かぜウイルスに感染してしまい、それに対する体の反応がいわゆる“風邪”の症状となるわけですが、なぜ“風邪”をひくのでしょうか?
冬のかぜ |
インフルエンザウイルス・・流行性感冒 ライノウイルス・・・・・・鼻かぜ |
夏のかぜ |
アデノウイルス・・・・・・呼吸器と胃腸のかぜ エンテロウイルス・・・・・夏かぜ |
かぜの原因となるウイルスには様々なものがあります。この表には代表的な4種類をあげました。
上の二つは主に冬に流行るかぜで、下の二つが主に夏のかぜの原因となります。
夏かぜは、これらのウイルスが胃や腸官で増殖するため、一度感染すると、1ヶ月くらいはウイルスが便中に出てきます。
インフルエンザは、ある特定の時期に集中的に発生し、きわめて重症になることがあります。
鼻腔の粘膜に生えている細かい繊毛が、鼻坑に向かって動き、粘液を外へ送り出すことで鼻から入ったウイルスなどの異物を排泄しています。しかし、粘膜が乾燥したりすると、粘膜の表面が傷つき、繊毛の動きが失われてしまうため、ウイルスが侵入しやすくなります。(のどの場合も同様です。)
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ウイルスが細胞に入り込むまで
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ウイルスが細胞の表面に取り付く。
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細胞の表面に付いたウイルスは少しずつ細胞の内部へ入り込んでいく。 |
細胞の中に入り込んだウイルスはどんどん増殖する。 |
ウイルスはものすごい早さで増殖します。「かぜかな?」という自覚症状を感じたら無理をしないで、免疫機能を維持するため、体を温め、安静にし、水分と栄養素をたくさん摂取しましょう。栄養素で重要なのは各種ビタミンやミネラルですが、ビタミンCは食事の度に直後に1000mgは摂取したいものです。かぜをひいてしまった場合は、もっと大量に必要になると思います。
かぜの予防には、手洗いやうがいを励行し、ビタミンCは普段から多めに摂取し体内備蓄量を多くしておく必要があります。
うがいのときには、緑茶(番茶を40〜50度くらいのお湯で出したものがベスト)や紅茶などでうがいをすると、かぜのウイルスを殺菌できます。また、うがいするときには、まず空気をたくさん吸い込んでからうがい液を口に含み真上を向いてガラガラと、少なくとも5回以上は行うといいです。うがい液が鼻の方へも回り込むと完璧です。
インフルエンザは普通の風邪と違い、お年寄りや小さいお子さんの場合、残念ながらインフルエンザ脳症などにより最悪の場合を招いてしまうこともあります。
インフルエンザの症状は普通の風邪と同じように、せき、頭痛、悪寒、さらに急に38度以上の高熱が出たり、節々の痛みや気管支炎、肺炎などを併発します。インフルエンザと普通の風邪とを確実に見分けるには、ウイルス検査をしないといけませんが、熱が急に38度以上、全身倦怠感、節々の痛みなどがあるときには、インフルエンザを疑いましょう。小さなお子さんや高齢者の場合は夜中でも医師の元へ!48時間以内が目安です。
2003年の冬、1月26日現在で患者数はなんと51万4160人。この数字は昨年(2002年)同期と比べて7倍以上。さらに過去4年間で最も多いペースとのことです。このため抗インフルエンザウイルス剤が不足しているところもあるようです。
今年は9割がA香港型で、とくに西日本に多いようです。
残り1割がB型で、Aソ連型はまだ検出されていないようです。
通常2月の上旬がピークで、まだまだ猛威を振いそうです。3月一杯までは気が抜けません。治療薬の不足解消も3月以降になりそうです。
今年の特長は、とくに脳症を発症するのがとにかく早いそうです。数時間のうちに発症した例もあるとのことです。
予防がもっとも大切ですが、もしかかってしまった場合には早めの受診を心掛けるとよいでしょう。
とくに小さなお子さんの場合は充分に注意しましょう。
インフルエンザの場合、もっとも心配なのが小さなお子さんや高齢の方のインフルエンザ脳症や肺炎により最悪の場合が起きてしまうことなのですが、それはいったいなぜなのでしょうか?
