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[こういう症状はありませんか?]
<指の異常と絶望感> いわゆる「腱鞘炎」についてですが、「腱」(けん)というのは、筋肉の末梢で
あり、それが収束して堅く強靭になっているところをいい、隣の骨に付着しています。腱と腱を包む鞘が摩擦によって腫れてくる炎症症状を特に腱鞘炎とよんでいます。炎症すれば痛みを持って
くる。悪化すれば膨れて太くなってくる。伸ばそうとしたり曲げようとすると痛みを発するが、更に数ヶ月一年と長引いてくると、その状態は固まってきて動き難くなっ
て、時には急に引き伸ばしたりすると音を立てる「弾発指(バネ指)」という状
態になってくるのです。腱鞘炎の慢性化したものと考えて下さい。 痛みを生ずるものは、筋肉運動を急に行うことによって生じるもの
で、これが一般的に「腱鞘炎」と言うものだと考えて良いでしょう。症状の程度にもよりますが、適切な休養と治療によって良くなっていきます。 弾けない部分つまり苦手な部分ばかり何時間も弾いている(同じパターンを機械的に弾くなども含め)ことにより、同じ筋肉ばかり常に使っている
職業病と同じように、維持、酷使した筋肉に疲労を生じ、
筋肉のコリ(乳酸がたまり硬くなっていく状態)を作っていきます。
そして筋肉の柔軟性が失われてきます。これが一般に「スジが固くなっている」といわれる状態です。 更に、ジストニアのように脳の問題を抱えた病態もあり
ます。全身性のジストニアと診断されるものは除外して、特に音楽家や文筆家、更には理容師などに現れる
高度な職業病と言える「指の巻き込み」及び指腕などの不随意動作は、特に、特異動作性局所ジストニアと言われるケースがあり、
この病態の成立原因は、精神緊張の持続、肉体的反復動作の緊張、更には両者の重なったものなどがあります。確実にジストニアであると診断
されるものは、脳の不随意操作を抑制する機能にまで及んでいて、なかなか改善しにくい厄介なものです。放っておいて治癒に至ったという症例は今のところ聞き及びませんので、何らかの処置をしつつ経過を観察する姿勢が必要と考えています。
腱鞘炎の治療で大事なことは、腱そのものの炎症部分を癒すことはもちろんですが、腱の延長上である筋肉の弱みが元々あったためだということに着目する必要があります。腱の炎症が取れたとしても、原因としての弱まった(疲労した)筋肉がある限り、また再発します。この弱くなった筋肉は固くなりやや短縮しています。鍼や灸あるいは暖める治療を施すことによって、この弱まった筋肉は徐々に酸素を得て健常な筋肉に戻っていきます。長い時間をかけて非活動的になった筋肉は簡単には柔らかくなりませんが、根気よく治療を続けることで必ずより良い状態へ戻っていきますので諦めないで下さい。
また、「ジストニア症候群」に関しては、@コンサート、レコーディング、コンクールや発表会など、かなりの集中を強いた後から悪くなってなっていること、A更にその後休んで弾かなくしたとしても、症状がほとんど良くならず変わっていないこと等から類推して、やはり「何らかの治療する」ということが必要だろうと考えられます。休んで放っておいても良くなっていないということは、症状が固まってしまっていると考えられます。弱くなっているから鍛えよう!という考え方は、ある程度筋肉に余力が残っている場合には有効ですが、このような状態の場合は鍛えれば鍛えるだけ指の状況は悪化していきます。 現在、このジストニア様症状に対する治療としては、鍼(ハリ)治療が治癒の可能性を持っています。手術が絶対だと考えている方も多いかと思いますが、最終手段とは言えないのです。
●腱鞘炎・ジストニアの種類と治療
◆私の経験した指の異常感
私自身、クラシックギターを中学生の頃から愛好している一人です。私は、人前で弾くことよりも、個人で色々な曲をどんどん弾き、難しいところが弾けるようになっていくのを楽しむタイプでした。
30歳の頃、友達とコンサートを企画することが決まり、練習を始めました。
ところが、短期間で急な練習をしたことで「右中指の巻き込み」が起こり、演奏するたびに、もどかしい思いを経験しました。
くる日もくる日も「腱鞘炎かな?ジストニアかな?いや違う・・やはり腱鞘炎かもしれない」と、腱鞘炎やジストニアの文字が頭から離れませんでした。
無理に力を入れて指を戻したり、指を傾けて弾いてみたりと自己矯正を試みました。しかし、指の状態は益々おかしくなっていったのです。
<腰を据えた治療を決断>
思い悩んだ末、鍼と灸で治療をしていくことにしました。
治療期間中も、ギターをしばしば弾いて試しますが、なかなか動かない。指が固まってしまう。このままでは弾けなくなっていくかもしれない…と不安にかられ、持続的な治療の必要性を感じ、決意してギターをケースにしまいました。
8ヶ月くらい経った頃でしょうか、ギターを何気なく弾いてみると、問題なく弾けるではありませんか。諦めが希望に変わった瞬間でした。
<故障を経験して得たものも大きい>
故障後、久し振りのコンサートでは、長くステージに上がらなかったため、緊張で演奏中に指が固まってしまったこともあり、また 元に戻ってしまったかと、焦る気持ちも沢山ありました。ただ、自宅で弾く時には全く問題なく弾くことができたのです。
精神的なものも大きく影響するのだと考え、練習は、イメージトレーニングも重ねて行い、その後のステージでは、緊張があっても、うまく弾くことができました。
このことが、きっかけとなり、現在は全く問題なく弾けるようになりました。もちろん原因となった弾き方、フォームを見直したことにより、改善していったことは言うまでもありません。更に、呼吸のリズムが音楽に影響することも体得し、音楽の表現も変わりました。
◆腱鞘炎・ジストニアとは?
