●大混乱な街NAPOLI

NAPOLI CENTRALE
arraival am 11:05
ローマから約2時間の旅。大した事はない時間だ。しかし、この駅に降り立ったとたんに、ここはさらに南に来たことを思い知らされる。本当に、暑いのだ。とにかくガイドブックもない(前述したように、僕がすでにヴェネチアで忘れてしまっているのだ。)ので、とにかくインフォへ一直線。ここがまた結構込んでいる。窓口は2ヶ所しかなく、そこへ観光客が群がっているのだ。僕らの前に韓国人と思われる4人家族がホテル探しで、インフォとやり取りしている。そのうちに、僕らも(多分東洋人ということでくくられたと思うんだけれども。)一緒になって、インフォの人とやり取りをして、結局は同じ所へ泊まることに。とにかく言われた通りに僕らはカメラ屋でバス一日券を購入し、バスに向かうことに。
駅を出ると、巨大なロータリーになっているが、ここは今まで見たことのない、まさしく大混乱な状態になっている。けたたましいクラクションの音。駅前のロータリーがバス、トラック、乗用車で生め尽くされ、その間を縫うようにバイク、自転車、歩行者が通って行く。一体、自分達が、どこを目指して、誰に聞いたら良いのか、そして一体ここはなんなのかという、まさしく混乱した状態を、たった今たどり着いた無知な旅行者に対しては、余りにも部外者だという、場違いな感じがする。
でも、とにかく僕らはホテルに行かなければならない。とはいっても、どこが道でどこが歩道すらわからない。車に追いかけられながら道を渡る。しかし、渡ったところで、いったいどこがバス停で、どこ行きなのかすらわからない。漫然といろんな色のバスがそこに留まっているだけ。やっと希望のバスにたどりつくまでに、10人近くに聞いた気がする。韓国人の家族も、とにかくこの状況には唖然としていた。異国な東洋人たちは、木の葉のように、フラフラしながらも、協力し合いながらも目的地に向かうのであった。
バス発車、というべきか、とにかく動き始めたけれども、道路に出た瞬間に、一歩もすすまない大渋滞にはまってしまったのだ。全く前に進まない。窓下の道路を眺めていると、まさしく駅前の大混乱がそのまま続いているのであった。というか、これが普通の状況なのだろう。道路マナーというものは子の街は存在しない。中央分離帯に少しでも隙間があれば、自動車は突っ込んでくる。しばらくすると、今度は逆方向から突っ込んでくる。出会い頭にはお互い譲らず、けたたましくなるクラクションの音が一層暑さにを拍車をかけている。とにかく、冷静な思考回路ではこの街は通用しない。
一体どれだけ時間がたったのかわからないくらい、バスは遅々として進まない。まあ別に僕らは一泊とは言え、とくに時間に追われているわけでもなく、気をもめる必要はないのだけれども。 海岸線に出ても、状況は変わらないが、とにかく状況は余り進展はしていない。バスに乗り合わせた乗客いわく、あっちこっちでストが決行され、そのために大混乱に陥っているとのこと。この状況は特別なものであったのかと、ちょっと胸をなでおろす。
途中で、僕らは歩くこととする。慣れない石畳や凸凹の荒れた道に、何とか手車の荷物を支えながら韓国人家族についていく。彼らは、手際良く背中に背負う荷物しか持ち合わせておらず、フラフラの僕は結構な足手まとい。 やっとも思いでホテルにつく。 ナポリはたったの一泊なんだけれども、結構新しく、快適なホテルである。
hotel San Marco
26 calata san marco 80133 napoli
tel/fax 39 081 552 0038
sanmarcohotel@tin.it

チェックインして、すぐに街にでる。先程の韓国人の家族とは、残念ながらもう会うことはなかった。イギリスに住んでいるとのことだが、とてもインテリジェンスを感じさせる人達。ローマであった韓国人も、フレンドリーでそしてきちっと英語が話せる。何処かで、景気の低迷に悩んでいるだけの国よりも、よっぽど勢いを感じた。