この原因を探ってみました。
インフルエンザウイルスの種類 A型:香港型、ソ連型 B型 C型 |
普通の風邪ウイルスでは、いままでにも感染したことがあり、人体は既に抗体を用意しており、比較的すぐにウイルスは駆逐できるようですが、インフルエンザウイルスは抗原が変化してしまい、人体で用意されている抗体ではすぐにはウイルスを駆逐できないという点にあります。
このため、不完全な免疫機能の状態でウイルスと闘うことになり白血球のなかの「多核白血球」つまり「好中球」がたくさん参戦することになります。この「好中球」の戦い方は、病原菌を見つけると自分の中に取り込んで、ファゴゾームという袋を形成し、その中で大量の酸素から活性酸素(過酸化水素、H2O2)を生みだし、病原菌と反応(酸化)させ、病原菌をやっつける、ということをします。このとき、問題となるのが、ファゴゾームで放出された活性酸素が垂れ流しとなるのです。このため、好中球自身も活性酸素にやられてしまうばかりか、周りの正常な組織もずたずたにされてしまいます。
高齢者の場合、SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)という活性酸素除去酵素が充分に生産されないため、垂れ流しにされた活性酸素をうまく除去できないため、肺炎となってさらに重症に陥ってしまうのです。
幼児の場合も、抗体の作成が遅れ、垂れ流しにされた活性酸素の除去がうまく行えないと、各所にダメージを与えますが、特に脳内に深刻な悪影響を与えてしまい、インフルエンザ脳症などといった症状が出ることになります。
風邪をこじらせた場合の気管支炎や肺炎といった“炎症”も同じ原理で発生してしまいます。
健康な成人であれば、割とスムーズに活性酸素と闘う準備ができていますので、たとえ抗体ができていないタイプのインフルエンザウイルスに感染したとしても、最悪の事態を招くまでには至らないと思います。
通常の免疫反応では、異常が出た部位からは、サイトカインが分泌されそれを目印に好中球などが寄ってくるはずですが、インフルエンザの場合は時として全身で好中球が活発となってしまうようです。これは腸管免疫機能や粘膜性免疫機能(アレルギーの項参照)と言われる免疫機能が関係しているのではないかと思われますが詳細は今後の研究が待たれます。全身で活発となった好中球がばらまく活性酸素をうまく除去できないと体中の臓器がダメージを受けてしまい、高齢者などで、体力が落ち活性酸素除去能力も低下している場合、多臓器不全などを引き起こし最悪の結果を招いてしまうこともあるのです。
もしも、インフルエンザウイルスに感染してしまった場合は好中球の働き、つまり好中球がばらまく活性酸素に備えて自己防衛をする事が必要であると言えます。この場合は活性酸素を除去するスカベンジャーを多く摂取しておく必要があります。スカベンジャーの原料に欠かせない亜鉛、マンガン、セレン、などの必須微量ミネラルとタンパク質もしっかり摂取しておく必要があります。
βカロテンやビタミンCもまた充分に摂取するように心がけましょう。
黒豆、くろごま、茄子、トマト、人参など色の濃い野菜には、抗酸化作用のある多くのポリフェノールの仲間が含まれています。これらを積極的に摂取することも大切です。特に、抗酸化栄養素としては、ビタミンCと不滅の双子といわれる、松の樹皮抽出物やOPCといったものがお勧めです。
具体的にはサプリメントの利用が手っ取り早くて効果的ですが、トマトジュースや野菜ジュースを一日に1Lほど飲んだり、ビタミンCは一日に数千ミリグラム(この場合は食品からでは無理)をできるだけ小分けして摂取すべきです。生ガキやカキ鍋で亜鉛やタンパク質、タウリンなどの栄養素をたくさん摂取することも良いと思います。
カキフライでも良いですが、あげ油に酸化しにくい、キャノーラ油(なたね油)やオリーブ油ものを使うなどの注意をしましょう。カキを食べるときには良くレモンを搾ったりしますが、これはクエン酸やビタミンCのおかげで亜鉛や他のミネラルの吸収を良くしてくれます。レモン果汁は普段からいろいろな食べ物にかけて食べますと、カルシウムなどの吸収も良くなります。市販されているレモン果汁(ポッカレモン果汁など)を利用すると良いでしょう。
(ワクチン以外の方法)
