-- |
■ストリート・アートナビ取材:展覧会シーン/Art Scene (取材:12月12日/掲載:12月15日)
■冬耳 展 -やわらかい膜につつまれて-
■会期:2004年12月14日〜12月19日 ■会場:Gallery
Den ギャラリー・デン |
|
|
|
|
幅6.7メートルの大壁画、表面から発する強烈な色彩と掴み所のないフォルムのエネルギーが生命を持ったようにウォーウォーと会場一杯に拡がり充たす、そこにある物、観る者を覆い尽くし、或いは無理矢理その内に侵入する。窓やドアを破って外へ出ようとする。
|
ギャラリーDENの壁の全てが冬耳(ふゆじ)の色彩とフォルムで埋められた。テーマは『やわらかい膜につつまれて』それは人間を覆っている皮膚であり、個体の表面でもある。今年の初夏に展示が決まり“壁の絵”を目指し冬耳は猛暑の夏から会期の直前まで画き捲った。メインの作品は、円柱壁を取巻く高さ2M×幅6.7Mの『melt
down』。サイケ調の“壁の絵”のモチーフは群像であり作者もその一部に同化している。下絵を何度も描き身体を抽象化し、イメージしてメタモルフォーゼを繰返えし生まれた。今回に限らずいつものテーマだが原色の美しさ、色の重なり、色面の形に意識を置き画いている。大きい面より小さい部分を見て欲しいそして楽しんで欲しいと冬耳は話す。“壁の絵”は見る位置、角度、時間によって表情が変化する。今の夕方なら窓ガラスに映り込み外の黄色が鮮やかな銀杏の葉と一体化して不思議なシーンを演出する。 昔も今も壁画やふすま絵はアーティストの腕の見せ所、まして曲面の大柱、難しいと思うか面白いと捉えるかアーティストの個性の出所。作者自身の大変化のしどころか。ギャラリーからの注文をアーティスト名利と受け止め真剣に取り組んだ作家の分身であり渾身の作となった。ぴあの小吹氏が言うように『生で作品を見ると、ペインティングでしか創造し得ない生命力に満ちていることが分かる。しかもサイズが大きくなるほど本領を発揮するという、面白い特性を持っている。』ことを図らずも確かめられた。 幼い頃は一人で行動する事が多かった。動物や怪獣の絵を画用紙にクレヨンで描いたり物づくりに熱中した。大学の2回生に自分を見つめ直し進路を考え卒業後、美術専門学校に入る。今の道を選んだのは自分の力と自分らしさを発揮できるから。冬至を前に“冬耳”から少し早めのX'mas
Presents for You.そして“冬耳”にとって来る年が飛翔の時でありますように。 |
|
|
|
|
|
1.+-tick/S30 2.melt
down/h2.0×w6.7M 3.T.K.K/M25 4.N4/P12×4 |
|
|
|
|
◎この秋グランド・オープンした国立国際美術館のデュシャンの展示会場で展覧会シーンのための会場風景を撮影中、ギャラリーDenの手島さんからいきなり声をかけられた。「12月の個展で円柱壁を大作で飾る作者がいるので取材をして欲しい」と。撮影中で気分が高揚していたのと、代表者からの直接の話だったのでアーティストも作品も知らずにOKした。しばらくして展覧会案内状で「展示スペースを改装します。・・・苦渋の決断となりました。」とあり円柱壁が無くなることやDMの作品写真と『ぴあ』の小吹氏(編集者)の文章を読みながら作者冬耳のアウトラインを知り、『円柱壁のラスト展示』と『新進アーティスト冬耳(作者ネームでふゆじと読む)』の取材当日を興味しんしんで待っていた。(冒頭の文に続く。)12日の取材の折り、『冬耳展』の後に円柱壁が取り壊される分けを知った。裏の『pocket』の小展示空間が鑑賞者に分りにくいのと、円柱壁のため展示がしにくくフラットにしたほうが良いという声が多くあったからと。新年の武蔵野美大卒業の吉岡滋人展(1/11〜30日)で新しい様子が分かるので楽しみだ。(取材予定) |
(Street Artnavi 中田耕志) |
|
|
|
◎地下鉄四ツ橋線 本町駅28番出口より徒歩5分
◎ 肥後橋駅7番出口より徒歩5分。 |
|
|
|
|
取材日:2004年12月12日/掲載:12月15日 |
取材・写真・Webデザイン:ストリート・アートナビ |
|
|
|
|