活性酸素について


 「万病一毒説」とは、まさに活性酸素”のことなのです。

 ここ数年、健康雑誌やTV番組でも盛んに取り上げられるようになってきた「活性酸素」。
 まだまだたくさんの情報がありますが、さらに具体的には専門の書籍が多数出ておりますので、そちらに譲ることに致します。

活性酸素による障害で起きるとされているトラブルの例


 ガン・心筋梗塞・脳卒中・動脈硬化・肝炎・腎炎・リュウマチ・糖尿病の合併症・シミ・シワ

 そばかす・肌荒れ・花粉症・アトピー性皮膚炎・肩こり・冷え症・痴呆・・などなど......

 これらの他、約9割もの病気の原因に関係している。


  なにかと分かりずらい活性酸素のお話ですが、こんな感じで書いてみました。

題して、The 活性酸素劇場(?) その1

 ある会社(人体)にすごく社交的で明るく仕事も良くできるOさん酸素)がいました。

 Oさんは、仕事を頼まれれば、テキパキと仕事をこなし、会社(人体)としてはOさんがいなければ、とてもやっていけません。

 Oさんはみんな(細胞)から必要とされ、いないと困りますからいろいろなところに引っ張りだこです。会議でもズバリ結論を導き出してくれます(人体でのさまざまな代謝など)。

 空手もやっていて、かなり強く、一緒にいると泥棒(ばい菌)や強盗(ウイルス)がやって来てもやっつけてくれる頼もしい人です。


 会社にとってはなくてはならない存在のOさんなんですが、一方では酒ぐせがすごく悪いのです

 あるとき同僚と一緒にお酒を飲んでいたOさんは、持ち前の社交的な性格がさらに強くなり、近くにいる他人にもあたりかまわず近づき、ちょっかいを出してしまいました。

 Oさんはタバコ(紫外線、毒物、汚染大気、タバコなど)が大嫌いで、隣の人がタバコの煙をOさんに吹きかけたことが発端となり、Oさんはいよいよ凶暴(活性酸素)になってしまったのです。
 善悪の判断など全くできなくなったOさんは暴れまくってしまいます(活性酸素の害)。空手もやっているOさんですから、手が付けられません。
 
 このままではお店(臓器、器官)がメチャメチャです。
 なんとかして凶暴になったOさんをなだめなければなりません。
 仕方がなく警察(SODなど)に頼むことにしました。

 警察が到着するまでにOさんはまわりの他人と喧嘩も始めて暴れまくっています。
 その喧嘩はあっという間に周りの人にも飛び火し、あちこちで喧嘩が始まってしまっています。お店もだいぶ傷ついてしまいました。(活性酸素の連鎖反応状態

 やっと警官が来ても、その騒ぎをなかなか静めることができません。
 そこで仲間の応援を呼ぶことになりました。
 応援に駆けつけるためには、物資を補給して体勢を整える必要があります。(SODには亜鉛、セレン、マンガンなどのミネラル、タンパク質が必要

 お店にいたEさん(ビタミンE)、や通行人のCさん(ビタミンC)にも応援を頼むことになります。喧嘩をしている人(活性酸素)をなだめようとしたEさんですが、喧嘩をしている人と一緒にお店から転がり出てきました。そんなEさんは、Cさんに介抱され、またお店に入っていきます。Cさんは喧嘩をしていた人を抱きかかえて救急車に運びます。(ビタミンEの酸化をビタミンCが還元します

 でも、喧嘩している人たちの怒りはおさまりません。

 そこで機動隊(ポリフェノール、フラボノイド、カロチノイドなど)の出番です。

 機動隊の隊長(OPC)とCさんはなんと兄弟であり、息もぴったりであり二人協力して喧嘩を鎮めていきました。
 こうして警官や機動隊員、機動隊の隊長(OPC)とCさん(ビタミンC)の働きが成功し、なんとか喧嘩を収め、平穏を取り戻すことに成功したのです。
 Oさんもやっと静まり、いつものOさんに戻りました。

 (OPCとビタミンCは不滅の双子と言われています。)