感染の予防には、頻繁に手を洗ったり、お茶や紅茶などで何度もうがいをするということを心がけると良いでしょう。
日頃からビタミンCを充分に摂取して、免疫機能が働きやすくしておくというのも効果があります。活性酸素対策にもなります。
ビタミンCの効果的な摂取方法は、できるだけ小刻みに摂取することです。
一般のサプリメントは直ぐに吸収され余分な分は働くこと無く排泄に向かいますが、この場合には1時間おきに摂取することによってある程度体内の濃度を確保できると思います。
もし、風邪をひいてしまった場合は、いつもの2倍以上を目安に摂取すると良いです。
ビタミンCと相性の良い、ビタミンPに属するOPCを始めとする各種の栄養素も同時に摂取すればなお良いと思います。緑色の濃いキャベツなどの野菜にはビタミンCを始めカロテノイド、グルタチオン、カタラーゼ、カルノシンなど優れた抗酸化酵素も含まれます。カルシウムも吸収されやすいカタチで含まれますので、ジュースなどにして積極的に利用したいです。
空気感染による感染の予防としては、うがいがありますが、回りに風邪をひいている人がいる場合は自分から濡れマスクをするのも効果的です。電車やバス、デパートや映画館など人が多く集まる場所にいるときでもできればマスクをすればそれだけ予防効果が期待できます。
空気感染以外では、接触感染があります。
ウイルスは電車のつり革はもちろん、ありとあらゆる物にくっついていると思った方が良いでしょう。
これらのウイルスが付いたものに触れることによって簡単に自分の手にくっついてしまいます。
そこで手洗いなのですが3〜5歳くらいのお子さんの場合、もっとも汚れがひどい部分は親指の先であるという調査結果もあります。
その次に人指し指、中指となるようです。
ツメが伸びているとツメの間にウイルスも大量に潜んでいるかもしれませんよ!
とにかく手洗いは意識して行いましょう。指の先は念入りに洗うのがコツのようです。
抗菌石けんでも普通の石けんでも良いのですが、指先を意識して、指の間、指の背といったところを意識して洗いましょう。
ツメブラシなどを利用しても良いかと思います。
ティーツリーの特長を生かした天然素材からなる地肌に優しい抗菌石けんもありますが、利用価値は高いかもしれません。
21世紀における、風邪予防の決定的(?)な方法を一つ。
風邪がはやっていますが、みなさんは大丈夫ですか?
ということで、簡単に実行でき、かつ効果もある風邪対策を一つ。
それは、「ニンニク」うがいです。
予防だけでなく、ひいてしまった風邪にも有効な方法だと思われます。
ニンニクは食べてももちろん良いですが、食べるときには必ず火を通してから食べるようにしましょう。
生は強い刺激があり、胃を痛めてしまいます。(それに臭いですしね。)
風邪はウイルスが原因ですが、始めのどの扁桃などに付着してそれが次第に繁殖するために諸症状が現れます。
本来ならのど粘膜の繊毛が盛んに動いて細菌も排出されやすいのですが、鼻が詰まったりして口呼吸になると乾燥した空気により粘膜が冷やされたり乾燥することによって繊毛の動きが悪くなってしまいます。
こうなると簡単に風邪ウイルスの侵入を許してしまうことになります。
呼吸はできるだけ鼻からするようにするといいですね。
マフラーなどでのどを保温するのも良い方法です。
部屋の湿度を上げるより、“濡れマスク”をしたほうが風邪予防の効果が大きくなります。
風邪を引きやすい方は、お休み時に“濡れマスク”をお試しください。
“濡れマスク”は、マスクを一度ぬらし、良く絞ります。
それを乾いたタオルに包んで絞ると、冷たさもあまり感じないと思います。
「ニンニク」は、殺菌効果にすぐれ、また細胞を元気に働かせてくれます。
扁桃についた細菌を殺菌し、またリンパ球細胞の新陳代謝も高めてくれます。
すっかり風邪をひいてしまった場合でも、免疫機能が強化され下手な薬より効果が現れると思います。
また「ニンニク」に含まれる100種類におよぶといわれる植物由来化学栄養素が、口の中やのどから、一部の揮発成分は鼻や肺から体内に吸収され、それがまた体内の細胞を元気にしてくれるといった作用も考えられます。
ニンニクうがいの方法
まず、にんにく1片の1/4くらいを、できるだけ目の細かいもので軽〜くすりおろします。
次に、それをコップに入れ、水を半分ほど入れます。
