六畳向切炉

茶室六帖 床の間茶室六帖 向切路

□ 六畳向切炉について

広間の炉は四畳半切が原則とされ、向切、隅炉等はほとんど例がないようです。
広間に壁付あるいは隅に炉が切られている状態は重心が隅に片寄り、四畳半切炉が室の中心近くの場合のような立体感に乏しく、この点でも望ましい構成には成り得ないのではと考えています。

藤村庸軒の居間六畳について「文字通りの居間として作られたらしく棚だけで床もなかったが、点前畳(台目畳に向板、向切炉)は付加されていて、いつでも茶をたて誰にも振舞える備えをもっていた。」
(京都反古庵屋敷図解説:茶匠と建築、中村昌生著)

茶室としてよりも、生活に重きがある部屋である場合、壁際に炉を切る方法もあっても良いのではないかと考えています。

□ 楊子柱、柳釘について

現在では、結柳は床飾りとして、釘は床の奥入隅下座側に打たれるのが通例なのでしょうか?

「楊子柱は、天正15年(1587)北野大茶会の利休四畳半に作られたものが初めてのようであり、現在裏千家又隠に見られる楊子柱、柳釘は宗旦以降であり、利休のものは、柳ではなく別の花のためであろう。」
(利休の茶室:堀口捨己著より要約)

いずれも点前座の入隅柱であり、床の入隅では無かったようです。

広い四畳半の席では、点前座の上隅あたりに少し物足りなさを感じ、楊子柱が考案されたと考えるのは早計でしょうか。
ここでは、そのような考えで楊子柱を点前座入隅に設けてみました。