wien (chapter
02)
2001.04.02.(mon)
今日は、朝からトラムに乗って、リングの外側の市庁舎から歩き始める。とても爽やかな日和で、街を散歩するには最適。今日は、街の北西部を攻めるとする。
●街はイースターで盛り上がっている
市役所を通りぬけてさらに歩くこと15分、ここはSchotten-stift(ショッテン)教会の脇の広場。街はこれからの祝日のイースターに向けて、露店が沢山出ており、卵のおもちゃや、小さいおこちゃま達に寸劇などのイベントをやっていた。
ほんとうに、無邪気な子供の、そして澄んだ瞳をみるとホッとする。子供の姿は全世界共通に人を和ませる何かがある。
●cafe ツェントラル(central)
ここも、カフェとしては超有名店。長年の歴史があり、その建物自体もかなり歴史的な重みを感じる。壁際に沿ってソファーが続いており、ここもくつろぐのに最適。天井はヴォルトが連続しており、一層豪華さを盛り上げている。
ザッハトルテは僕の好きなチョコ系のもの。見た目以上にかなりあまい。表面のチョコは、砂糖の小粒がサックリ感を出しており、この感触の好きな人にはたまらないだろう。
そして、ところどころジャムがはいっており、突然の味にびっくりする。おいしいが、とにかく甘い。思想同様、味にもハッキリしたものを求めるのは彼らにとっては、ごく自然なことなのか。やはり、僕は日本人か。しっかり、薄味&さっぱり味が体に染みている。
cafe CENTRAL
herrengrasse 14,A-1010
tel 533-33-763
●みんなでホイリゲに行こう!
このあと、グリンツイング(Grinzing)という街を目指す。トラムで20分くらいのところ。街のあっちこっちにホイリゲと呼ばれる、居酒屋が隣接する。その年に出来たワインを片手に、外で飲み明かすことを目的に出来た街らしいが、年通してあいている。
取合えず中に入って、ほしいものを指差しながら頼んで、あとは外の席にいってワインを注文。外の開放感とあいまって、かなりリラックスできた。
しばらくしてどこからともなく音楽が流れてきた。最初はラジオでも流しているのかと思いきや、店内から生演奏であることにやっときがつく。お店の人に中入って良いか確認して奥の席に案内される。何といつのまにかお店の中は満席である。アコーディオン&ヴァイオリンのデュオが各テーブルをまわって、なにやらみんなが知っている民謡を歌っているようだ。そしてみんな楽しそうだ。残念ながら僕らには、その音楽を聴いたことがないので、ひたすらみんなの様子を見ているしかないのだけれども、お店全体が一体感に包まれていてほほえましい。さすがにそのデュオは僕らの席には回ってこなかったけれども、直前に歌われても、僕らは悲しいことに理解できないので、困った顔をするしかなかっただろう。
ぼくらは、なにも今回の旅行で高級料理を楽しむために来たわけではなく、あくまでも庶民の視線に立ってみて、どのような生活観が見えてくるのかを体験してみたかった。是非ともウイーンに行ったらホイリゲに行くことをお勧めする。
ちなみに、毎年11月11日にはその年に出来た、ワインの新酒を振舞うとのこと。この時が年で一番盛り上がるのだろう。
ところで、グリンツィングに行く途中に、宇宙船に似た、とんでもない造形の煙突が見えたのだが、これはフンデルトワッサーという芸術家がデザインしたゴミ焼却炉だったことを次の日になってからわかることになる。
GRINZINGER REINPRECHT
cobenzlgasse 22, A-1190
tel 321-471
www.grinzing.net reinprecht@grinzing.net
●cafe シュワルツェンバーグ(Schwarzenberg)
ここまで一日と歩き回っていたら、もうヘトヘトに体は疲れている。足はまさしく棒の様になっており、前進することもままならない。ここは街に戻って、オペラ座の近くのcafe
シュワルツェンバーグ(Schwarzenberg)に行くとする。なにしろ、有名どころは基本的にハズレは無いので、どこへ行ってもゆったりとくつろげるのだ。