そこにお湯を注ぎます。お湯の温度はお風呂のお湯の温度くらいにします。
熱すぎては殺菌効果が薄れてしまいますので、ぬるめのお湯で充分です。
この生ニンニクを溶かした水(ぬるま湯)でうがいをします。
朝と夜の最低2回は実施すると良いですね。
(注)ニンニクの量は、適宜調整してください。
試してみてあまり刺激が強いと感じた時にはニンニクの量を減らすか、水の量を多くするなどの工夫が必要です。
また、すりおろしたニンニクがざらざらで不快な時には、清潔なガーゼなどですりおろしたニンニクを絞るって汁だけをコップに入れると良いです。
オーストラリア原産の「ティーツリー」という植物の精油は、アロマテラピーとして用いると、のどの痛みに優れた働きを発揮します。のど飴にも入れているものも市販されています。
ティーツリーの効果は、
1・殺菌作用
2・鎮痛作用
3・組織の修復作用
、、等があります。
ティーツリーを「うがい」に利用すると、この精油が直接粘膜に触れることによって、のどの痛みを鎮めたり、痛んだ粘膜を素早く修復してくれる、といったことになります。
うがいをする場合は、コップ1杯の水(ぬるめのお湯の方がよい)に1滴ほどのティーツリーの精油を入れて、これで何度もうがいをします。
さらに、風邪をひくことによって口内炎や口唇炎などが起きることがありますが、これらは単純ヘルペスによるものですが、この口内炎などの炎症を起こしている場所に、綿棒などで直接、ティーツリーの精油を塗ると、痛みを和らげたり、修復を早くする、といった作用があります。
痛んだのどの粘膜組織を修復するための栄養素としては、特に亜鉛、ビタミンC、タンパク質(アミノ酸)などが重要です。
ティーツリーの特長を生かした抗菌石けんもあります。
万が一、インフルエンザや風邪をひいてしまった場合は、とにもかくにも充分な睡眠と休養をとり、食欲がないなら無理に食事をすることはしない方が良いようです。食べ物を消化吸収するには、それ相当のエネルギーが必要であり弱っているときには負担となるようです。でも水分の補給だけは意識して行いましょう。体温と同じ程度のぬるま湯がもっとも良いでしょう。お茶ではなくただの“水”が良いようです。お茶うがいなら良いですが、飲んだ場合は利尿作用が強くてよけいに水分を排泄してしまうことになります。
部屋の掃除、換気、湿度の調整も大切です。
インフルエンザかな?というときには、乳幼児、高齢者の場合は48時間以内に医師の元へ!
風邪の特効薬はないですが、インフルエンザの特効薬ならあります!
ただの水よりもっとお勧めなのがトマトジュースを水で割って、それに少量の塩と砂糖を加えた、“トマト水”です。
熱を下げ、免疫力もアップさせます。
これはWHO(世界保健機関)が発展途上国において脱水症状に苦しむ子供たちに勧める「経口補水液」を参考にしたものです。
汗で奪われるナトリウムを塩で、トマトでカリウムを補給します。糖分は吸収を良くし、エネルギー源としても効率が良いです。
無塩トマトジュース300ml+水700ml(海洋深層水やミネラルウォータなど、水道水以外の水)
これに塩(天然塩が良い)3gと砂糖(黒砂糖が良い)9グラムを入れて良く混ぜます。
黒砂糖が溶けにくいときには、あらかじめお湯で溶かしてから加えましょう。
冷蔵庫で保管しますが、日持ちはしないので、その日の内に利用します。
こうして作ったトマト水は、37度台の熱なら一日に1L、38度以上なら1.5Lは飲むようにしましょう。
食事ができないときには、食事の替わりとして毎食500mlほど追加します。
飲み方は、一度には200ml程度にして30分以上の間隔をあけて飲むようにします。
熱が出た場合は39度以下である場合は、すぐに解熱薬を飲んでしまうとこんどは免疫力が低下する、ということもあるようです。40度以上の高熱ではさすがにつらいですから発病の二日以内に服用するといいでしょう。この場合でも発熱期間は約半分程度になる、という程度のようです。発病して4日目あたりから解熱薬を服用したとしても、自然治癒の場合とほとんど変わりないということです。
活性酸素対策として、OPC(オリゴメリックプロアンソシアニジン)という成分の摂取は意味があると思います。100%近い吸収率があるため、弱った胃腸でも充分に消化吸収され、有効に機能することでしょう。