 活性酸素、活性なのだから体に良いような感じも受けます。事実、活性ゆえ良い働きもあるのです。酸素分子の2では比較的安定であるため、外から何らかのエネルギーを受けたりしなければ、反応しずらいのです。これがもし「活性」となったとき、それはかなり強く、かつ素早く反応するのです。この強力な反応は、体内に侵入してきた細菌などを酸化させ殺菌したり無害化したりしています。その他様々な生体反応の場で活躍もしています。

 ここで言う反応とは電子の受け渡しのことです。たまたま酸素が効率よく電子の受け渡しをする物質(逆の見方をすれば、ちょうど良い不安定さ)なので、人間を始め多くの動物がこの酸素の電子の受け渡しを利用しているのです。

 鉄が錆びて、酸化鉄になるような反応だけが酸化反応ではなく、

 現在では、物質間の電子の受け渡しこそが、酸化・還元と考えられています。

 “活性酸素”とは、電子を受け取ることで、より安定な状態になろうとする状態の物質を言いますが、これを“求電子体”と表現する事もできます。近くにあるあらゆる物質から強力に電子を引っこ抜こうとします。電子を取られた物質は不安定になりますから、隣から電子を奪おうとします。これが1秒の何千分の1、何万分の1というスピードで連鎖的に発生します。細胞膜や遺伝子などは、この現象に出会うとひとたまりもありません。

 マイナスイオン健康法というものでは、マイナスイオンにより活性酸素に電子を供給することにより、活性酸素を安定な状態とし除去しようとするものです。冷たい水しぶきが多いところや、機械により発生させたマイナス電位の高い空気を吸い込んで、体を少しでもマイナス電位(還元電位)とし、活性酸素を除去しよとするものです。深呼吸をするだけでも体(血液)のマイナス電位は上がるようですので、疲れたと感じたら、できるだけきれいな空気のところで、深呼吸をすると良いと思います。10回から20回はゆっくりと深い深呼吸をすると良いです。


 自動車などの機械では、強引に燃料と酸素を反応(燃焼)させますから効率が悪く、かつ高温が出てしまうのです。
 動物の体内では食品から得たブドウ糖などを摂氏40度以下の環境で効率よく燃焼させ、エネルギーを取り出し、呼気から排気ガスとして炭酸ガスを放出します。この為には、活性酸素やさまざま物質が必要となってきます。

 ちょうど良い不安定さの酸素ですが、もし活性な状態となったものが、本来必要ではないところに発生したり、漏れだしてしまったときは、これはものすごい早さで手当たり次第に周りの細胞と電子の受け渡し、つまり反応してしまうのです。活性な酸素に電子を奪われた細胞(を構成している物質)は「酸化」され、また他の細胞から電子を奪うという連鎖的な反応を繰り返してしまいます。酸化させられた細胞は本来の働きができなくなったり、DNAが傷つけられたりします。このことが諸悪の根元であり、もしこれが野放し状態であれば、人間を含め全ての動物や植物はきっと存在できないのです。

 人体では、不要な活性酸素を除去する機能が備わっています。その重要な役目は、SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)やカタラーゼなどといった活性酸素除去酵素であり、その働きによって消し去ってくれています。
 これらの人体内で作られるスカベンジャー(掃除屋)は、その生産量は20才頃がピークといわれています。この時期には皆、若々しく病気と言うものをあまり経験しない時期でもあります。これが、40才頃になると、SODなどの酵素の生産量はピーク時の約半分ほどしか生産されなくなってしまいます。このころから、多くの人が健康診断の数値に気を付けるようになってくるのだと思います。SODなどの酵素の生産量はその後も減少の一途をたどってしまいます。

 このSODは、銅、亜鉛、マンガンなどの微量必須ミネラルが必要不可欠であり、またグルタチオンペルキオターゼはセレン酵素でり、セレン(セレニウム)という微量必須ミネラルが無ければなりません。