ここは、オペラ座がすぐ近くということもあり、多分時間調整の為に結構利用されているのではと思われる。いままで体験したcafe同様、くつろげる空間になっている。一人ブースがあり、多分ここは常連の人達のためのブースなのだろう。だれも、店に入ったとき一番にそのブースに行く人はいないだろう、少なくとも、始めて入る人にとっては。しかし、見事に一人だけのための空間が出来あがっているわけだ。
今日は、移動量も多く、かなり疲れた。ホテルに帰ってからは、寝るまではそう時間が掛からなかった。
cafe SCHARZENBERG
karntner ring 17, A-1010
tel 0222-512-89-98
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2001.04.03.(tue)
さて、今日はウィーン最終日。夜中には寝台特急でオーストリアを離れ、イタリアのヴェネチアに向かうのであった。その前に、丸1日このウィーンを見に行ける時間はある。
●フンデルトワッサー
まず向かったのはクンストハウスである。このアーティストのフンデルトワッサーは、日本でもかなり知られているのではないのだろうか。まるで、建物自体をひとつの植物に捉え、床はうねっている、柱はまっすぐ立っていない、窓は様々形状など。しかし、不思議と居心地が良いのである。しゃれているのが、入場用の切符。ミュージアムショップでも売っているんだけれども、ファサードのジグソーパズルの破片である。奇をてらっていないが、その素朴さに感動する。この近くにフンデルトワッサーハウスがある。これは市営住宅であり、中は入れない。しかし、ここも一応観光名所でもあり、まわりは人でごった返している。向かいにおみやげ物屋(これもフンデルトワッサー設計)もあり、とにかくにぎわっている。
そうそう、グリンツイングに行く途中に見えていた煙突は実はフンデルトワッサー設計のゴミ焼却所。美術館にその模型があった。 残念ながら、昨年の2000年にフンデルトワッサーは亡くなってしまったらしい。ご冥福を、、、。
2001年には彼設計の焼却所が大阪に完成するとのこと。彼の意思は建物や絵画によって継がれることでしょう。
KUNSTHAUS WIEN
untere weiβgerberstraβe
tel 1-712-04-91
●郵便貯金会館(設計:otto wagner)
そして、建築的に一番見てみたかった、オットーワーグナー設計の郵便貯金会館。
天井一杯がガラスで構成され、やわらかい光が拡散され、空間全体をやさしく包み込んでいる。両脇に円筒形の空調用の噴出口がデザインされ、メカニカルな造形をしている。この機械的なものとアールデコの調和が絶妙。決して歴史的なものに引きずられることなく、新旧の調和を目指した姿勢は賞賛に値する。面白かったのが、ホールの一角にガラスケースが置かれ、オットーワーグナーグッズが沢山置かれていたこと。これらのものはhttp://www.ottowagner.comでも確認することが出来る。このURLは建物の正面外壁に大きな垂れ幕で書かれていたので、書きとめたものだ。
●サンドウイッチ屋 TRZESNIEWSKI
ここは、好きなパンを頼んで、立ち食いでササッと食べて、そして通りぬけていく場所。人は沢山いるが、さっさと食べては行ってしまうので、回転が早い。ぼくらは、奥にテーブル席がいくつか用意されているところで食事をした。隣の人達もどんどん入れ替わっていく。ドイツ語が良くわからないので、とにかくケースにサンドウイッチが並べられているので、指差し注文、これはもう得意になってしまった。
店の外にも立ち食い用の小さな丸テーブルが用意されており、老若男女、みんな平気でバクバクほおばっている。写真のように、みんな絵になる格好をしている。これがなぜ東洋人になるとなぜ自分含めてダサくなってしまうのか。これが、そばでもすすっていれば、それなりに見えてしまうのか。それぞれ文化を背負っているのか良くわからないが、とにかくみんな格好が良いのだ。
