IMPRESSION

　私、村上がメーカー、排気量、新旧など車種にこだわらず一般の人よりたくさんのバイクに乗れる立場を利用して、私なりの試乗インプレッシヨンを、語らせていただきます。皆さんのバイク選びの御役に立てればうれしいです。

　今回は、当店の試乗車兼お使いバイクとして活躍中のPIAGGO VESPA GT200とaprilia ATLANTIC200 を比較してみました。実はこの2台、両者ともに、ピアジオ社が各社に供給する、”リーダーエンジン”と呼ばれる水冷4サイクル200ccユニットを搭載しております。エンジンが同じなのに、いろいろな意味で好対照な感じがするところがとても興味深いです。

大きさもデザインも正反対に位置するかのような両者。後ろに写っているランナーVXRも同じ”リーダー”搭載車です。その他にもたくさん”兄弟”がおります。

下の写真が後輪の位置に合わせてみた全長の違い。カタログスペックでは全長で１６ｃｍ、全幅で１５ｃｍほどアトラのほうが大きいことになってますが、実際はもっと大きく違うように見えます。

キーも多分同じ種類の物。頭だけ変えてると思われますが、GTや新型ランナーVXRはチップ内臓キーのイモビライザー搭載。アプリリアはメーカーの盗難保証でフォロー？

積載能力は圧倒的にアトランティックの勝ち。GTは普通のヘルメットはシート下に収めることができません。どちらも純正オプションで同色のテールボックスがあります。

さて、それじゃあデザインや大きさ以外に何処が違うの？と聞かれましたら、まだまだ、違うところがたくさんあります。実際にツーリングや、通勤に使ってみた様子をお伝えしたいと思います。

エンジン
同じエンジンながら、発進加速はGTの勝ち。車重が３０ｋｇほど違うのと、セッティングも多少違うようです。中速以降の楽しさはどちらもほとんど同じで、最高130km/h位まで引っ張れます。燃費はツーリングで、リッター30km近くまで伸びます。

シティユース
街中では圧倒的にGTの使い勝手が光ります。大きなハンドル切れ角とコンパクトな車体は大変便利です。加えて、周囲に威圧感を与えない、かわいらしいデザインで、何処に置いても睨まれにくいです。特に女性へのウケは抜群。ただし、ストック状態ではシート下のスペースが小さいので、収納の点ではアトラに一歩譲ります。

高速走行
高速道などを走ると立場が逆転します。GTでも普通に走れる性能がありますが、風がもろに体に来ますのでちょっと大変です。アトラの大きなスクリーンとロングホイールベースから来る安定感は別格。ブレーキはどちらも前後ディスクですが、アトラの方がコンビブレーキ搭載で、強力な制動力を発揮します。13インチ大径ホイールのおかげもあり、100km/h以上で曲がるような高速コーナーも安心して突っ込めます。

価格
アトランティックの\449､000に対して、GTは\585,000と比較になりません。
GTはもともとの価格が大変高く設定されておます。ヨーロッパで売っている値段もほとんど日本と同じです。決して成川さんが”ボッタクリ”なわけではありません。GTが高い一番の理由はモノコックボディにあると思われます。乗ってみればだれでもモノコックの恩恵を感じることができますし、鉄板のきれいな塗装は質感が違います。因みに同じピアジオ社製のランナーVXRが\440,000なのを考えればこの価格も納得するところだと思います（価格はいずれも税抜き）。
一方、アプリリアは日本市場に参入したてで、ある意味戦略的値付け。バーゲンプライスと言って良いでしょう。本当はあと5万円から10万円くらい高く定価設定したいところだと思います。安っぽさは全くありません。

総評
この2台、基本的な考え方は、やはりヨーロッパ流です。日本車から比べれば、サスが硬めだったり、シートが高かったりと、国産から乗り換えると面食らう人も少なく無いです。しかし、「乗る楽しさ」の点では、全く違う次元にあると思います。
極めて乱暴な言い方をすれば、「ちょっと小さなTMAX」と「とっても良くできたフリーウエイ」とでも表現したら判り易いでしょうか。
アトラは100km/h前後で高速を走っていたら、TMAXとほとんど同じ感覚に陥ると思います。さすがに200ccなので、ドッカンパワーは期待できませんが、これから高速二人乗り解禁になり、「のんびり奥さんと箱根まで」といった使い方をするには、必要充分な性能を持ち合わせております。
一方の「良くできたフリーウエイ」は「とっても」を掛ける3倍位に考えてください。普段はリード100とフリーウエイの二役をこなしながら、ツーリングにも行けて、その気になればランナーを追いかけまわすスポーツバイクにもなり得ます。\585､000は決して高い買い物になりません。

この2台をお客様に説明する時はどうするかと言いますと、ずばりそれは、その人の「ライフスタイルによって」ということになります。バイクの使い方はもちろんですが、趣味の問題も大きく影響します。通勤や高速ツーリングなど、バイクとしての実用性重視ならアトランティック。一方、趣味人で、ファッションの一部分としても、バイクを捉えているおしゃれさんには、GTがおすすめです。

バックナンバー
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