〃戦争はおそろしいよね〃の巻

正チャン(以下S)「お帰りなさい。何か疲れてませんか?」

あき(以下A)「分る?やっぱ、3泊5日はきついわね。」

S「そうですか。じゃ、今度はゆっくり行ってきて下さいよ。」

A「お言葉に甘えて11月はゆっくり行かせてもらうはね。」

S「ところで、どうでした?ロスは。」

A「天気も良くて、とっても過ごし易かったわよ。」

S「へ〜。じゃあ、良かったですね。こっちなんか週末は雨にたたられっ ぱなしでしたよ。」

A「まあ、普段の行いね。」

S「そんな事言うと11月やりませんよ。」

A「ごめんごめん。ちゃんとやってもらわなきゃね。」

S「何か芝居とか、映画とかは観てきたんですか?」

A「芝居を一本と映画を一本ね。」

S「なに観たの?」

A「芝居は〃キャバレー〃で映画は〃ラウンダース〃。」

S「それでどうだったんです?」

A「〃ラウンダース〃の方だけど、憧れのマット・デイモンが出てるから 観たんだけど、どうって事ない映画だったわ。東京では何時からやるのか しら?」

S「もうとっくにやってます。」

A「あっそう。ギャンブル好きにはたまらない映画かもね。」

S「どうしてですか?」

A「ギャンブルをする上でのヒントみたいな物が解るのよね。」

S「じゃあ、おいらもちゃんと観なきゃ。」

A「そうね。でも正ちゃん、カードやったっけ?」

S「カードはやらないですけど競馬なら。」

A「競馬じゃ駄目だわ。この映画、ポーカーが主役と言っても良いくらい 、つまり、主役はカードなのよね。」

S「そうなんですか。でも、そのうちカードMやるかもしれないし、 観ておいても良さそうだな。」

A「やめなさい!カードなんて。本当に怖いんだから。でも、そうね、手 を出すの止める為には良いかもね。」

S「そんなに怖いんだ。」

A「そうよ。だって、自分の知らないうちにツケがどんどん増えちゃって さ。」

S「どんな映画なのかな〜?」

A「カードに大負けした主人公が彼女の為にもってカードから手を引くん だけど、務所に入っていた友達が務所からでてきて、再びカードに手を出 すのよ。それで、無断で、主人公のツケにしちゃうのね。それが何時のま にかとてつもない額になっちゃってて、それを何とかしようと、またカー ドに手をだすの。」

S「彼女より友達をとったって事ですね。」

A「そうなの。でも、その友達がまたまた余計なことして、せっかく取り 戻せる所をダメにしちゃうのよ。だけど、男の友情ってやつかしら、再び カードにチャレンジして借金を取り戻すのね。それからプロのギャンブラ ーになるためにラスヴェガスに旅だって行くのよ。」

S「プロのギャンブラーか。なってみたいな。」

A「止めときなさいよ。す巻にされて川にドボンよ。」

S「そうですよね。止めとっこと。ところで、芝居の方は?」

A「久しぶりの〃キャバレー〃だったんだけどね。やっぱいいわ。こうい うの好きなのね、アッシ。」

S「映画は観たんですけど、ミュージカルなんですか?」

A「そうよ、ミュージカル。」

S「ブロード・ウェイでも演ってますよね。」

A「リヴァイヴァルでね。その公演が評判でね。何しろキットカットクラ ブって言う本当のキャバレーみたいな所で演ったもんだから。解るでしょ 、雰囲気みたいな物が。」

S「へ〜。観てみたいですよね。」

A「アッシも観たかったんだけど、去年行った時ちょうど劇場が変る時で 観れなかったのよ。だから今回はどうしても観たくて。そしたらロスで演 ってるて言うじゃない。もう、いてもたってもいられなくなって観に行っ てきたって訳。」

S「ロスだとキャストの質なんかが少し落ちたりしないんですかね。よく 言いますよね。」

A「そうね。今回もテリー・ハッチャーっていう人が主役:のサリーにな ってたんだけど、アッシ、まるで知らなかったのよ。それでプレイ・ビル を見てみると、アメリカではいろんな映画やテレビに出ている人みたいね 。可もなく不可もなくっていう感じかしらね。でも、本当に本が良く書け ているんで感動したわよ。」

S「やっぱり本が全てですよね。」

A「そうね。多少、役者が下手でも本が良かったらある程度の感激は得ら れるものよね。」

S「映画と内容はほとんど同じなんですかね〜。」

A「そうね。元々は〃ベルリン・ストーリー〃という本と、〃私はカメラ 〃という芝居をベースにしているんだけど、ナチス台頭前夜のベルリンが 舞台なのよ。狂言回し的に出てくるエム・シーっていう人物が1930年 頃のベルリンで起きたアメリカ人の作家とキャバレーの歌手との淡い恋を 中心に、ユダヤ人の迫害が始まってどんどん恐ろしくなっていくドイツの 姿を物語っていく訳ね。」

S「勿論、実際には経験していないんですけど、恐ろしさが体の中にまで 染み込んでくる様でしたもんね。」

A「本当。〃人生はキャバレー〃って歌っているけど、そんなもんじゃ済 まなくなっちゃう現実がそこにあるのよ。本当に戦争って恐ろしいものよ ね。今の日本は幸せだわよ、ほんとに。でもね、ある意味で、戦争批判の ミュージカルを演っているアメリカが、今この時戦争をしているのは何故 なんだろうって考えてしまうのはアッシだけかしら?世の中、本当の平和 なんて訪れる時はないかもしれないけど、戦争なんかしちゃいけないって 皆が考える様にならなきゃね。」

S「本当ですよね。」

A「何だかとっても真面目な話しになっちゃったわね。ごめんなさい。と ころで正ちゃん、注文何だったけ?」

S「そう言えば何でしたっけ?」

A「もしかしたら、まだ聞いてないかも。」

S「おいらもそんな気がします。話しに夢中になりすぎましたね。」

A「ほんと、ほんと。じゃ、何しよっ?!!」(終り)

*登場人物は全て仮名です。




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#6 "あんたも漫画がすきなのね"の巻
#5 "あんたの涙は.....?"の巻
#4 "安心が一番"の巻
#3 "本当に生はいいんだから"の巻
#2 "小さいことはいいことだ"の巻
#1 アキのニューヨークお芝居観て歩記