この日はくろちゃんが体調が悪かったので、午前中はゆっくりホテルで過ごすことにしました。まぁ日曜日は、何処でも開いているわけではないし、疲れもたまってい増したから。10時にホテルを出ていつものようにモーツアルトでお茶をしました。10:30になったところで、王宮に向かいました。11時から「ウィーン少年合唱団500年記念コンサート」を聴くからです。
会場は王宮の中の何処かなのですが、最初場所がわかりませんでした。ふと見ると、老人夫婦がたくさん並んでいるので、行ってみるとそこが会場でした。会場の中に入ってもやはり老夫婦が多く、久しぶりに会ったという感じで挨拶を交わしている光景が目立ちました。きっとこのおじいさん達は、遥か昔に少年合唱団に所属していたのでしょう。まるで、同窓会の中に間違って迷いこんだような感じでした。
コンサートに先立ち、500周年を記念する挨拶(たぶんそういうことだと思うのです。)があったのですが、さっぱりわけわかりませんでした。とりあえず、拍手だけはしておきました。(笑)
1曲目は、ISAACの「VIRGO PRUDENTISSIMA」。ア・カペラの曲で、前半は声も堅かったのですが、中盤からは良い響きになり、いかにも少年合唱団という雰囲気が出ていてよかったです。少人数ながら、しっかり声量があって素晴らしいです。
2曲目は、皇帝レオポルトI世の「LAUDATE PVER1」。オーケストラとソロ付きの曲でしたが、ソロの声量がいささか弱く、オーケストラも金管が唐突に響きすぎていて、合唱団のよさをこわしていました。今一つのできです。
3曲目は、シューベルトの「MAGNIFICAT D486」。この曲もオーケストラと合唱団が今一つかみ合わなかったのですが、全体的にはまぁまぁの出来でした。ここで、休憩が入りいよいよ最終曲です。
最終曲は、ブルックナーの「MESSE F-MOL」。ブルックナーはオルガニストとしても活躍していただけに、教会音楽には並々ならぬ思い入れがあることはわかっていました。また彼は交響曲の大家でもあるので、この曲は大曲でした。(笑)「Gloria」では、アーメンに入ってからが長い長い、驚きました。「Credo」に至っては、あまりに歌詞を繰り返すので、もう終わんないんじゃないかと思ったほどです。
こういう曲をやるほどオーケストラに力量がなかったのか、アラが結構目立ちました。合唱団も最後の方はかなり疲れていたようでしたが、こんなミサで一時間を超えるような大曲は生ではめったに聴けないので、そういう意味ではよかったと思います。
私たちの後ろの席は、たまたま日本人の子供連れの夫婦だったのですが、この大曲を聴いていて子供が集中力を無くしてじっとできないでいて、その怒っている声がうるさかったです。(笑)「演奏中に怒らないでくれ。うるさいから。」とずっと思っていました。あんな長い曲は子供には耐えられないのはしょうがないので、あんまり怒っても意味ないと思うんだけど。
このコンサートは、全体的にはオーケストラの出来がもうひとつで演奏は素晴らしいとは言い難かったですが、500周年記念コンサートなんてのは、絶対に他では聴けないし(あたりまえ)、OBとおぼしきおじいさん達とその長い歴史の雰囲気だけでも味わうことが出来たことは、大変貴重な経験だったと思います。
午後は火曜日に行く予定だった美術史美術館と自然史博物館に行きました。というのも、この二つのどちらかが月曜が休みで、もう一方が火曜が休みだということに気がついたからです。後の日程は詰まっているので、ここで気がついてよかったです。
美術史美術館はウィーンでも最高の美術館です。展示もブリューゲルやデューラ、ルーベンスと言った高名な画家の絵や、古代エジプト、ローマの出土品など見どころが多いです。そうそう、ここにあった少女の肖像画が帰国したすぐ後に、新宿の三越で展示されたそうで驚きました。
一階に売店があって、そこでこの美術館の出展している絵の解説本が日本語で出ていたので買って帰りました。(重かったけど。)帰国してその本を眺めてみると、印象に残ったものは扱いも大きいものが多く面白かったです。本を見てから美術館に行ったほうが楽しめたかなと思いました。今度ウィーンに行くときには、行く前にじっくり研究することにします。
自然史博物館は、美術史美術館と向かい合って建っていて、ほぼ同じつくりの双子の建物です。この博物館には、あきれるほどたくさんの動物のはく製や恐竜の化石、そして鉱物が展示されています。はく製の種類もすごかったですが、樟脳くさいのには閉口しました。とにかく二つとも実に広いので、二人して疲れ果ててしまいました。
帰りにウィナーシュニッツェルなんかがおいてあるオーストリア風のファーストフードで軽く食事をしてホテルで休憩しました。