実施設計(詳細設計)、一般にはなじみの薄い言葉ですよね。
「建物を構成する全ての部材についての、形・サイズ・数量・仕様 の リストアップ集成 」 と考えていただければ、わかりやすいかも知れません。
基本設計(建物の姿や空間の基本形状と大まかな仕上げ・仕様)がまとまれば
次のステップ、実施設計図(見積り、契約、工事のための、個々の部品に至る、形状、仕様、グレード等を設定する詳細な建築図、構造図、設備図)を作成します。
(一般的な2階建て木造住宅で40~50ページ程度の図面になります)
この詳細図面を基に、施工会社に見積りを依頼し、契約の根拠となる重要な書面です。
契約の内容と範囲を、書面上で明確にしておく事は、
□ 完成する建物の全ての内容を詳細に図示し、いまだ現実に存在しない 契約対象(商品)に代替する。
□ 仕様、性能、グレード面での、工事の内容を明確にし、品質監理の指針 とする。
□ 必要なものとそうでないものを明示し、不明瞭なコストが入る余地をなくす。
□ 内容があいまいであるために生じる過不足や、追加工事をなくす。
□ 詳細な図面や仕様をもとに工事中、完成後のトラブルの原因を未然に防ぐ。
等々のために欠かせなものです。
建築材料は、価格差の少ないものでも、2倍、大きいものに至っては、10倍、20倍の差があるものです。
詳細なグレード等の設定無しでの契約は、工事監理の時点ですでにトラブルは不可避で、監理業務はこの詳細設計図なしには成り立たないのです。
サイズ・数量・仕様の リストアップ集成 =詳細設計図 なしでは、どんなものが納められるかは、施工会社の「あなた任せ」になってしまいます。
仮に納められたものが、 望んでいたものとちがったとしても、あきらめるしかないといった不本意な状況になる可能性は十分想像いただけると思います。
映画の制作にたとえると、基本設計は 原作、実施設計は 脚本で、そのどちらもが十分でなければ、いくら美しい画面を綴っても(建物ではいくら高価な材料をそろえても)よい作品は生まれません。
ものを創るには、これら二つは 欠かせない重要な要素です。
充分な詳細設計図なしでの工事が多くあるのが現実のようですが、それは問題やトラブルが見えてないだけ・・・ 専門家から見れば、とても アブナイ状況なのですよ!