のデザートまで入れると、トータルで14,5皿はあったと思う。私も「愛人」も、人の倍くらい平気で食べる人間なのに、これにはさすがにギブアップしてしまった。

特にメインディッシュの肉料理には水牛のミルクから作ったというモッツァレラチーズが乗っており、大変おいしかったのだが食べきれない。二人で顔を見合わせていると、「もし、お腹がいっぱいでお召し上がりになれないようでしたら、お包みしましょうか?」と店員が声を掛けてくれた。これだけで、この店の雰囲気やオーナーの人柄がわかる。普通、私は出されたものを残すことはまずないのだが、こちらが頼むまでもなく、このよう気遣いができる店は一事が万事、細かいところまでよく気がつく。これには「愛人」も感激していた。

最後には小さなケーキが3個出てきて、これも私は半分で諦めた。しかし、女性はケーキだけは入る場所が違うようで、「愛人」はあれだけ満腹だと言っていたのにはケーキは全部食べていた。

今回はシェフにお任せして作ってもらったので、次々と出してくれたのだろうが、ランチのパスタ類も好評のようなので、次回は少し軽いものも試してみるつもりにしている。

夜の7時から食べ始めて、相当なピッチで食べたのに、最後のコーヒを飲み終わったらちょうど10時になっていた。店から出ると夕方まで降っていた雨もすっかりあがり、桜も満開といってよいほど咲いている。すこし寒かったが、夜桜を眺めながら歩いて帰ってきた。

補足:この店は武庫之荘の閑静な住宅地にあり、派手な看板もなく、知らないと通り過ぎてしまうようなたたずまいである。料金は、あれだけ食べて、グラスワインを二人で4杯飲み、一人、1万円程度であった。思わぬ穴場を見つけた気分でうれしい。

TORATTORIA DAVINCI
阪急神戸線 武庫之荘駅北:武庫之荘1丁目
電話:06-6437-6612

某月某日

4月1日は"April Fool"ということになっているが、マジシャンは年がら年中人をだましているので、マジックの世界では、この日一日だけは人をだましてはいけないことになっている。"April Truth"と呼ばれ、一年間、人をだまし続けた懺悔もしなくてはならない日になっている。

(というのは、勿論ウソ)


先月の日記で、マッチ棒で作る犬の問題を紹介した。あれの答であるが、下にある「犬の答」をクリックすると出てくる。しかし、もしあなたがまだ先月の問題を読んでいないのなら、答を見る前に、問題を先に読むことをお勧めする。

「先に犬の問題を見る」

「犬の問題の答」

マジェイア

backnext indexindex 魔法都市入口魔法都市入口

k-miwa@nisiq.net:Send Mail