○イントロダクション
ギター談義になったとき、《ある世代》が必ず話題にするギターがある。モ
ズライトである。このギターをベンチャーズが使っていた期間というのは実
はそんなに長くないのだが、モズライトは、ベンチャーズ、そして60年代エ
レキ・ブームの記憶と濃密に結びつき、いまに至るも、《その世代》にとっ
ての特別なギターでありつづける。
「モズライト? あ、持ってる。日本製のコピーだけどね」
「え、モズがあるの? ね、弾いてないんなら、こっちへ回してよ(笑)」
同世代同士でかわしたこんなジョークが、ある日、冗談でなくなった――。
歴史を探るとモズライトは、60年代にモラレスなどのコピーものが登場した
あと、70年代にファーストマンがライセンスを取得して日本版を販売してい
る。
しかし、ロレックスにせよモズライトにせよ、“超人気ブランド”というの
は、何が起こるかわからないものだ……(笑)。
これは、そんな「70年代・日本製モズ」がどんなものであり、そしてそれが
どのように“再生”されていったのかをメール形式でつづった、ジョークと
スピリットにあふれるタマシイの(笑)記録である。
(この物語をお読みになる方へ。メール形式なので、読みにくい点、ややわ
かりにくい部分もあるかと思いますが、そのへんはよろしくです!)(^^)
○文&構成:iemura
○目次
・イントロダクション
・第1回 「モ、モズが来た!」
・第2回 こいつは謎のギターだぜ
・第3回 フェイク・ギターに名前をつける
・第4回 涙のモズから音が出た!
・第5回 パーツ調達はどうする?
・第6回 百舌鳥鳴く里に春来たり
・第7回 塗装を剥がしてナチュラルに
・第8回 ニセライト、堂々完成へ
○登場人物
・御田(Mitachan)
1965年、伝説となった新宿・厚生年金会館でのライブのときに客席にいた。
ベンチャーズは、ジャズマスターとプレシジョンではじまったバンドと知っ
てはいても、モズライトはやはり気になるギター。世紀の節目に一本ほしい
ということで、リサーチのあげく、フィルモア楽器より「モズライト・オブ
・クラシックス」のサンバースト・カラーを購入。
今回は、弟子のiemuraから回ってきた謎のバッドコピー・モズと格闘。その
結果、オールド・ギターの再生というよりは、いっそう謎の濃い(笑)一本
のフェイク・ギターを生み出すことになった。(^^)
・iemura
ギターなら教えてやるぞ!と酔っぱらったミタが口走ったことをタテに、ミ
タの一番弟子を自称するほぼ同世代。二人でベンチャーズごっこをやるはず
が、あの“ミートショップこしみず”からiemuraが買ったギターは、なぜか
70年代グレコ・レスポール。ひょんなことからフシギな「モズライト」をゲ
ットし、そのチューニングをミタに託したことから、このストーリーははじ
まった……。