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■Reconsidering Mono-ha「もの派−再考」記者発表&内覧会 |
会場:国立国際美術館 大阪・中之島 会期:2005年10月25日[火]〜12月18日[日] |
■ストリート・アートナビ取材:展覧会シーン/Page-1/Page-2 |
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1.小清水 漸(Koshimizu
Susumu)「表面から表面は」(1971)
米松 各20×20×300cm 作家蔵(2004年再制作)
2.小清水 漸(Koshimizu Susumu)「作業台−3点セット−」(1977)
シナ合板 37.5×57×82.5、57×37.5×82.5、82.5×37.5×57cm 千葉市美術館
3.榎倉 康二(Enokura Koji)「無題」(1979)油彩、綿布 200×750cm 世田谷美術館 |
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Review『もの派−再考』 |
●新機軸も盛り込んで「もの派」の再評価に挑む |
1968年頃から1970年代前半に起こった芸術運動「もの派」。戦後日本美術史の中でも異彩を放つこの動向に真正面から挑むのが、大阪・中ノ島の国立国際美術館で開催中の『もの派−再考』展だ。
「もの派」の一番の特徴は、素材の用い方。石や木、鉄板などがほとんど加工されず、単体もしくは組み合わせて置かれている。放射状に並ぶ大量の木材、鉄板の上に鎮座する巨石、巨大な粘土の塊・・・。それら作品から放たれるのは、物質のむき出しの迫力と、深い思索への誘いだ。政治的・文化的に激動の時期だった1970年前後の空気も濃密に感じられるので、当時を知る人には感慨深く、知らない人には新鮮に感じられるのではなかろうか。
また「もの派」の発生を、従来の定説である関根伸夫の作品『位相−大地』ではなく、その直前の高松次郎周辺の動きから見出そうとする新たな提案も興味深い。今年開催された美術展の中でも一等気合いの入った、硬派な企画と言えるだろう。
小吹 隆文(こぶきたかふみ)
1964年生まれ。情報誌でアート欄の編集者・記者として長らく勤務。
2005年6月退社、7月よりフリーランスとして活動。 |
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1.小池 一誠(Koike
Kazushige)「No.1 石」(1969)
石 約130×110×40cm 静岡県立美術館寄託
2.鈴木 慶則(Suzuki Yoshinori)「非在のタブロー(キリコによる)」(1967)
油彩、カンバス、イーゼル 絵画:101.8×82×8cm
イーゼル:251.2×60.7×118.0cm 静岡県立美術館寄託
3.李 禹煥(Lee U Fan)「第四の構成A」(1969)蛍光塗料、ベニヤ板 93×120cm 作家蔵
4.関根 伸夫(Sekine Nobuo)「位相 No.5」(1968)
ベニヤ板、木、ラッカー 220×120×90cm 国立国際美術館
5.原口 典之(Haraguchi Noriyuki)「エアーパイプA」(1969)
カンバス、合板 120×152×31cm 作家蔵 |
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1.李 禹煥(Lee U Fan)「構造A、改題 関係項」(1969)
スチール、綿 170×160×150cm 広島市現代美術館(1988年再制作)
2.丹羽 勝次(Niwa Katsuji)「箱シリーズ'68」(1968)
プリント合板、縄 148.5×92.0×5.0cm 静岡県立美術館寄託
3.前田 守一(Maeda Morikazu)「遠近のものさし)」(1967)
プラスチック、塗料 65.7×493.0×3.8cm 静岡県立美術館寄託
4.飯田 昭二(Iida Shoji)「HALF&HALF」(1968)
鳥かご、靴、鏡 48.4×50.0×50.1cm 国立国際美術館
5.菅 木志雄(Suga Kishio)「転移空間」(1968)木、彩色 230×100×100cm |
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1.関根 伸夫(Sekine
Nobuo)「空相-水」(1969)
鉄板、ラッカー、水 30×220×160cm、120×120×120cm 本展のために再制作 |
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1.小清水 漸(Koshimizu
Susumu)「鉄II、改題 鉄板II」(1970)
鉄(3枚組)100×200×3点 広島市現代美術館(1988年再制作)
2.小清水 漸(Koshimizu Susumu)「かみ2、改題 かみ」(1969)
紙、石 50×250×250cm、石:50×165×60cm×2点 本展のために再制作
3.成田 克彦(Narita Katsuhiko)「SUMI 1」(1969)
木 80×180×50cm、岐阜県美術館
4.成田 克彦(Narita Katsuhiko)「SUMI 5,6」(1970)
木 各80×50×90cm、岐阜県美術館 |
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「もの派」は、戦後日本美術の指標ともなるべき重要な動向であり、今なお多くの問題を提起する美術運動であり続けています。 |
「もの派」とは、一つの教義や組織に基づいて集まったグループではありません。1968年頃から1970年代前半にかけて、石や木、紙や綿、鉄板やパラフィンといった〈もの〉を素材そのままに、単体であるいは組み合わせることによって作品としていた一群の作家たちに対して、そのように呼ぶようになりました。彼らは日常的な〈もの〉そのものを、非日常的な状態で提示することによって、〈もの〉にまつわる既成概念をはぎとり、そこに新しい世界の開示を見いだしたのです。 これまでの〈作品〉概念に大きな転換を迫る、こうした作品群が生み出されるようになったのは、1968年10月に神戸須磨離宮公園で開催された「第1回現代彫刻展」において関根伸夫が制作した、大地を円筒形に掘り下げ、それと同形となるように土塊を円筒形に積み上げて対比させた
作品《位相−大地》の出現が大きな役割を果たしたと言われています。日本で哲学を学んでいた李禹煥(Lee U Fan)は、この作品に対して「新しい世界」との「出会い」を可能にする普遍的な様相として論じることで、「もの派」の一つの理論的な基盤を提示しました。 本展覧会は、定説となりつつあるそのような「もの派」発生のメカニズムに対して、現実空間と虚構空間との差異を表現主題とした高松次郎周辺から起こった動きや、物質と人間との緊張した関係を探究していった同時代的動向など、「新しい世界」を求めて既成の表現から逸脱した方法を取っていた多くの作家たちの作品や行為を検証することによって、時代様式としての「もの派」を、今、再び問い直そうとする試みです。(展覧会報道資料より転載) |
「もの派−再考」出品者一覧: |
飯田昭二、狗巻健二、榎倉康二、小池一誠、小清水漸、菅木志雄、鈴木慶則、関根伸夫、高松次郎、高山登、成田克彦、丹羽勝次、野村仁、原口典之、前田守一、吉田克朗、李禹煥 |
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▲展覧会の詳細は上の画面をクリック。 |
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取材日:2005年10月24日(月) 掲載:2005年10月31日(月) |
取材・写真・Webデザイン:ストリート・アートナビ 中田耕志 |
※上記の説明、写真キャプションは展覧会報道資料、図録、同館学芸員の案内を参考にしました。 |
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