■大阪を描く「利根川 祥行 水彩画展」（新世紀美術協会 委員） 会場：上本町ギャラリー/ Gallery Uehonmachi　会期：2006年7月14日［金］〜7月19日［水］ ■ストリート・アートナビ取材：展覧会シーン/Page-1/Page-2 トップ頁 -- ▲道頓堀のグリコ看板部分。 泥臭い大阪の風景を描く、メッセージを込めながら。 　油絵を描いている時、ふと気分転換をはかるためスケッチブックとダーマトグラフ（ロウペン）を持って取材に出かける。南河内郡太子町から大阪市内に出て来る。テレビのニュースで「軍艦アパートが取り壊し」と知ると、翌日には大正区の泉尾のアパートの入口に立ちスケッチをしている利根川氏がそこに居る。フットワークが軽い。御年73歳、先の大戦が終わった年（1945年）が13歳、灯火管制が解けて昼間の明かりの下で羽根を伸ばせたことが今も忘れられないと話す。（同じ絵描き仲間の女性も「アメリカのB-29爆撃機が来ると電波妨害のアルミ箔が空からまかれキラキラと美しかった。そして照明弾が落とされると昼間のようにぱっと明るくなって隠していたものが全て丸見えになった。」と戦時下の思い出を語る。「利根川さんが住んでいた美章園は駅に爆弾が落ちましたね」と亡父から聞いた話をすると急にお互いの年齢の差が縮まったように親しくなった。小学生の担任をしながら、絵を描いて来た。図画を教えるだけの先生でなく、他の科目を教えることの難しさに腐心したことを懐かしく話される。 　30点を超す展示作品の各々のテーマやそれにまつわる思い出話を聞いている内に利根川さんの人間像の輪郭が見えてくる。取材はカメラを使わず対象物を速写で自由にペンを走らす。見た物の感動がどんどん絵になって行く。天王寺から新世界、南ではナンバからアメ村、心斎橋周辺、そして中之島周辺と歩いてモチーフを捜す。最新の商業ビルからレトロな建物、その構造美に心を引かれる。芝居小屋やロックの会場、アメ村の看板など当世の風俗にも画趣を見い出す。“泥臭い大阪の風景を描いている”。「ただ自然主義的に風景をスケッチするのではなく、表現に時代性や、精神性、使命感、メッセージなどを描き込めることが大事なこと」と力を入れて話される。テポドンや老人の社会保障費が削られていくことを危懼される。 　今も日々変わる大阪の風景の一断面図、誰もが知っている大阪の名所が利根川先生の人生のフィルターを通して独特のタッチで描かれて行く。（画材：ダーマトグラフ（ロウペン）、ホルベインの透明水彩、アクリル絵具、クレパス、コンテを併用して描き表現を深めようとしている。） 次の頁→ ■大阪を描く「利根川 祥行 水彩画展」（新世紀協会 委員） 会場：上本町ギャラリー/Gallery Uehonmachi　会期：2006年7月14日［金］〜7月19日［水］ ■ストリート・アートナビ取材：展覧会シーン/Page-1/Page-2 ■取材日：2006年7月15日　掲載：7月29日　ART SCENE/Street Artnavi ■取材・写真・Webデザイン：ストリート・アートナビ 中田耕志 ●アート展案内/絵画ジャンル頁→ ●インフォメーション頁→ ▲このページのTOPに戻る

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