 活性酸素は、病気のおよそ9割にも関係しているものです。そのため、40才頃から成人病(生活習慣病)などの増加、皮膚のシワやシミの増加といういわゆる老化現象として現れてくるようになるとも考えらます。25才はお肌の曲がり角、などともいわれていますが、これも活性酸素除去能力の低下が関係しているとも言えます。

 年の割に若く見える人は、衰えてくる活性酸素除去能力を補うことのできる食品(栄養素)を多く摂取している、ということがわかってきています。この食品をSODと同じ様な働きがあるということで、「SOD様作用食品」という言い方もされています。ビタミンC、Eなども活性酸素除去能力があると言われています。最近ブームとなっている赤ワインで有名となった、ポリフェノールも活性酸素除去能力に優れているため、さまざまな優れた働きが指摘されています。

 成人病(生活習慣病)の予防美容健康には、まず活性酸素対策、そして適度な運動とプラス思考、バランスの良い、ビタミン・ミネラル・蛋白質などの栄養素の摂取が大切ですが、普段の食事からでは、なかなか理想的な栄養素の摂取は難しいのが現状ではないでしょうか。スポーツ界では、栄養素摂取に対する知識が豊富であり、また、激しい運動ほど活性酸素対策が重要であることが認識されております。

 呼吸によって取り込まれた酸素と、食物から得た栄養素とを用いて細胞内のミトコンドリアでATP(アデノシン-三-リン酸)というエネルギーのもとをつくり、私たちの体はその蓄えられたATPからエネルギーを引き出し、活動しています。

 この過程で、酸素はまずスーパーオキシドアニオンという活性酸素になります。次に、過酸化水素水、さらにヒドロキシルラジカルという活性酸素に変わってきます。

 活性酸素の代表なものとして一番有名なのは、スーパーオキシドアニオンラジカルですが、ヒドロキシルラジカルのほが活性が高いと言われています。過酸化水素も活性の高い活性酸素の仲間です。そして、この攻撃性の高さから傷の消毒などにも使われています。

 呼吸過程で消費した酸素のうち約2%は活性酸素になると言われています。

 呼吸の他、酸素分子(水など)が紫外線などを受けたときなどに大量発生します。紫外線殺菌の原理は紫外線が直接細菌を攻撃するのではなく、紫外線により発生した一重項酸素などの活性酸素による攻撃(酸化反応)を利用しているのです。紫外線といえば、夏の日焼けを連想しますが、このときにも皮膚でものすごい量の活性酸素が生成されていることになり、これが、シワやシミ、さらには皮膚ガンの原因となるわけです。

 活性酸素をもう少し広く解釈して一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、オゾン、過酸化脂質なども活性酸素の仲間として数えられることもあり、過酸化脂質は細胞膜などを形成してる脂質が活性酸素によって過度に酸化されて生じる二次的に作りだされる活性酸素です。この過酸化脂質は、活性酸素の「時限爆弾」などと表現されることもあるとおり、体内で深刻な問題を引き起こします。

 しかし、普段の呼吸によって生じる程度の活性酸素は、体に備わったSOD(スーパーオキシドジスムターゼ)、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシターゼ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼなどの酵素類、ビタミンC、E、カロチン(アルファー、ベータなどの種類あり)、尿素、グルタチオンなどの抗酸化物質(スカベンジャー)が消去(還元)してくれるため、大きな問題とならないと言われています。

 スーパーオキシドアニオンは、これから様々な活性酸素を作る素の様な働きをしますが、このスーパーオキシドアニオンへの作用の例は、まずスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)という酵素が過酸化水素に変化させ、その直後、カタラーゼなどが水と普通の酸素に分解するという、いわゆる中和作用で、活性酸素を除去しているのです。




 活性酸素から体を守るということは、細胞レベル、分子、原子レベルで電子の移動によっておこる細胞壁、さらには細胞内のDNAを電子の攻撃から守ることです。細胞はリン脂質で囲まれていますが、活性酸素により、ラジカル連鎖反応がおき、あっというまに穴があいてしまいます。細胞膜に穴があいてしまうと、その細胞は破壊されてしまいます。白血球はこの活性酸素の働きを利用し、体の中に侵入した細菌などに活性酸素をぶつけて攻撃しているわけです。そして、戦い終わった白血球自身もその役目を終えるのです。

