住いづくりの予備知識

発注方式と価格

「税金のムダ使い」とヤリ玉にあげられる「随意契約」=1社特命発注 はメディアでもひんぱんに取り上げられています。
いったい何が問題にされているのでしょう?

競争のない世界では、ムリして原価を削ったり、経費を切りつめる必要はありません。
言い値(希望価格)を通せばよいだけです。

一方で価格競争の世界では、経費や利益をしぼり込んでも、受注競争に勝てる価格を提示しなければ仕事は得られません。
市場原理そのままの話ですが、ごくごく自然な結果として差がでてきます。

実はこの差は、かなり大きいのです。
実際のデータでの話をしますが、同じ詳細設計図書を提示し、3社での見積あわせ(競争)の結果で、その差は総額の20%程度から、時には30%を超えるケースもまれではありません。

20%の場合で、最も高い見積額が3,000万円であったとすれば、最低は2,500万円、 差額は500万円です。

メーカーや施工会社に設計を含めて発注(設計施工など)する方法は、1社特命発注です。
当然ながら、ほかの会社には比較見積を依頼できませんから、競争原理によるメリットは得られません。
大多数がこの形式で契約されているのは、専門家からみれば実にもったいない話ですが、それが現実のようです???

この 競争原理のメリットを活かすために まず必要なのが、見積りの根拠となる設計図書が、メーカーや施工会社とは利害関係のない、独立した立場で設計されていることです。

利害関係があっては、フェアな競争が望めないことは、日常的とも言える、官・民の癒着や汚職を報じたニュースなどからもご想像いただけると思います。

中には、数社のメーカーや工務店からの見積を比較されるケースもあると思います。
この場合も確かに競争にはなってはいます。

ただ、比較のベースになる設計内容が異なり、(さらには根拠となる詳細な設計図面はまずないでしょうから)、提示される総額の比較は、随意契約の額面を比較しているだけで、「良いものを安価に発注」のコスト上のメリットには結びついていないことに注意していただく必要があるように思います。