瓦葺屋根及びしっくい塗壁等の伝統的な形・素材(1階診療部分)で、歴史を刻んだ建物や、現存する街並みとのイメージの連続性を計り、一方で円に内接する多面体の金属屋根の幾何学な形態(2階住居部分)を併置する事によって、歴史性と現在の併存、「旧さ」と「新しさ」の同時共存を計っています。
既存の街並みに融合しながらも、埋没してしまわないだけの個性を保たせる、こうした小さな努力が街並みの活性化につながればと願っています。
□ 空間構成
雑木林風の植込みで道路とは柔らかく隔てられ、玄関ポーチに至り、ホール・受付を通過し、待合室に到れば、中庭側の足下まで引き寄せた水面の上に立ち、さらに処置室に進めば、正面の光庭にアプローチで見た雑木林の一部が入り込んで来ている、トポロジカルな連続性をも意図しています。
「道路側から寄付き、部屋に入り窓際によれば海の上に居る」この空間構成のシークエンスは、尾道水道に面する建物によく見かけられ、こうした地元の人達になじみ深い構成の引用に加え、明るく開放的な空間と樹木の緑によって、医療の場に臨む患者さんの気持ちを少しでも和らげられればと考えています。
*** 医院建築 No 21 原稿より抜粋
建築種別 | 医療施設 |
建築用途 | 医院(内科、小児科) |
構造・規模 | 木造 2階建て |
その他 | 医院建築(彰国社) No 21 掲載(2001・7月刊)、 医院建築秀作事例集2:内科系編掲載(2006・11月刊) |
南コート側 夕景
エントランス ポーチ
エントランスホールから待合室
処置室にも自然光と緑を!
処置室から待合室、右手はキッズコーナー