酒匂溪香(さこうけいか) 書展「ハレの酒」SAKOU Keika Exhibition
酒ミュージアム・酒蔵館 会期:2008年101日[水]〜13日[月]7日休館
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酒匂溪香 書展「ハレ」の酒
酒匂溪香 書展「俗から聖へ」
酒匂溪香 書展「俗から聖へ」

書家・酒匂溪香氏(さこうけいか)Photo:STREET ARTNAVI
不安な日常があってこそ、『ハレ』を満喫できる。
 今年の取材前は台風が2つ連続して発生し、そのため日本列島全体が曇り空に覆われていた。ところが会期初日の10月1日は午前中から天候が一気に回復し、昼過ぎには雲一つない真っ青な秋晴れ、日本晴れになった。涼やかな風が頬に清々しい。淀川の河畔には餌を探す白鷺が凛とした姿をみせている。阪神西宮駅から札場筋線を歩く。銀杏の樹にギンナンが実を付け足下に落ち強い匂いを発している。この街では今が季節なのか彼岸花が真っ赤に咲いていた。今年も酒蔵館の中庭の柿の木の実りが気になっていたが、既にカラス達が4.5羽で色付いた実をついばんでいた。
 展示室入口正面を飾る作品は
『ハレの酒』。ここから先は酒匂溪香(さこうけいか)さんの『ハレの場』。吉事を指す言葉の書が並ぶ中、一転「陶淵明」の書は棺桶の中にいる死んだ陶淵明の言葉が弔意を表わすように薄墨で書かれている。『ハレ』は冠婚葬祭のような非日常の出来事を云う。決して日常・普段の生活の「ケ」ではない。
 筆者は中学時代、明治生まれの担任の先生から「ハレとケ」の言葉を学んだはずだった。「戦争前は女性のお化粧や晴れ着などはお目出度い時にするもので、今は毎日めかしこんでハレもケもない」とぼやいておられた。その頃から、日本社会全般が晴れがましく、ポジティブで明るく今日より明日は明るい未来がやって来るように信じていた。
 会場で一際目立つ書は
『俗から聖へ』だ。朱色の和紙に太書きの大書、今展のハイライト、展覧会の趣旨、そして作者の想いがそこに間違い無く凝縮されていた。昨年の同じ会場での発表からまる一年、2004年(平成16年)から数えて五年目、『酒の香・墨の香・心の香』をテーマに会期中に開催される『西宮酒ぐらルネサンス』と共にハレの場を作品の数々が飾る。同じ時期、同じ場所でやることの心の苦労は観る人の期待と比例する。年ごとのテーマ、書の切り口、見せ方、諸事の準備等々、会期までにクリアすることは山ほどある。そのプレッシャーを物ともせず、「女の道は一本道、定めに背くは女の恥じでござる」と薩摩おごじょは突っ走る。「ハレとケのけじめ」を自ら体現するように。
後記(ストリート・アートナビ 中田 耕志)
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会場エントランス
ハレの酒
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会場風景
会場風景
展示シーン
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会場風景
会場風景
展示シーン
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吉には「よい、しあわせ、めでたい」という意味がある。
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子々孫々
子孫の続く限り・・・
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日々是好日
一日一日が安らかに過ごせますように・・・
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福幸楽
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新しき年の始めの
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君を千里に置いて
君を千里(ちさと)に置いて 今日も
酒を飲て ひとり心を慰めん(閑吟集)
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日の春を
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山あれば

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会場風景
会場風景
会場風景

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■酒匂溪香(さこうけいか)プロフィール/profile of SAKOU Keika
鹿児島市生まれ。
7歳より書を始める。
2000年、所属していた師の社中を退会独立。
現在は、個展活動を中心に「共感できる書」を目指す。

998年より毎年、西宮、大阪で個展、グループ展を開催。2002年には、大東市野崎観音慈眼寺本堂に於いて、胡弓奏者・楊 興新(ヤン・シンシン)氏とのコラボレーション「墨と胡弓の宴」を開催した。
西宮市在住

これまでの展覧会シーン
展覧会シーン(2004年07月 ギャラリーさんびいむ/大阪市)
展覧会シーン(2004年10月 酒ミュージアム 酒蔵館/兵庫県西宮市)
展覧会シーン(2005年10月 酒ミュージアム 酒蔵館/兵庫県西宮市)
展覧会シーン(2006年10月 酒ミュージアム 酒蔵館/兵庫県西宮市)
展覧会シーン(2007年05月 ギャラリーアライ/兵庫県西宮市)
展覧会シーン(2007年10月 酒ミュージアム 酒蔵館/兵庫県西宮市)
展覧会シーン(2008年10月 酒ミュージアム 酒蔵館/兵庫県西宮市)
展覧会シーン(2009年11月 ギャラリーアライ/兵庫県西宮市)
展覧会シーン(2010年04月 西宮・廣田神社/兵庫県西宮市)
展覧会シーン(2010年05月 雅之郷 能楽堂(琴弾公園内)/香川県観音寺市
展覧会シーン(2010年06月 川鶴酒造『鶴鳴館』/香川県観音寺市
展覧会シーン(2011年11月 ギャラリーアライ/兵庫県西宮市)
展覧会シーン(2011年11月 雅之郷 能楽堂(琴弾公園内)/香川県観音寺市
展覧会シーン(2012年11月 京町家空感 千香月(ちかげ)/京都市
展覧会シーン(2013年11月 ギャラリーアライ/兵庫県西宮市)
展覧会シーン(2014年11月 雅之郷 能楽堂(琴弾公園内)/香川県観音寺市
展覧会シーン(2015年11月 ギャラリーアライ/兵庫県西宮市)
展覧会シーン(2016年10月 ギャラリー雛(ひな)/兵庫県西宮市)
展覧会シーン(2017年11月 石鎚神宮 本殿/香川県三豊市)

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西宮酒ぐらルネサンスによせて
酒匂溪香(さこうけいか) 書展「ハレの酒」
・会期:2008年101日(水)〜13日(月)7日休館
・AM10:00〜PM5:00(ご入館はPM4:30まで)
・会場:白鹿記念酒造博物館 酒ミュージアム 酒蔵館
TEL.0798-33-0008 会場地図
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取材日:2008年10月1日 掲載:10月6日 ART SCENE
取材・写真・Webデザイン:ストリート・アートナビ 中田耕志
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