 白血球、とくに好中球は細菌などを殺菌しているとき、どうしても活性酸素を外にこぼしてしまうのです。この働きが強すぎると、しばしば炎症をおこし腫れや痛みとなって現れます。ちょうどゴミ焼却場から出るダイオキシンなどの排煙公害のようです。「感染防御」と「炎症」のバランスが問題ですが、こぼれ出た活性酸素を効率よく除去できさえすれば問題は起きないのです。


 つまり、細菌感染がおきると、白血球が寄ってきて活性酸素を放出するわけですが、余分な活性酸素は当然、正常な細胞まで傷つけることになります。このときSODやカタラーゼなどが働いて、その余分な活性酸素を除去してくれるわけです。4種類の活性酸素に対してはそれぞれ有効なスカベンジャーが存在します。しかし活性酸素の発生でもっとも恐いのが、ストレスによる大量発生であるようです。ストレスによりストレスホルモンの一種であるコルチゾルが分泌されますが、これは免疫機能で重要な役目をするNK細胞を簡単に機能停止させてしまうのです。またストレスホルモンが作られるときにも活性酸素が生産されてしまいます。NK細胞を守り、ガン予防をするには、ストレス対策がもっとも重要であるのかもしれません。


 活性酸素は狭い範囲での意味では、以下の4種類であると言われています。

 この他、広義の意味では、アルコキシルラジカル、ヒドロペルオキシラジカル、ペルオキシルラジカル、ヒドロペルオキサイド、他に遷移金属イオン酸素錯体などがあります。また、一酸化窒素(NO)も活性酸素の仲間と見ることもあります。

 コーヒーに含まれるヒドロキシヒドロキノンは、水中の酸素と反応すると過酸化水素を作り出します。コーヒー豆2gあたり0.04mgほど含まれます。




 下の記号「・」がラジカルの意味で、物質を構成している電子の中に「不対電子」という不安定な電子があることを示す。

活性酸素の種類 記号 スカベンジャー(例)
スーパーオキシド
アニオンラジカル

SOD、ビタミンE,C、ユビキノン、メタロチオネイン、フラボノイド、カロチノイド

γ-オリザノール

過酸化水素

ビタミンC、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシターゼ、ペルオキシターゼ

メタロチオネイン

ヒドロキシラジカル カロチノイド、ビタミンE,C、女性ホルモン、フラボノイド、グルタチオンペルオキシターゼ、フスチジン、メタロチオネイン、糖類、フラボノイド、カロチノイド、γ-オリザノール
一重項酸素

  

リコピン、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンC、ビタミンE、SOD、メチオニン、ヒスチジン、トリプトファン、グルタチオンペルオキシターゼ、カロチノイド、女性ホルモン、尿酸、ビリルビン

    活性酸素の図解はこちらです。 

 スーパーオキシドアニオンラジカルは他の活性酸を作り出す元であり、SODなどにより処理され過酸化水素になります。それが細胞膜を通り抜けて、DNAなどを傷つけてしまいます。ビタミンCは、このスパーオキシドアニオンラジカルと過酸化水素の両方に働きます。

 過酸化水素はカタラーゼという酵素などで酸素と水になります。

 過酸化水素は1価の銅イオンや2価の鉄イオンにで合うと、ヒドロキシラジカルになり、カロチノイド、ビタミンE、女性ホルモン、フラボノイド、グルタチオンペルオキシターゼなどで除去されます。

 一重項酸素は、スーパーオキシド同士によったり、スーパーオキシドが細胞膜に穴をあけた後にできる過酸化脂質が分解するときにも発生するようです。古くなった油を使うと、この過酸化脂質を摂取することになるようです。日向に置いておいたり、古くなった食材や油を含んだお菓子、冷凍マグロ、干物、しらすには特に多そうです。

