〃暑い時は映画館〃の巻

あき(以下A)「だからプールでも行きなさいよ。」

いっちゃん(以下I) 「でも、まだそんな体になってないしさ〜。」

A「ばかじゃないの。体見せに行く訳じゃないんだから。」

I「それはそうなんですけどね。」

トム君(以下T)「いっちゃん、今、ジムに通ってるって話しじゃ なかったっけ?」

I「それもそうなんですけどね。」

T「もう1年以上だったよな。そろそろ見せたくなってるんじゃないの?」

I「そんな事ないですよ。」

江川君(以下E)「トム様は体に自信ありますものね〜。」

T「相変わらずイヤな言い方だよな。」

E「気にさわったらゴメンアソバセ。」

A「ちょっと、イヤミの応酬なんかしてないでよ。」

せいちゃん(以下S)「そんな時は映画を観るに限ります。」

A「そうよね。ここんとこ全く観てないわね。」

I「いいですね。何か面白いのやってますかね。」

T「そんな時の為にピアが置いてあるんじゃん。」

E「ピアを見なきゃ分らない様な方は結構つまらない物をご覧になってし まいますわよ。ウォホホホ。」

T「わるかったな〜。ほんとイヤな奴。」

A「ちょっと、いい加減にしてちょうだいよ。」

I「それより映画、映画っと。何かあるかな〜。あきちゃん、やっぱりこ れですよ。これ。この夏は〃スター・ウォーズ〃しかないでしょう。」

S「アメリカ人てさあ、あんな映画観る為に学校とか会社、休んじゃうん だよ。僕には信じられません。そんな時間あったら、僕は勉強してますね 。」

E「せい様は勉強がお似合いでございますものね〜。」

S「いいえ、僕だって勉強ばかりじゃありません。ちゃんと映画だって観 ますよ。」

E「あら、それは失礼でございました。何をご覧になるのかしら?」

S「最近はなんと言ったって〃π〃ですよ。」

T「また難しくなってきたぞ。」

S「数学を題材にしたスリラーなんです。僕なんかこんな天才になりたか ったってつくずく思いましたよ。何しろコンピューターが216ケタの数 字をはじき出すんです。つまり3.1415....」

A「変な方向に行きそうだから、話題を変えて違う映画はないかしらね〜 。え〜と、あったわ。トム君にはこんなのどうかしら?〃ラン・ローラ・ ラン〃なんて。」

I「ロール・プレイング・ゲーム・ムービーか。面白そうですね。ゲーム 感覚なら、トム君も飽きないよ絶対。」

T「俺、ゲームばっかりやってるわけじゃねえぞ、ったく。でも観に行っ ちゃおうかな。81分だしな〜。」

E「その位だったらトム様にも耐えられるんじゃございませんこと。」

A「あんた、その言い方何とかならないの?」

E「ごめんあそばせ。」

T「こんなのも良さそうだぜ?〃プレイバック〃。」

E「なんてお下品な事を。プレイ・バックだなんて。」

T「下品なのはお前の方だよ。これよく見ろよ。ね、解った?よくあるだ ろ、口パクってのが。ほら、聖◯とか、◯◯ミンとかさ。でもこれね、本 当の声で歌ってるのと口パクでうたってるのが親友同志で、成功してから 友情関係がぎくしゃくしちゃうらしいぜ。」

A「面白がるのは悪趣味かもしれないけど、観てみたいわね。ワクワクし てきそうだわ。」

I「あきちゃんて以外に意地悪なんですね。」

S「知らなかったの?僕はね、もう20年以上の付き合いだからそんなこ と無限大に知ってるけどね。無限大っていうのわね......」

A「変な事言うからまた大変じゃないのよ。いっちゃん責任取りなさいよ 。」

I「すみませ〜ん。」

E「いっちゃん様にはこれがよろしいんではありませんか?〃恋はワンダ フル!?〃。如何でございます?」

I「え〜。どんなのかな〜?年に一度のお見合い大会?どういう事ですか ?江川君、説明して下さいよ。どうせ、お見合いでもしないと恋人なんか 出来ません、僕なんかは。」

A「そんなこと言ってるから出来ないのよ。観に行ってくればいいじゃな い。少しは勉強になるかもよ。」

I「あきちゃんまでそんな事言うんですか。ひどいな〜。」

A「あんたがさっきあんな事いうからよ。」

S「ほらね。意地悪なんですよ。あきちゃんは。」

T「ところで、あきちゃんは何か行くの?もし良かったら俺も一緒に行き たいな〜。」

A「そうね、今度行きましょう。アッシはね、〃岩波ホールでやる〃枕の 上の葉〃っていうやつに行こうとおもってるのよ。インド....」

E「インドっていうと〃踊るマハラジャ〃でございますわね。わたくし踊 って歌って大騒ぎしたくなちゃいましたでございますわ。」

A「勝手にしてなさい。インドじゃなくて、インドネシアの映画でね、露 天商の女性とストリート・チルドレンの話しなのよ。それだけでグッと来 るものがあるでしょ。」

I「でもトム君にはどうですかね?」

T「俺だって、社会派物も観るときあるんだよ。馬鹿にすんなよな。」

A「そうよね。それにあと〃豚の報い〃」

S「豚?好きですよ、豚は。ふっくらとして、優しそうな感じがあるから ね。まあ、気持的に何かで表すとすれば、北極圏から南に10キロの地点を.... 」

A「ほっときましょ。それで、主演の小澤征悦って子がかわいいのよ。」

E「わたくし、小澤征爾だったら好きでございますわよ。征悦?聞いたこ とありませんわ。何処の馬の骨でございましょうか、その征悦って方は。 わたくしの大好きな征爾さまの名前に似せるとは、不届き千万でございま す。」

A「あら、そんな事言っちゃって良いのかしらね。あんたの好きな小澤征 爾の息子よ、征悦って。」

E「え〜!どういたしましょう。わたくしとした事が。征爾様にご子息が いたなんて。悲しゅうございます。所詮わたくしなんか征爾様には不釣合 の人間でございますもの。」

T「何馬鹿な事いってんだよ。ほんとにイケスカナイな、おめぇってさ。」

A「ほっときなさい。何時も主人公でいたいのよ。」

I「でも、本当にいろいろ有りますよね。何行こうか迷っちゃいます。」

A「何だって良いじゃない。あんた、夏、どうしたら涼しく過ごせるかっ て聞くから、プールでもって薦めたのに体がどうのこうのって言うから映 画の話しになったんでしょ。」

T「そうだよ。お前の為にみんなが話してたんだぜ。少しは感謝しろよな 。」

I「はい。すいません。」

A「どうでも良いけど、夏は映画にかぎるかもね。」

E「そうでございますわよ。冷房も効いているし、トム様の様な方でもゆ っくりお過ごしになられますわ。」

T「それって、俺が映画館で映画も観ずに寝てるって事カヨ?」

E「そんな事言ってませんわ。ただ.....」

A「まあいいじゃない。とにかく夏は映画よ、映画。何か観に行きましょ う。」

S「だから〃π〃なんか良いんじゃないかと思うんですけどね。」

A「また〜????あ〜あ。」(おわり)

*登場人物は全て仮名です



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#8 "劇場へ行こう!"の巻
#7 "戦争はおそろしいよね"の巻
#6 "あんたも漫画がすきなのね"の巻
#5 "あんたの涙は.....?"の巻
#4 "安心が一番"の巻
#3 "本当に生はいいんだから"の巻
#2 "小さいことはいいことだ"の巻
#1 アキのニューヨークお芝居観て歩記