●街の頂上へは歩きで
チェックインを過ぎ、室内に入り荷物を置いたらすぐに出発。とにかく街にいるのはたったの1日だし、 その他にも前にも書いたが、
1)エールフランスのリコンファームがいまだに出来ていない。デッドラインは間違いなく今日。
2)ウィーンでデジカメのメモリースティック他大事な書類ををなくしてしまった可能性があるので、フロントに問い合わせをする必要がある。
早速、街に出て、近くの公衆電話でかける。公衆電話から海が見えるところがナポリらしい。しかし、そんな優雅に電話する余裕はない。結果から言うと、エールフランスとは連絡が取れ、あっさりとリコンファームが出来た。ホッと一息。ウィーンの忘れ物(と思われる)については、フロントと連絡が取れたが、そのようなものは残念ながら無いといわれてしまった。結局、懸案のひとつは残ることになってしまったのだ。何処へいってしまったのだろうか。
さて、気を取りなおして、ナポリの街に出る。立派なガレリアがあるのだ。今回はイタリア旅行とは言え、ミラノには行けなかったので、このような形式のガレリアに巡り会えたのは非常に嬉しいこと。
ちょうどお昼を迎えていたので、お店を物色すると程よいバールを発見。カウンター越しにパンやらサンドウイッチやらを注文する。デザートも程よくそろえられており、昼時と丁度重なったのか、ものすごく混雑していた。対応のお兄さんはとてもやさしくしてくれたので、とても好印象。味も平均以上といったところか。でも、いままで散々な目にあってきたローマに対して、ここは程なく開放感があり、気分的にもリラックスしているせいか、とても美味しく感じたような気がする。僕らが食べている間にもどんどん人が席を待っており(日本のたち食いそば屋的なプレッシャーを感じてしまうのだ。)、食べ終わってそそくさと出ていく。
e'scugnizz'
galler.umberto i , 72 napoli
tel 081 401 199

つぎの目的地は、この街の頂上にある美術館。とはいっても、入る事が目的ではなく、そこから見た景色はどのようなものなのか、興味がそっちの方にある。残念ながら美術館に入る余裕な時間はないのだ。街をぐるりと回りながら、ロープウエイの乗り場を探す。しかし、すっかり忘れているのが、いま運が悪いことにストだということをすっかり忘れている。案の定いってみると、鉄格子で入り口が閉じられているまま。入ることは全く出来ない。入り口には何か貼られているが、イタリア語は全く読めないので、あきらめる。徒歩に切りかえる。
インフォでもらった地図を頼りに、昇り始めるが、ここナポリはかなり上り坂が急で、体力がいる。とにかくこの街は坂道が多い。そして、その狭い路地をここのイタリア人は狂ったようにかっとんで来る。本当に命知らずの人達である。このことは、また後述する。ある時点から坂道ではなく、階段だけのきつい坂になってきた。後戻りはしたくないので、入り口を間違えてはいけない。建物の入り口でたむろっている女の子に地図を指しながら行き先があっていることを確認する。南国の暑さと、きつい坂道ですっかり体力を消耗しているけれども、ここまで来たら後戻りは出来ない。さっきの女の子達は全く英語が理解できていないが、身振り手振りでなんとかわかるもの。帰って自分が日本語でしゃべっているほうが相手に理解しやすい感じがする。歩き始めてすぐに何か背中に視線を感じフッと振返ると、さっきの女の子達も、そしてほとんど路地に面していて窓際にたむろっているおばちゃん達の顔が一斉にこっちをジッと見ているのであった。思わず噴出しそうになったけれども、ここは我慢して先のきつい階段をまた登るとする。 ひたすら階段を歩く。かなり汗をかいている。やはり途中で分かれ道(階段)があり、方向を見失いそうになるが、運良く初老のおじいさんに出会い、道順を身振り手振り(やはり英語は全く通じない。)で教えてもらう。そのおじいさんには本当に登るのか何度も確かめられたような気がする。とにかく、行くんだったら、がんばれと、大きな声で背中越しに手を振ってくれていた。 それにしても、目的地はまだまだ先にある。

