岡山市南西部、かつてはイ草(畳表)の産地、今もわずかに残るイ草加工場や染色乾燥ヤードが名残をとどめる地域です。
イ草生産農家の作業小屋部分がL字型に南に張出し、その部分のみが当時の入母屋屋根形式で残っていました。
物置として使われていた旧作業小屋部分を改装し2世帯住居(若夫婦世帯)とする計画です。
基礎は無く延石の上に直接柱建て、土間は土(三和土)で床は無く、土間面から2階床まで2,430、2階の天井高さは1,630~1,800、面積は1・2階合せて約20坪の一般的な住居として考えればきわめて厳しい条件でした。
建物全体をポスト(仮設用簡易ジャッキ)で支え、空中に浮かせた状態で基礎と土台を設置、耐震補強を可能にしました。
2階は生活空間確保のため旧天井撤去、小屋組を露出しました。 外装は入母屋の端正な姿の魅力を生かせるデザインを心がけ、旧建物を手掛けた棟梁の思い入れもあったであろう2階の窓腰掛は壊れた部分を修理しそのままデザイン要素としています。
瓦屋根・壁シックイと焼き杉腰壁板は既存のままの更新です。
制約条件から、かなり低い1階天井高の居心地の良さや、既存の梁・1階天井となる2階床裏面の板張り(黒ずんでいたのであえて黒く塗装)、2階の小屋裏から出現した曲りくねった丸太材等、新築では実現出来ないおもしろさが得られたように思います。
リフォームの醍醐味を建築主と共に満喫できた仕事でした!
建築種別 | 住宅 |
建築用途 | 専用住宅 |
構造・規模 | 木造 2階建て(改装) |
その他 |
端正な既存の入母屋と窓手摺をそのままに!
アプローチ 外観
玄関
ホール 正面、船底肘木で新旧の梁を支持
食堂
居間・食堂
食堂から台所
2階 子供室 天井裏に隠れていた小屋組丸太を露出