コスト低減 *** ハウツウ ***

建設にかかる費用は「住いづくり」を考える人にとって切実な問題です。
住いの設計工房 では 「ねらいの品質を、いかに低コストで実現するか」 の試行錯誤をかさねるなかで、いろいろなノウハウを蓄えてきました。

ただ単に安ければよいとか、一見豪華に見える「安物」で価格を下げるといった方法では、望ましい生活の場は実現できません。

安価な材料であっても、その素朴さを正直に表現した空間は、豪華さはなくとも、人をやさしく包んでくれる・・・ ここでは、そんな考え方の一部を紹介しています。

住宅や医院、その他の建築は、こうした考え方で設計し、コストの調整を計り、実現できた作品たちです。

コスト実績データ:住宅 ・・・ 住いの設計工房 竹内建築設計事務所_岡山
コスト実績データ:医院・医院併用住宅 

■「発注方式と価格」の項目も参照下さい。

中間マージン

中間マージンが最終コストを押し上げているのは周知の事実です。

最近はインターネット直販等で、品物を市場価格よりもかなりの安価での販売も一般化しているようですが、建築関連の材料等もインターネット直販、産直あるいはそれに近い形での流通ルートも可能になってきています。 (フローリング、キッチン、等々)

生産者
メーカー
1次
流通業者
2次
流通業者
工事
下請業者
工務店  建築主 

(従来の流通)

生産者
メーカー
1次
流通業者
建築主 

(直接購入/設計事務所仲介)

(設計仕様上同じものを入手するのにどちらがメリットかはいうまでもありませんが、表示、実売価格で大幅な差のあるものもあります)

最近のIT化でますますこの傾向は強まっています。 できるだけリーズナブルなコストで購入するためのお手伝いもノウハウのひとつです。

間接コスト?

住宅メーカーが競って豪華な展示場を建て、営業マンが住宅をセールスするのは、諸外国にはないシステムだそうです。

確かに建築主にとって大変便利ではあるのでしょうが、その費用、展示場建設費・維持費、CM等広告費、営業の人件費、等の経費は、一体誰が負担しているのでしょう?
それらの経費の占める割合は約10%±α程度といわれ、当然ながら工事費に含まれていなければ、ツジツマがあいません 。

こうした経費は、住いの品質になんら関わらない費用です、意味のない経費 は極力省きたいものですよね。

直接工事費 粗利益 販売
経費

メーカー等

直接工事費 粗利益 設計
経費

設計事務所+工務店(通常価格競争になるため粗利益も圧縮されます)

一般に設計事務所に依頼すると設計費用分高くなる、と思われています。
しかし 実際は設計費用を含めても トータルコストは逆に 安いのです。 ただそれが、設計費用は別枠請求にになり、営業・販売経費は工事費用にふくまれ、見えにくくなっているだけなのです。

あなたはこの約10%を営業費用にかけられますか、それともプロの設計者をパートナーとして雇う費用に使われますか?

※ パソコンその他の物品で、インターネット直販等でこうした間接経費を排除したコストダウン製品の現状は、このページを読まれている方にはすでに実感されている事でしょうが、住宅メーカー等においても展示場、TVCM、販売経費をかけない商品販売も始められているようです。

「きれい」と「美しい」?

似たような言葉に、大きな違いがあります。

欠点なく均一な表面仕上げは「きれい」であっても「美しい」かどうかは別の問題です。
逆に欠点あり、荒っぽい仕上げであっても「美しい」物や部屋は数多くあります。

現在の日本の流通過程では、スーパーに並ぶ「きゅうり」のごとく、均一で欠点のないもの、すなわち クレームの出ないものが市場性のあるものと見られ、逆にその基準から外れるもの、欠点がある物はずいぶん低いコストで調達できます。

自然材で欠点のないものを求めれば途方もなく高価な買い物になっています。
自然の材料は多かれ少なかれ欠点を持つものですし、それだからこそ自然で本物なのです。

扱い方しだいで、欠点を気にしない、むしろそれを生かして、ローコストで本物が、きれいではなくとも 美しいものが出来上がります。
設計やデザイン力が試されるところです。

安価と安物?

似たような響きですが、この差にもは大きなものがあります。

いくら総額が抑えられても、安物になったのでは意味がありません。
ねらいの品質を安価につくることこそが目的のはずですよね。

建築材料は、価格差の少ないもので2倍、大きなものは10倍を超えるものがほとんどです。
(例えば、フローリングは 2,000円/M2 ~ 20,000円/M2 程度、それ以上の物もあります。 扉のハンドルでは約 2,500円/個 ~ 20,000/個、30,000円以上のもの、粗悪品から必要以上に高級なものまであります)

これだけ差のある材料と工賃の総計が工事費なのですから、明確な設定(詳細な図面)がなければ、総額はいくらでも安くできるのです。 (もちろん限度はありますが・・・)

つまり、詳細な図面なしでの契約は、「総額さえまもってくれれば、あとはお任せしますので、予算の中で適当にお願いします。」といっていることなのです。

これで希望の予算内に収まったとして、はたして 安い (安価な) 買物になっているのでしょうか ?

普段私たちは何千円から数万円の買い物をするときにでも、ひとつひとつ内容を確認し、スペックを比較し、購入するかどうかの判断をしていますよね。

住いづくりも同じこと、ひとつひとつの部材を詳細な図面にリストアップした上で、仕様と価格を比較し、納得して購入すればよいのです。
(もちろん専門家のパートナーとの協働作業です)

その何百倍の買い物をするときに、専門的な事はよくわからないと、お任せになってしまうのはとてももったいない、専門家にしてみれば信じられない話しなのです。

わずか数枚の図面 で契約されるケースや、設計はサービスです、といった話は、ほとんどの場合、明確な設定なしで総額を決める 「ただより高い物はない」 アブナイ話。
「安く買って高くつく」 ことにならないようにしたいものですよね。