●途中のネコ達
山の中腹近くになってくると、さすがに、海と街が見下ろせるくらい、視界が開けてくる。そこへネコの集団に出くわす。みんな違う種類のネコだけれども、なんだか家族のように一緒になって固まっている。しかし、そこは野良猫、みんな性格は違う。ひたすら、愛想を振りまくネコ、全く無視するネコ、面倒くさそうに逃げていくネコ。様々である。不思議とカメラを向けられても全く動じないのである。おかげでだいぶ写真は撮らせてもらった。こんな途中でオアシスの様な出来事が会ったもんだから、またここで力を搾り出せるのである。それにしても、本当に坂道がきつい。 やっとこのことで、頂上につくも、実はこれといった展望台は見当たらない。城を改装した美術館はあるけれども、これには行ってしまうと、ここに時間を喰ってしまうので、あきらめる。折角ここまで苦労したのに、これといった収穫もなく坂道を降りるのはいたって残念。しかも、この暑さの中、相当に汗をかいており、のどが相当に乾ききっている。
そこへ、ちょうど目に入ったジェラートを売っているらしき店が目に入る。迷わず中に入ると、気の良いおじさんが出迎えてくれる。ジュースとジェラートを頼むが、おじさんは笑いながら、店の中へ案内してくれる。笑っていたのは、きっと僕らの顔が余りにも疲労困ぱいしており、オアシスにでも出くわした様な顔をされたのに、さぞかしおかしかったのだろう。しかし、僕らは必死である。店の中へ案内してくれるが、何とここはなんとれっきとした立派なリストランテであった。もちろん時間外なので誰もいないので、きっと特別に案内してくれたんだろう。それにしても、ここからの眺めは絶景であった。きっと夜には客でにぎわっていることであろう。ナポリの街並み、から、遠くまで見える半島。僕らが苦労して登った甲斐がここで成就できたわけだ。
ristorante cin cin
via t. angelini , 29 s.martino napoli
tel 081 558 6100

さて、ここで一休みしてから、この頂上の街を探索とする。ここは下界と全く様相が違うにである。一目で見てここは金持ちの街だと。建物も、歩いている人達も、明らかに下の街にいる人達と身なりが違う。人歩きして、さて下界に帰るかと、ロープウエイをあきらめバスで移動できないかバス停を探す。程なくしてバスは来るが、この雲の上の街の中をグルグル回っているだけで、下界には下りない。ということは自分の足以外の手段はないらしい。結局はさっき歩いてきたきつい階段をまた下ることに。もちろん先程のネコちゃん達は同じ所にたたずんでいる。 先程の憎たらしいくらいの太陽はそろそろ傾き始めているのであった。

●とにかく我が道行くナポリっ子
下界に降りたら、今度は海岸線を歩くとする。 改めてここは観光地だということを認識する。海に面するところにはずらりと高級ホテルが林立する。格を感じさせる。海沿いをゆっくり歩くと、様々な色の手漕舟が街に彩り、ハーバーには、ヨットが停泊し、あの独特のロープがマストを打ちつける音が心地よい。ふと海側を見ると、おじさんがのんびりと釣り竿を下げている。そして、なんとおこぼれを頂こうと、野良猫がジッと釣りの様子を眺めている。そんな、のんびりな環境が漂う中、ゆっくりと日が暮れてくる。潮風が気持ち良いのだ。
そんな、のんびりムードをたちまち消してしまう、けたたましいクラクションの音。丁度そこを見ると路上の真中でオートバイに乗っている人と、歩行者が思いっきり喧嘩をしている。別に殴り合いをしているわけではないが、思いっきり顔を近づけて怒鳴っているのである。さすがラテン系である。道路の真中で喧嘩しているわけだから、車がその後ろで大渋滞になっており、クラクションを鳴らしていても、耳に入っていないらしい。そのまま通りすぎるが、クラクションの音が止むことはなかった。
ついさっきまで街の頂上を目指したときの裏路地で、カッ飛んでいるオートバイのことを書いたが、何しろ、ここにいる男達は命知らず。そして熱い。まさしくラテン民族と一般的に言われているそのものである。きっと普通に接していると、決して失礼なことは無いと思うが。 そして、笑えるのが、街の道路のど真ん中に犬が、気持ち良さそうに寝ているのである。犬まで、マイペースなのは世界どこ見てもこの街くらいじゃないだろうか。しかもこの犬は警官が立っている後ろにいるからにして、笑える。動物に寛大なのか。
さて、夜のディナーはナポリに来たらもちろんピザ。しかも今日行くところはマルゲリータ発祥のお店といわれているBrandiというお店。ここは、多分地元でも超有名店で、地元から有名人まで、そしてナポリサミットの時でも、あのクリントン大統領も訪れたお店。当時の様子もしっかりと写真で飾ってあった。夜の7時からの開店だが、既に盛り上がっており、やっとのことで狭い2人席にたどり着くことが出来た。もちろん、マルゲリータを注文。絶品で、味は今までイタリアを旅してきて、やはりどこにも負けない味であった。生地はほのかに、そしてしっかりとした味わい、その上にのっているチーズやらトマトやら、とにかくうまい。実は、仙台にいてナポリピザをためることの出来るお店もあり最高だが、やはり雰囲気といい、味といい、本場はすごいと思った。是非ナポリに行ったときにはここで食べることをお勧めする。
Brandi
salita s. anna di Palazzo.1 416928

