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▲「歌枕・うたまくら」1994年(393×393) |
●無一物● |
個展のたびに、会期が過ぎても訪れて下さる方々のために作品を別室にて常設している。今日も朝一番に飛び込んで室ヘ向かう。何かに触れたかのように強い衝撃を受け、姿勢を直し、立ちつくす。沈黙の刻が過ぎ・・・ため息のような声が漏れ『静かですね。この静謐な作品から伝わってくる深い精神性に心が癒されます。』そこには静寂な無限の宇宙の広がりを私にも感じとれる。さらに私が想うには、心の奥深いところでは内的な無意識の世界へと広がり、解き放された自分を発見するのではないかと・・・ 皆一様に、どのような人ですか。と尋ねられ、若くして(23才)渡仏以来、今日に至るまでを話すと、日本の生活よりフランスでの生活が四半世紀を過ぎようとしている画家に、なぜ東洋画が持つ深い精神性、神秘漂う作品が描けるのか。との問いかけを多くの方々から寄せられる。
大阪淀屋橋の橋詰、フランス郊外のメトロ等での路上生活者と何気なく触れ合う姿を鑑みるとフランスでの25年、言葉では言い尽くせない御苦労があった事が察しられ、人間としての本質的な在り方を求めつつ、人間の生き方そのものを鋭く問いかける25年の歳月であったことか、日本に滞在する時は妙心寺の塔頭に泊まっている事を察すると、自ずとお尋ねの答えが出ているかのように思う。
昨年10月パリで開催された国際アートフェアー『フィアック'01』においては、極めて高い評価を受け日欧双方のコレクターの間で着実な高い支持を受け、今後日本画壇の先達の一人であることを確信する。
またこの度、大阪府立現代美術センターで『坂部隆芳 四半世紀軌跡展』が開催されますので、ご多忙中とは存じますが併せてご高覧賜わりますよう何卒宜しくお願い申し上げます。 |
植松 健至- |
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