 皮膚が紫外線を浴びたときにできる活性酸素がこの一重項酸素であり、現在、化粧品メーカーなどでも、この除去について研究されているようです。トマトなどの赤い色素であるリコピンは、この一重項酸素に対しては、ベータカロチンのおよそ2倍ビタミンEのおよそ100倍もの除去効果があるようです。リコピンの酸化をビタミンEが還元し、ビタミンEの酸化をビタミンCが還元し、さらに、ビタミンCの酸化は、肝臓で作られるグルタチオンが還元してくれる、という一連のサイクル機構が存在しますので、これらの関係する栄養素を総合的に摂取するのが、もっとも効果的であると言えます。



活性酸素の働き

 活性酸素は決して悪い面ばかりではないのです。生物が生きていく上で大切な役目もしています。例えば、プロスタグランディンの合成や酵素反応を促進したり細胞内での情報の伝達役とか、体内に入った細菌等を殺菌するのも活性酸素の役目です。白血球は活性酸素を作りだし細菌などの外的を攻撃してやっつけてくれます。これほど強力な活性酸素ですから、人体の細胞にとっても攻撃的であるのです。胃酸は食べ物の消化する強力な作用をしますが、胃壁は粘膜で守られているため、胃が溶けてなくなることはありません。しかし、何かの原因で粘膜が弱ったり、傷ついたりすると胃はたちまち自分の胃酸でやられてしまいます。
 活性酸素についてもこれと同じ様な事が言えます。生体にはある程度の量の活性酸素は必要ですが、何らかの原因で過剰状態となると、生体にとってこの上ない悪さをしでかすのです。

 活性酸素は普段の呼吸でも取り込んだ酸素の約2%ほどが活性酸素となっているようですが、以下の場合にはさらに大量の活性酸素が生産され、除去しきれなくなった活性酸素が人間の老化やガン、アトピー、成人病(生活習慣病)などあらゆる病気の原因となっています。
例えば、

 1・様々なストレス

 2・腸内の悪玉菌による異常発酵で生じる毒性物質が体内に取り込まれたとき。
  (余分な活性酸素発生のかなりの部分を占めていると思われます)

 3・電磁波超音波放射線紫外線等に曝されたとき。

 4・タバコ、自動車の排気ガスを吸引したとき。

 5・発ガン性物質などの薬物代謝のとき。

 6・アルコールを飲んだとき。

 7・病原体が侵入し過度の炎症をおこしたとき。

 8・スポーツ等で大量の酸素を消費したとき。

 9・血液が再環流したとき(一時的にとまった血液の流れが再び流れ出すとき)。

 10・胆汁酸が生成されるとき(胆汁酸は脂肪を食べたときに消化を助ける)。

 11・コレステロールを合成するとき。

 などなど...。

 日常生活では、この中でも特にストレス腸内悪玉菌による異常発酵による活性酸素発生は深刻な事態を引き起こすと考えられます。悪玉菌の異常発酵で生じる毒性物質は毒物を飲み込んだ場合と同じように、体内でその代謝が行われるため、余分な活性酸素が発生することになります。胃腸が丈夫な人ほど、見た目も若いというのはこんな理由もあったのです。年をとるほど、ビフィズス菌などの善玉菌の数よりウェルシュウ菌など悪玉菌の数が増えてきます。おなかの中から“老化”が進行している、と考えることもできます。 腸内細菌参照。

 余分な活性酸素が多ければ、もともと備わったSODなど防御機能では不十分となり、特に血管の老化が進むことにもなります。これは実年齢内臓年齢(内臓は血管のかたまりとも言えますから、つまり血管年齢)の違いという言い方もされます。実年齢より内臓年齢(血管年齢)が年をとっていれば、子供でも成人病(生活習慣病)のリスクは高いことになます。事実、子供でも成人病的な症状を示す数が増えているという深刻な事態にもなっています。子供の場合はファーストフィードやお菓子類、清涼飲料水の飲み過ぎなどといった、偏った食事、TVゲームをしすぎることによる運動不足などもその原因として上げられています。