僕らの席の隣にも日本人のカップル(ではないのかもしれないが)、ワインボトルを思いっきり開けながら、大声でわめき叫んでいる。ウエイターにハーブティーは無いのかと、訳の判らない注文をし、当然無いといわれると、外国人のよくするジェスチャーをしながら "un belivable!"と叫んで、小ばかにしたようにそして、笑い転げるといった様子。本当に同じ日本人ながら恥ずかしくなってしまった。折角美味しいピザを楽しんでいるのに一転して、とてもまずい雰囲気になってしまったことを良く覚えている。外国に行くと日本人の失態やら、失言がよく取り沙汰されるが、たのむから最低限の礼儀をわきまえてほしいもの。あ〜あ、いま思い出しても気分悪い人達。
さて、気を取りなおして、そとはすっかり暗くなっている。ナポリははやり治安の面では不安であるらしい。あまり遅くならずに、ちょっとだけカフェに寄ることにする。なにしろ、足早にブランディを出たので、老舗(1860年開店)のカフェGambrinus行く事にした。ここはババというケーキが有名。しかしメニューには載っていないのだ。ウエイターにババが食べたいというと持ってきてくれる。しかし、楽しみにしていたババは、リキュールたっぷりのかなり重たいケーキであり、いままでたらふくピザを食べてきている僕らにとっては、あまりにもきつい。結局半分くらいは残すこととなる。 しかし、どこへ行っても、ウエイターは気さくな人達ばかり。今回は、父からの借り物のデジカメsony P-1を持ち歩いているので、小型で、しかも見なれない形ゆえに、やたら人々の目に付く。ここのウエイターもそうなんだが、このデジカメには相当に興味があるらしい
。このようなデジタルデバイスは万国共通、興味の対象と言ったところか。 帰り道、10時くらいになってしまって、場所によっては、相当暗くなってしまっている広場とか通りながら一路ホテルを目指すが、こっちの受け止め方の問題だろうけれども、とにかく集団で不穏な動きを示す若者集団がいるので、近づいてくるような気配があると、ササッと違う方向に向きを変えながら、何とかホテルにたどり着く。 ホテルにたどり着いたのは良いが、既にシャッターが閉められており(よっぽど深夜の治安が良くないのか。)、インターホンで名前と部屋番号を受け答えしないと入れない。 今日も、良く歩いたし、美味しい食べ物にも出会えた、満足な一日であった。時間さえ許されれば、カプリ島の青の洞窟に行って見たかったけれども、今回はどうしてもパス。 明日からは、世界遺産にも指定されているアマルフィーに行く。これまた、大変な旅となるが、とにかく今日はそんなことを知らずにとにかく寝るとする。



 
to amalfi


ナポリにある
ガレリア。
とても美しいのだ。


美しさの中には
歴然とある歴史が
刻み込まれており、
さらに、その良さが
引出されているのだろう。


e'scugnizz'
僕らが入った後から
どんどん列をなすくらい
人が多い。繁盛している
お店であった。


とにかく、信号だろうが、
十字路だろうが、
かまわず、突っ込んで
くる、現地のライダー
達である。


山頂目指す途中で
出会った、ネコと老人。


このネコも可愛かった。
眼下を望む位まで
登ってきたのだった。


山頂付近。
ここまで来たら、
登ってきた甲斐が
あるというもの。


頂上の街は
上流階級の街みたい。
チンクエの状態は
すばらしいものがある。


ristorante cin cin
とにかく、ジュースで
乾杯といったところか。
疲れた。


帰り道、家の玄関から
顔を出していたネコ。


街に戻ったら、
もう黄昏時を迎えて
いたのだった。
卵城も夕日にあたって
美しい。


海岸沿いは
超高級ホテルが軒を
連ねる。この先を
曲がったところで、
喧嘩が、、、


このネコの視線の先は
海岸線で釣りをしている
人に向けられているのだ。
おこぼれをゲットしようと
しているのだろう。


警官の後ろで、
しかも道のど真ん中で
堂々と寝ている
ワンちゃん。
これで良いのか。
そこが許されるのも
ナポリの良さなのか。


brabdi
採光のピザが
食べられる。


いま、写真見ても
よだれが出るくらい
美味しいのだ。


カフェGambrinus

歴史ある、ゴージャスな
カフェ。


これが、噂の
ババというもの。
かなりへヴィーなもの。