なだらかに南に下がる、段状の畑と宅地が混在する集落にある旧家屋の建替え工事です。
南に開け、ゆとりある敷地では、東西軸に沿って建物を配置し、南に屋根庇を設ける伝統的な構成に従う事で、季節に応じて太陽の熱を遮り、また恵みを得られます。
こうした風土と歴史に育まれた構成は、自然に順応し、極力機械力に頼らない生活環境の望ましいあり方の一つと考えています。
ここでは、東西2列の配置とし、南側を平屋、北側を2階建てとし、居間・食堂の吹抜け空間が、それらを立体的につなぎ合わせる構成としています。
コの字型平面の計画に加えて、西側に、ご子息の住いが予定され、その二つの建物に囲われた2世帯で共有する庭(コート)を含めての全体の計画でした。
外装はシックイ塗り、内部はムクのフローリングに自然塗料、内部の壁もシックイ塗りとしています。
居間吹抜けを架けあがる松丸太の梁は、赤い皮のついた原木選びの段階から、建て主ご夫妻に参画いただき、立木と材木の連続性を体験していただけました。
建築種別 | 住宅 |
建築用途 | 専用住宅 |
構造・規模 | 木造 2階建て |
その他 |
曲面を描いて連続する吹抜天井
上・下階、内・外部の見え隠れを楽しむ階段
天空光と人口照明を仕込んだ光天井
棟上げ当日、階段正面の松梁に大きな 節穴 があるのに気付き、棟梁はそれが節ではなく、キツツキの巣穴であったことを教えてくれました。
埋木で隠してしまうよりも、穴をそのままに、キツツキの彫刻を取り付ける事で、建築主を含めその場の全員が賛成!
建物が出来上がる頃アカゲラのバードカービングが届き、居間からも見上げられる天井の片隅が、小さなチャームポイントになりました。