弥生人DNAで明らかになった日本人と 半島人の起源
       ー朝鮮半島に渡った縄文人ー





  本稿は、NHK Eテレ: サイエンスZERO 「弥生人DNAで迫る日本人の起源」2018年12月23日放映
  を見て、内容とそれが示す意味を述べたものである。



期待せずに録画予約し、数日後に見て驚いた。
■前編は、青谷上寺地遺跡から出土した2世紀の弥生人32人の ミトコンドリアDNA分析の結果。
■後編は、弥生人の核DNA分析で見えてきた日本人の姿。 
解説は篠田謙一氏(国立科学博物館)


核DNAは、30億の塩基の連なりで、

ミトコンドリアDNAの、1万6500の塩基と 格段の情報量差がある。



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今まで、東アジア世界に於ける日本人ルーツ探索の最新は、(福島県)三貫地縄文人の核DNA分析によるもの (下図)だった。


左図: 東アジア世界に於ける 縄文人のDNA位置。
右図: 縄文人は、(出アフリカ後)古い時代に東アジア人の共通祖先から 先に分岐し、独自の進化をとげたことが判明。


    ※縄文人の核DNA分析の参考記事 「縄文人」は独自進化したアジアの特異集団だった!





今回は、弥生人の核DNA が分析対象となり、その関係上、韓国人のDNAの立ち位置が示され、これがショックを与えた。



■縄文人は、東アジアの集団とは別起源で、その集団の一直線上には位置していない。

■韓国人は、私は何となく 北方のツングース系民族が 半島に南下したものに、大陸の諸民族が侵入し混血したもの、と思っていた。
     従って、東アジア人集団の一直線上 (の北京中国人あたり)に位置すべきと思っていたが、奇妙なことに その一直線上から離れている。 で、驚いた。
     東アジア人が出自 とは言い切れない、別の新しい混血集団のようだ。

               

遺伝子レベルでの、韓国人の この立ち位置が意味するものは、
韓国人は、ルーツを異にする縄文人と ルーツを異にする大陸人の 交雑で生じた 新しい若い集団、ということになる。
(異なる民族間の交雑による子供のDNAは、両者の中間の位置にプロットされる。 ← 篠田謙一氏 )

               

韓国人は、縄文人 と 大陸人の混血」 が意味することは、半島は元々 列島からの縄文人が、先住民として住み着いた土地であり、
その後、大陸北方から他民族が侵入してきて先住の縄文人と交雑し入替り、両者のDNAを有する半島人が誕生した、ということ。※1


従って、弥生時代の半島人や 弥生時代の半島系渡来人は 先住の縄文人の末裔であり、その遺伝子を持っているということになる。
後半、典型的な弥生渡来人は縄文人の遺伝子を持っていた、ということが福岡県安徳台遺跡(弥生中期)の、弥生人女性の核DNA分析で示された。

※1
これについては 「韓国人は何処から来たか」長浜浩明 2014.1.20 展転社 は次のように述べている。
半島は、BC10000年〜BC5000年の間、旧石器遺跡が(わずかしか)出土せず、ほぼ無人だった。
BC5000年頃から、縄文人が列島から半島に渡り 定住を開始。
BC2000年頃から、大陸北方から人々が(先住の縄文人を駆逐するように)侵入し、縄文人と交雑し、縄文人と入替わって、半島人が生じた。




次に 弥生人 3体の核DNA分析の結果が示された。

岩手の弥生人は、縄文人そのままで、弥生文化を受容した縄文人。
九州(長崎、福岡)の弥生人は、渡来人の影響を受けて、下方に位置してる。

福岡・弥生人(典型的な弥生渡来人)の立ち位置は、
東アジア人集団の一直線上ではなく、それと縄文人との中間であった。


福岡県安徳台遺跡(弥生中期)の、朱に覆われた甕棺に埋葬された弥生人女性は、骨格などから典型的な弥生渡来人と思われていた。
ところが核DNA分析では、渡来系遺伝子の他に 縄文人の遺伝子を持っていることが明らかにな った。

篠田謙一氏は、
『一般的に、渡来系の人ということになれば 朝鮮半島であるとか中国であるとか そういう人たちと同じ遺伝子を持っているんだろうと考えていたので、
典型的な渡来人というのが、実はかなり縄文と混血している という話になりますので、かなり意外な結果になりました』 と驚いていた。



弥生人の遺伝子分布は広く、渡来弥生人が縄文人を駆逐し、置換するように列島全域に広まった、という説は根拠のない過去のものとなった。

( 関連: 水田稲作をもたらした渡来人は少数であり、その後 列島の縄文人社会に溶け込んでいった。 → なかなか広まらなかった水田稲作





現代日本人 の立ち位置は、遺伝子レベルの解析によると何処になるか?

         推定図      実際の図


左図は、弥生人がそのまま進化したと推定した場合の図。

右図が実際の範囲図で、(推定図より)福岡の弥生人に近い。 
つまり、弥生時代以降に、大陸系民族がかなり渡来したということを示す。
古墳時代〜飛鳥時代にかけて、半島の戦乱を避けて多くの大陸系渡来人、滅びた百済・高句麗の遺民たちが列島に流入したが、その影響と思える。


このように、現代日本人 は 縄文人を祖先として、外部からの侵略・征服といった大きな変化圧力もなく、
渡来人たちを受け入れて ゆるやかに現在に至っており、(遺伝子的には)東アジア集団とは隔たった位置にいる。


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篠田謙一氏は 事実だけで大胆な仮説は述べなかった。
しかし、核DNAの解析結果が示すことは、半島は元々縄文人が住み着いた土地であり、その後に他民族が侵入し、先住縄文人と交雑し入れ替わり、弥生時代の半島人が生じた。 
従って、半島系渡来人は先住縄文人の末裔であり、典型的な弥生渡来人であっても、縄文人の遺伝子を持っている。ということを示した。



  【 後 記 】

  年末のサプライズだった。
  見終わって気になったのは、図でキーとなる韓国人のDNAが、どの時代のヒトか? ということ。
  半島の歴史を見ると、列島とは異なり 大陸の多くの集団により侵攻・征服され混血している。

  図が現代人だったら、弥生時代はずっと縄文側に接近した位置だろう。
  図が縄文・弥生時代の人だったら、今は一直線上の集団に埋没してるのかも、などと思った。



                     2018年12月29日     宇田川東


  関連@: 高麗の若光について
    A: 古代新羅について


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