一言で「腱鞘炎」といっても色々な状態があるわけで、ギター以外でもピアノ、フルート、クラリネット、オーボエ、ホルン、ファゴット、マリンバなどの打楽器、お琴、三味線、バイオリン、チェロ、コントラバス、マンドリン、リコーダー、オルガン、その他エレキギター、ベースなど、演奏上に見
られる手指障害、更には一般的な職業(理容師、パソコン事務、OAによるストレス、翻訳業をはじめ、手先を多く使う主婦業、パティシエなど)で見られる手指障害すべてを「使い過ぎ症候群」とよんでいます。
腱鞘炎は特に音楽家に限った症状でなく、指を酷使する職業に現われるものです。
指、手首、ひじが痛い!しびれる!腕がだるい!痛くないのに思うように指が動かない!演奏しようとすると指が握ってしまう!はねてしまう!等は、腱鞘炎-使い過ぎ症候群の症状として見られ、慢性化したものは治癒にも時間を要し、たかが手指と言えども、趣味の楽しみや仕事を奪ってしまうものなのです。
上記のように、私自身、ギターの弾き過ぎからこれらを経験しましたが、治療の甲斐あって復帰しました。悩んでいる多くの方々の手助けをしたいと願っております。
自己判断で治療しようかと迷い、自己矯正をしているうちに悪化させてしまうケースも少なくありません。
●治りやすい状態
●治りにくい状態
そして一つの所にコリができると、次のコリを生ずることになってくるから
質が悪いのです。これがひどくなれば、血行不良が高じて腕にだるさ
を感じてきます。更には症状が長引いたものは、肩や首にまでコリが波及し、手指症状の回復を遅らせてしまうことも多いのです。
●フォーカルジストニア
ただ、その症状に類するものの中でも、長期の鍼灸治療においてかなりの改善が見られる症例があるのも事実であり、鍼灸治療も一つの治療
の選択肢として考えれると思われます。これらのジストニアもどき(症候群)と考えられるものの症状改善には、週一回の鍼治療で軽い症状でも3ヶ月、ほとんどの症状は少なくとも半年から一年の根気が必要です。重症のものはそれ以上かかりますが、必ず良くなっていきます。
「真のジストニア」は、脳からの不随意運動の抑制司令が壊れてしまい、治療中に刺激を加えることで痙攣のような不随意運動が出ます。
ジストニアもどきは上のような現象がなく、使い過ぎによる筋肉の硬直状態が強く残ったものと考えて良いだろうと思われます。
脳との関連性が固着化したものは、真のジストニアと考えられ、ご自身の中で力を抜くイメージトレーニングをしなければ
脳との関連性を切ることはできません。
何れにしてもこの種の症状の改善にはかなりの期間を要し、症状の変化を待ちきれず、治療を断念する方が多いこと
も事実ですが、それなりに頑張った患者さんは70%の率で良くなってきます。
ただ、我々術者の方もこの治療的経験がないと どのような経過をたどって治っていくか、また、症状が停滞している状況を
どのように説明していくかが難しいと考えています。
練習不足で弾けないのか?本当に指が悪くなって
いて弾けないのか?が当事者には判断できず、弾き続けているうちに
動きがおかしくなってくることが多いのです。
例として「
指が巻き込む」
「指が跳ね上がる」
などの動きの異常な症状でかつ痛みのないも
のは、病気の根が深いのですが、諦めず治療を十分に加えることが必
要と考えます。痛みのないもので動かない「指の巻き込み」のある場合は深刻なのです。楽器奏者におけるこの深刻な「巻き込み症状」は、ギター、ピアノ、フルート、バイオリン等などに多く見られ、また症状には共通性があります。(詳しくは、上の見出し[腱鞘炎自己診断テスト]を参照下さい。)
◆腱鞘炎・ジストニア治療
◆当院を推薦して下さっているサイト
●「現代ギター誌」'84・5月号臨時増刊「レッツ・プレイ・ポピュラーギター」編曲譜 sold out ●加茂フミヨシ氏との対談「匠との語らい」全4回 2012年11月9日リットーミュージック社パソコン閲覧推奨 ●「現代ギター誌」'15・3月号 エリック・サティ「ジュ・トゥ・ヴ〜君が欲しい」編曲譜 |