ジャンヌ・ダルク物語タイトル

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シノン城へ

 ジャンヌの目的は、王子を目覚めさせ、ランスで戴冠式をあげ、正式なフランス王とすること。その王から軍隊をもらいイギリス兵をフランスから追い出すことだった。(初代フランス王クロービス以来、フランス王はランスで戴冠式をあげて王様として認められた。)
 神の声がジャンヌにそうしろと命令を与えたのです。
そして、ジャンヌは王子の住むシノンの城へと向かうことにした。

 まず訪れたのはボークルール。ボークルールの市長を説得して、王子に会うための紹介状を持たせてもらうことと、護衛の部隊をもらうことが目的だった。
市長を何ケ月もかかり説得すると、護衛とともに敵地を通り、シノンへ向かった。
田舎娘で馬にも乗ったことのないこの子が戦争へと向かったのである。しかも他の軍人と同じように男物の服装をして。
 この田舎娘が本当に戦争なんてできると思いますか?武器なんて持ったこともないし、戦術なんて全く知らない、読み書きさえもできないんですよ。
 まあ、じっくりこの後おこる奇跡の数々を見てみましょう。


ヴォークルールの市長にかけあうジャンヌ
ブロワ城内の絵画

 適地を夜密かに通りながら、なんとかシノン城へ到着した。市長が書いてくれた手紙のおかげで王子に会うことが許されたジャンヌは城へ招待された。
シノン城
シノン城
 城では、今やフランス国民のあいだですっかりうわさになっていたこの乙女を迎えるために、宴が開かれることになっていた。「神から命令を受けた乙女がフランスを救うため、シノンを訪れている」といううわさは瞬く間に広がっていたのだ。
 しかし、ジャンヌは王様の席に座っている人には、近寄らず、見物人の一人に近づきこう言いました。「王子様、私はあなたをフランス王にするため神より遣わされたものでございます。」見物人は答えました。「何を言われておるのでしょう。王子はあそこの席に座られておられます。」「いいえ。あの方ではなく、あなたが王子様です。」ジャンヌは言いました。
シノン城内 - ろう人形 - 右端手前がジャンヌ
シノン城内のろう人形
 王子はジャンヌを騙そうと、意地悪をして身代わりを立てていたのです。神の使いなら王子が誰かくらい分かるだろう。そういう考えだったのでしょう。
しかしジャンヌはすぐに王子を見付け、王子に話し掛けたのです。初対面なのにどうしてそんなことができたのでしょう。まさに、奇跡!

シノン城でシャルルの前にひざまずくジャンヌ

シノン城をジャンヌが訪れたことは、シノンの町にとって重要な出来事です。
町の入り口には「ボークルールから来たジャンヌがここの門を通って、シノンの町に入りました。」という看板や、「ジャンヌが馬から下りる時に、足をおろした井戸です。」という看板があります。

左はその井戸です。

シノン城は当時政治の中心でしたが、今では戦火をうけ、破壊され、廃墟のようなお城です。それでもジャンヌダルク博物館があります。しかし、展示はほんのわずかです。



 その後、ジャンヌはポワチエの裁判で本当に神から遣わされた者かどうか、悪魔の使いではないのか取り調べられます。たくさんの法学者のたくさんの質問に彼女はたった一人で答えました。そして、永い裁判の末やっと、神から遣わされた者であると、認定されたのです。
ジャンヌの証言には一点の疑わしい部分がなく、本当に神を信じていたからです。

 何の学問もない彼女がたった一人で法学者を相手に戦い、言い負かしたのです。
そして彼女は、フランスの最高司令官に任命され、軍隊を率いることになったのです。