夕方に、たまたまこの前を通ったときにはシャッターが閉められていた。ここは昼飯だけのお店だったのだ。
TRZESNIEWSKI
dorotheer gasse 1 A-1010
tel 512-3291
●cafe DEMEL
王室ご用達のケーキ屋&cafe。日本でも有名デパートの地下には必ずあるのではないのか。僕が始めて知ったのは会社入社当初の1991年ごろ。、原宿のQUESTビルの1Fに入ったとき。味もさる事ながら、入れ物もとても良く出来ている。ここは基本的には観光客でごった返している。日本人の団体旅行者も沢山いて、日本語があっちこっち飛び交っている。ここは、一瞬デパチカかと思ったよ。
ウェイターのお姉さんに、店内でお茶したいことを言い、まずはケースに並べられている沢山のケーキからほしいものを選ぶ。席に案内されて、飲み物を注文。もうここまで、何回もカフェにいっていたら、だんだんと慣れてくるもの。味は、予想したとおり、濃酵そのもの。とても最後まで食べきれる量ではないが、とにかくおいしかった。インテリアは、王室ご用達だけあって、金飾が沢山施されている。豪華さが売り。
●ウイーンの車事情
何しろ、スマートが目立つ。スマートとはメルセデスとベネトンが共同で開発した二人乗りの都市のコミューター。必要最小限の、チョロキューのように極めてコンパクトに出来ている車である。将来は電気自動車への転用をもくろんでいると聞いたことがある。都市生活者にとって、必要な大きさと必要な用途をしっかりと認識している。日本人みたいに、ひとつのアクセサリーや見栄や自慢のためのものではない。あくまでも道具として割り切っている。それ以外は、アウディーが何しろ目立つ。ドイツ車は全体の6割程度か。そのほか仏車のプジョー206のしかもオープンがやたらと見かけた。寒い冬の季節を過ぎ、ウィーンっ子も太陽一杯に光を浴びたいのだろうか。日本車もしっかりと一割程度見かける。タクシーに日本車が(トヨタ)多い。以外にも、ダイハツミラも見かけた。こちらでも軽自動車は輸出されているみたいだ。
そして、理由はわからないがディーゼル車が乗用車に多いこと。環境問題に敏感なヨーロッパの国の人達にも関わらず、なぜこんなに多いのか良くわからない。軽油が経済的だからという選択肢からなのか。しかし、驚くべきことに、これら、乗用車からは”あの”黒い煙は見たことがない。エンジンの調整が完璧なのか、それとも触媒の技術がすばらしいのか、理解できないが、日本考えられない。僕らの感覚で、ディーゼルを乗用車として買うこと自体選択肢外だと思うけれども、さすが実用、機能主義の国柄、良いと思うものは良い。スタイルではないのだ。
●地元の居酒屋
夕方となり、早めの食事をすることとする。さんざん歩き回った結果、ちょっとした居酒屋風のお店に入ることに。お店のあっちこっちに地元の叔父さん達が輪をなして楽しそうにおしゃべりなり、食べたり飲んだりで盛り上がっていた。二階にも席があり、そこも地元おやじ達で盛り上がっていた。
注文して、 印象的だったのは、ツナのサラダ。なにか久々にサッパリとした、そしてとても新鮮な野菜に感動。もうすでに、胃は脂っこいものに根を上げているのか。なぜかバクバクサラダをメインディッシュ(カツレツ)よりもほおばってしまう。ウィーンでは、涙が出るほどおいしい料理には出会っていない。高級レストランにも行っていないし、あまり研究していなかったせいもあるが、気候的に冬場が厳しく長いので、保存食が多いからなのか。これから向かうイタリアに期待が膨らむ。
さて、さっきまで、盛り上がっていたオヤジ達は、僕らが食べ終える頃には三々五々散っていった。しかも、別々のグループと思われている集団が一斉にだ。これから、またどこかへ流れていくのか、それとも自宅に帰るのか、よくわからない。しかし、ヨーロッパはとにかく日が暮れるのが日本では考えられないくらい遅い。夕方の9時くらいでやっと日が暮れるので、仕事が終わってから(当然5時くらいでさっさと終わることだろう。)の余暇の時間をめいめい楽しむのだろう。どこかせわしい、そしてせわしくしていることが美徳としている日本と人生の考え方が違うのだろう。人生楽しまなければ、意味がないとでも言っているようだ。
