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去年、雑誌のお仕事を頂きまして、特集本の制作3冊のお手伝いをしました。「昭和のバイクを再生する。」という企画です。一番最初の「昭和号」は、編集長がヤフオクで落札したヤマハSRX400を当店で乗れるように修理する。という内容でしたが、修理しながら写真を撮り、後からその原稿を書く仕事はなかなかに面白かったです。因みに第二弾が30年以上倉庫に眠っていたホンダゴリラ。第三弾は数年の間、軒先に放置されていたヤマハFZR400ゴロワーズカラーでした。どれも強敵。
今年の初め、話の流れで、編集長がしばらく乗っていたSRXを私が引き取ることになりました。どうしたもんだろうと考えたのですが、「雑誌で取り上げたバイクその後」という企画も面白いのではないかと思い、私のメインマシンにしてみました。この雑誌の次号が出るときはネタとして使ってもらえるかもしれません。
とは言え、ご存知の通り、古いバイクの維持は大変です。通勤に使ったりしながら少しずつ仕上げていくのですが、充電系統がダメで灯火類が一切点かなくなったり、当時は最先端だったブレーカータイプのメインヒューズの端子が折れて、現代のものに作り替えたりと挙げればきりがありません。タンクキャップからガソリンが吹き返すなんてのは、我慢しなくてはいけない範囲です。まあ、これも一度分解してグリスアップしながら組みなおしたら直りましたが。
通勤に使えるようになったら、次はちょっと遠出。主に房総方面に出かけて、ワンダーランド探検です。
何度か一人で走ってきて、大丈夫そうだと判断し、3月末の車検を受けてきました。あっけないほど何の問題もなく通過。
車検が取れたら皆さんと350kmの日帰りツーリングに出かけてみる。ETCとシガーソケットを取り付けて少し現代風アレンジ。トラブル無く走ってこれて、さらに確信が持てました。
そして、この企画の本命。GWに二泊三日のツーリングです。長野から富山、石川を巡り、全走行1200km。一日だいたい400kmほど走ってきました。最新リッターバイクの皆さんに付いていくだけでしたが、結果は余裕でした。高速は頑張っても150km/hしか出ないので、先で待っていてもらうこともありましたが、120km/h巡行はできるので、そんなに迷惑にもならなかったと思います。燃費は下道だとリッター20kmを軽くオーバー。満タンで300km近く走れる計算になります。
「えー!!これで行くの?」GW前には皆さんから心配の声も上がりました。途中で故障でもしたら、ご迷惑をお掛けしてしまうので、事前準備は必須。何度もテストと修理、セッティングを繰り返してからでなければ出かけられません。特に今回は標高2000m越えのビーナスラインなども通るので、密かにプラグも持参。2サイクルほどではありませんが、高地では昔のキャブ車はカブってしまうこともよくあります。もちろん工具もある程度積んでいきましたが、幸いこれらを使うことはありませんでした。それと、このバイクはキック始動のみ。セルが付いていないので、始動の癖にも慣れておくことが必要です。今では多くてもキック3回もすれば掛けられるようになりました。朝一でキック一発成功だと、なぜか嬉しい。
元々、シングルエンジンが好きで、昔からこのバイクが大好きだったということもありますが、大きさもパワーも普段使いにちょうど良いし、ロングランだって、ここまで使えれば「これでいいんじゃねえか?」なんて思ったりもします。ブレーキ性能やタイヤのグリップ感、サスの剛性感など、今のバイクに比べたら貧弱に見える時もあるし、何も気にせず乗れる新車とは違いますが、根本的に作りがシンプルなので、たとえ故障してもこの時代のバイクはそれが目で見えるのが心強いですね。今のバイクのように疑わしい部分を片っ端から交換していく作業とは修理の仕方も違う。
こういった、ちょっと古いバイクを好んで愛用しているオジサンたちも多いようですが、彼らの思いが少し理解できたような気がします。いろいろなことも含めて楽しめたら、ちょっとくらいボロでも、そちらのほうが幸せ。どなたにでもお勧めはできる方法ではありませんが、考えてみれば当時は皆さん、こんなバイク乗りだったと思うのです。乗り手も昭和号。このSRXはしばらく楽しめそうです。
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