 生体にはもともと、余分にできた活性酸素を除去するSOD(スーパー・オキサイド・ディスムターゼ)という酵素を作りだし、重大な障害を未然に防ぐ能力が備わっています。SODは銅や亜鉛、マンガン、セレン、といったミネラルがどうしても必要です。しかし、残念なことにそのSODは約20〜25歳をピークに減少の一途であり、40歳では約半分となってしまいます。この頃から、除去しきれなくなった活性酸素がいわゆる「成人病(生活習慣病)」または「生活習慣病」の大きな原因の一つとなっているようです。特にSODが減少するのが、脳、心臓、肝臓であるといわれています。SODは全身の細胞や細胞質、またはミトコンドリア内にあるということが言われていますが、まだはっきりしてない点もあるようです。
 25才はお肌の曲がり角と言われるのも、このころから、活性酸素によって発生するコラーゲンの損傷を、防ぐ能力が衰えて来るからのようです。コラーゲンの損傷は、そのままガンの発生や転移と深く関係しています。細胞のDNAが損傷を受け、異常増殖を始めるのが、ガンです。
 つまり、ガンの予防には活性酸素対策こそ最も重要である、と言えると思います。

 さらに、血液中にある赤血球や白血球、血小板などの細胞も、活性酸素の攻撃を受けやすく、深刻な悪影響が出てしまいます。

 赤血球は、本来であれば柔らかく、毛細血管もスムーズに通過できますが、活性酸素の攻撃にあったものはその形が変形し、また固くなり、もはや毛細血管を通過する事など不可能となってしまいます。この状態がいわゆる「悪血」状態であり、酸素や栄養素を必要とする各細胞への供給ができなくなってしまいます。(血液写真参照

 また、血管が傷つくとそれを修復しようと血小板やコレステロールなどが集まってきて傷口を修復しようとします。このとき、あつまってきたコレステロールなどで血管の断面積が狭められると、アテローム性高血圧となります。血小板などが固まって血栓でき、大きくなりやがて剥がれ落ちると、更に細い血管を詰まらせ、深刻な事態が起きてしまいます。血栓などで脳内の血管がつまってしまうと、脳梗塞などの原因となります。心臓の筋肉へ酸素やエネルギー源を運ぶ血管が詰まると、心筋梗塞となってしまいます。
 血管が傷つく原因にはやはり「活性酸素」が考えられます。


 最近、赤ワインが健康ブームにのって、消費が伸びているそうですが、では一体赤ワインの何が健康にいいのでしょうか?

 また、アルコールがダメな人は、「赤ワイン効果」の恩恵を得ることができないのでしょうか?

 この疑問を解決してくれた人物がいます。

 バイオフラボノイド研究の第一人者、ジャック・マスケリエ博士です。

 彼の著書によれば、赤ワインの効果は、ブドウの種子から溶出した「OPC」という物質によるものであることが判明しています。この「OPC」こそが、21世紀の生体防御物質とも言うべきものであり、今世紀におけるもっとも偉大な発見の一つであると思います。「OPC」を抽出したものはフランスではすでに医薬品として認定され、それ以外の国では、健康食品として摂取することができます。世界中で約50万人ほど、日本ではすでに約1万人ほどが、ジャック・マスケリエ博士のOPCを健康維持に利用していると思われます。

このOPCはフランスのジャック・マスカリエ博士の生涯をかけた研究により発見されたもので、人類に対する彼からの偉大な贈り物であると思います。

 

 「OPC」は、緑茶に含まれガン予防に効果があるとされるカテキンやタンニンの兄弟分子(これらを特にフラバノールと言うそうです)であり、カテキンなどよりも生理活性が高いことが判明しています。OPCは多くの植物に含まれるようですが、中でもぶどうの種や皮も一緒に醸造させる赤ワインには豊富に含まれ、事実フレンチパラドックスと言われるように、赤ワインを良く飲むフランス人には不思議と虚血性心疾患による死亡率が世界中でもっとも少ないという事実があります。フィンランドやアメリカの約1/5程度でしかく、しかも、メドック地方などのブドウ産地における高齢者の割合は、全フランス人口における高齢者の割合と比較すると高齢者ほど高く、80才以上では、88%も多いという統計もあります。

 