SMUTNY
kolarik & buben 1030 wien mode center str.4
tel 01-799-99-99
実は、もうひとつカフェシュペルル(Sperl)にも行きたかったけれども、場所が、帰る方向とちょっと離れている。残念ながら、今回はあきらめざる終えない。始めていったカフェGreinstaidlにまた行く。
いつものウエイターのおじさんがキビキビ働いている。そして、ぼくらは前に来たときと同じ席につく。1日中歩き回って、つかれた体にはやはりこの様なゆったりとくつろげるカフェの存在は大きい。イタリア、パリを廻ってきても、これだけの空間と時間を贅沢に提供してくれるのはここウィーンだけだった。
今晩は夜行なので、途中お腹が空かないようにと、お店に無理言って、ショーケースにおいてあったものすごい大きいクロワッサンをget。46clもしたのであったがそれだけの価値と見栄えはある。
夕日が暮れてきたので、いよいよ、夜行列車に乗るためにPrinz Eugenに荷物を撮りに行く。Studenhof駅も夜ともなれば、人通りもなく、雰囲気的にはちょっと緊張を強いられる。別に、どうって事がないのかもしれないが、何しろ、始めてのヨーロッパ。まだまだ油断は禁物。
しかし、振りかえってみて、ウイーンは本当に治安が良い。かなり豊かな生活を(あるいは生活観を)しているのか、みんな、身なりがきちっとしている。表情がおだやかで、幸福そうな人達ばかりだった。英語はウィーン市内であれば完璧に通じる。教育水準の高さが伺える。
夜行が出発する。ウイーンを離れる時がきた。まるまる3日間それこそ、ヘトヘトになるまで歩きつづけたが、とにかくヨーロッパ初体験。とても楽しい経験をした。
とにかく、カフェには感心した。街に出てくつろぐ空間とは何かをはっきりと提示してくれた。まさしく、自分の居間の延長線上の空間が実際にそこにあったのだ。
夜行が出発すると、街がどんどん遠くなっていく。途中工業地帯を通ってくるが、これはウィーンの街を最初に経験した時と同じ。やはり工業で生きている国なんだと改めて感じる。
だんだんと時間がたつにつれて、山間が深くなってくる。途中停車する駅舎もスイスの山小屋風でどれもかわいらしい。小さい頃、父親に買ってもらったメルクリンの電車についてきた駅舎と同じだ。
途中で何度か休憩を取りながらも、どんどんイタリア国内に向けてカタコトと音を立てながら列車は進んでいく。この音に揺られながら、いつのまにか寝てしまった。
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市役所正面にある
回廊。夜のライトアップ
も、すばらしいものが
ある。
街はイースターに向けて
広場に出店がある。
schtten shift教会。
ここに広場に出店が。
cafe central
格式ある、けれども
決して敷居が高い
訳ではない。
ザッハトルテは一個だけ
で、僕らは十分。
もと宮殿だったらしい。
グリンツイングの
街並み。
ぼくらの取った
食事。質素だけど
美味しいのだ。
季節外れにも
関わらず、結構な
人でだった。
cafe
シュワルツェンバーグ
クンストハウス
郵便貯金会館
余りにも有名な
カメラショット
これがウィーンッ子の
昼の食事どころ。
おやじも単に食べて
いるだけなのに
絵になってしまう。
demel本店。
かなり豪華で、
ほとんどが観光客。
説明し様のない
甘さと美味しさで
満足。
最新のドイツ車に
混じって子の様な
古い車も大切に
している人もいる。
最後に入った
居酒屋の看板。
素敵です。
夜の
グラインシュタイダル
ここでウィーンの旅も
おしまいだ。
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