■特別展 日英交流「大坂歌舞伎展」−上方役者絵と都市文化− 記者発表&開会式・内覧会
会場:大阪歴史博物館 会期:2005年10月1日[土]〜11月23日[水・祝]
ストリート・アートナビ取材:展覧会シーン/Page-1/Page-2


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 江戸時代後期の大坂歌舞伎は18世紀後半から19世紀前半にひとつの黄金期を迎えます。それは19世紀初めの大坂の歌舞伎を席巻したニ代目嵐吉三郎(1769〜1821)と三代目中村歌右衛門(1778〜1838)のライバル関係に象徴されます。ハンサムで女性ファンを多く獲得した吉三郎、様々な役柄をこなし男性に人気があった歌右衛門という全く異なるキャラクターの二人が共演することはなく、それぞれのファンは互いに贔屓(ひいき)の役者を支持すべく、盛んに役者絵や摺物(すりもの)などを出版して激しく対抗しました。また大坂の贔屓連中(ひいきれんちゅう/芝居の支援団体)は顔見世(かおみせ)の舞台上で役者と手打ちの儀式をするなどの特異な活動をおこなうという特色を持ち、江戸とは異なる独自の歌舞伎文化が形成されていました。

 大坂で役者絵が出版されるのは江戸よりも遅く、18世紀終盤のことです。上方役者絵の祖とされる流光斎如圭(りゅうこうさい・じょけい)の画風が、現実的な顔と体つきで役者を描く堅実な表現をとったように、上方の役者絵は役者を写実的に描くのを特徴としています。また多くの大坂の絵師たちは生業として絵を描いたのか趣味で描いたのか判然としません。このことは江戸の役者絵師がみな職業絵師であり、役者を理想化して描くことと対比的な特色です。

◎記者内覧会では、ガーストル氏(ロンドン大学教授)の説明を受けた、日本語を流暢に話ながら役者絵、役者絵本、展示品等をを解説したり、記者の質問に上手に受け答えする様子を見てどちらが日本人か不思議な感じがした。また外国人客が上手な日本語で担当学芸員と話している姿を目の当たりにして、日英の交流を実感した。(写真上右)

◎内覧会の前日に、大阪市内の画廊の女性に『歌舞伎』の話を聞いてみると、歳を重ねると日本古来からの芸能が見たくなる、歌舞伎、能、文楽、古典落語等、特に、『歌舞伎』は伝統の中で形があり、台詞も決まっているが、その台詞をどう表現して行くのか興味がある。衣裳も素晴らしい。受け継がれてきたその家の芸風、例えば、市川家の荒事(あらごと)、歌舞伎十八番や、中村扇雀(三代中村鴈治郎)の和事(わごと)など、地方(じかた:太鼓、三味線など鳴りものを受け持つ人)と共に面白い。中村鴈治郎が『坂田藤十郎』を襲名するが京都の南座での公演に行ってみたい。
近くの松竹座(大阪市中央区)でよく見るが、客席からの掛け声、「ようご両人」「成田屋」「ごゆるりと」と大向こうから声がかかる。掛け声のやり取りで芸が進む。演じる者が声を返す。プロ並みに熟知しているからハモる。等々短い時間に熱く話して頂いた。

◎内覧会のその日に、
米国からのフルブライト研究者で、一年間は関西で浄瑠璃・歌舞伎を専門に研究している方から招待券の希望があった、既に締切っていたが、取材の時に主催者から頂いたので差し上げた。彼は『20年代より日本の伝統芸能が大好きで、昔、東京に住んでいたころ、毎月歌舞伎座も国立劇場も新橋演舞場で歌舞伎を見に行ってたです(それは、アートナビさんがお話してくださった…幕見で )。私は米国の大学で日本古典文学を専門にしている博士後期課程の大学院生です。ともかく、日本の伝統芸能、殊に歌舞伎と人形浄瑠璃を大好きです。でも、観劇料も学術的参考資料も高価です。それで、奨学金を出来るだけ有用に使いたく思っています。 今年は、国立文楽劇場(11月)と京都の南座(12月、鴈治郎さまの襲名公演)で近松半二作の「二十四孝」という同じ演目をおこないます。 大変お楽しみにしております。アートナビさんのご親切な思いやりで、その準備勉強として大阪歴史博物館で歌舞伎の展覧会を見えるのもとてもお楽しみでございます。』とお礼のメールを頂いた。
大英博物館→大阪歴史博物館→早稲田大学坪内博士記念演劇博物館
◎本展は基本的に大英博物館が企画したもので、出品物の多くが大英博物館の所蔵です。本展覧会はロンドンの大英博物館ジャパン・ギャラリー(2005年6月30日〜9月11日)を皮切りに、日本へ巡回し、出品作品の多くが実際に生み出された大阪道頓堀の劇場街にほど近い大阪歴史博物館(2005年10月1日〜11月23日)で、続いて日本の演劇研究の総本山とも言うべき東京の早稲田大学坪内博士記念演劇博物館(2005年12月1日〜2006年1月20日)で開催されます。
※大阪歴史博物館では、10月25日に展示品の半数を入れ替えます。
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日英交流「大坂歌舞伎展」−上方役者絵と都市文化−
会場:大阪歴史博物館 会期:2005年10月1日[土]〜11月23日[水・祝]
主催:大阪歴史博物館大英博物館、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館、産経新聞社
ストリート・アートナビ取材:展覧会シーン/Page-1/Page-2
取材日:2005年9月30日 掲載:10月3日 ART SCENE/Street Artnavi
取材・写真・Webデザイン:ストリート・アートナビ 中田耕志
※上記の説明、写真キャプションは展覧会報道資料、展覧会図録、同展説明会を参考にしました。

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