 OPC(オリゴメリック・プロアントシアニディン)の最も特筆すべき効果は、活性酸素(フリーラジカル)補足効果(FRSE)です。活性酸素については最近TVなどでもやっと取り上げられてきましたが、病気のおよそ9割にも関係していると言われ、不必要となったものがすばやく除去できないと、「諸悪の根元」となってしまいます。そしてこのOPCこそが、ほかのポリフェノールと違って高い生理活性を有することのできる成分であることが確認されています。OPCの活性酸素除去の効果はビタミンCの約20倍、ビタミンEの約40〜50倍ものスコアであることが、NBT試験により明らかにされています。これらの結果、OPCの活性酸素補足効果(FRSE)は、米国にてジャック・マスケリエ博士が特許を取得しています。

さらに、OPCは、ビタミンCの働きを助けコラーゲンという蛋白質の生合成を促進させる効果もあり、毛細血管や肌細胞に対してもかなり有効で「飲む化粧品」とも言われるほどです。OPCはまた、ビタミンPと呼ばれるものの一つの構成成分であったわけですが、実はこれこそが、植物を用いた多くの健康食品や医薬品の主要な薬効成分であったようです。

 

 活性酸素は人体内で有効な働きもしていますが、体内のSOD(活性酸素除去酵素)などが減少してしまい除去しきれなくなってくると万病の元となってしまいます。成人病(生活習慣病)やガンのリスクを軽減、老化から体を守る意味で、活性酸素対策は非常に重要であると思われます。ガンは活性酸素により発生し増殖、転移をするとする文献を見ることができます。実際にSOD様物質(SODと同じ働きをする物質)を治療に用いている病院もあります。OPCの効果の研究は被爆国である日本で熱心に研究されていますが、広く世間に広まらないのは非常に残念なことです。OPCがもし、全国の病院や医院などで使われたとしたら、きっとすばらしい効果が期待できると思います。

 最近では「AHCC」「アガリクス茸(姫松茸)」「アラビノキシラン」「メシマコブ」なども免疫活性に寄与するということで、ガンの治療に利用されているようですが、病院におけるガンなどの治療で実際にOPCAHCCなどとの相乗効果が期待できる日もそう遠くないかもしれません。



サイトカインと活性酸素


 細菌に感染した細胞は、サイトカインという物質を放出します。

 白血球はサイトカインの濃度が高いほうへと移動します。

 白血球の中には、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球などがあり、赤血球を除いた血液成分のことです。このなかで、好中球は最も多く白血球全体の約60%を占めます。単球が変化したマクロファージを「大食細胞」と言うに対して、好中球は「小食細胞」などど呼ばれたこともありました。この二つをまとめて「食細胞」と言います。

 好中球が細菌を補足するには、抗体や捕体という体内因子が必要で、抗体や捕体が細菌など病原体に付着すると好中級の膜面にあるレセプター(受容体)でその病原体を補足します。この働きをオプソニン作用といいますが、そのあとアメーバ的な動きで好中球の細胞内に病原体をとり込みます。とりこまれた病原体は細胞内に形成されたファゴゾームという袋の中に閉じ込められます。好中球はファゴゾームの中に大量の活性酸素を放出し殺菌を行うのです。

 問題はこのとき放出される活性酸素は、細胞の外にまで垂れ流しとなってしまうことなのです。流れ出た余分な活性酸素は周りの人体組織にも攻撃をしてしまい、いわゆる「炎症」の原因となるのです。

 人体で起こるさまざまな「炎症」の原因は、好中球などによって作られた「活性酸素」の仕業ということが言えると思います。


 細胞は本来、細菌感染など必要が生じた時にサイトカインを放出し好中球を呼び集めますが、体が弱ってきた場合では細菌感染などが無くても体の至る所でサイトカインを放出してしまうのです。さらに、このような場合は活性酸素除去酵素などの生産能力までもが低下しているため、集まってきた好中球による活性酸素は正常な細胞まで攻撃することになってしまいます。お年よりや重症な病気の場合に、多臓器不全や多臓器障害など深刻な症状がおきやすくなるのも、まさにこのためなのです。


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