地中海英雄伝説
これは、銀河系に君臨した星間国家による長い歴史の一幕を切り出した群像劇である。
かつて銀河ローマ帝国と呼ばれた、その国家が何故数百年以上にもわたって、人間の知りうるいくつもの星々を治める宇宙の覇者たりえたのであろうか。何故、ローマだけがそれを成し遂げ、にも関わらず彼らはやがて衰退して滅び去ったのであろうか。
その答えは、所詮は結果に対する憶測でしかないのかもしれない。だが、彼らは確かに繁栄の時代を産みだし、多くの航路と惑星を整備して、今も残る星間国家群の礎を築き上げたのだ。そして当時ローマに生を受けた人々はそうしたただ一つのローマで生きていた。彼らは自分たちが、何故、彼らだけがと後世問われるような存在になるとは考えもしなかったであろう。
彼らは常に戦いの渦中にあった。時としてそれはローマを守る者とローマに攻め入る者との戦いであり、改革を唱える者が互いに覇を競う局面であり、分裂したローマがその優位性を争う舞台であった。人が小さな惑星の表面にある、大地の一画にしがみついていた頃からその営みは変化していないのであろう。当時から、彼らのような剣を持って歴史を切り拓こうとする者たちを称する名は変わらない。
人は、それを英雄と呼ぶ。
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