〃夢をみようよ〃の巻

みのる(以下M)「よかった〜。本当に良かったよね。」

いっちゃん(以下I)「え〜?そうですか?僕はチョットね〜。」

あき(以下A)「何なのよ。何が良かっの?」

M「ユーミンですよ、ユーミン。」

I「今日、ユーミンのコンサートに行って来たんです。」

A「あっ、そうなんだ。」

M「それでね、僕は、とても感激したんですけどね、いっちゃ んたら、どうもピンとこなかったみたいで。」

I「僕、とてもユーミン好きなんです。でも、今日のコンサートは.....」

M「シンクロにサーカス。スケートやボードビルなんかもあって、得した 感じです。」

I「それが、僕にはチョットね。だって、ユーミンを観にきたのにさ。」

M「あきちゃんは観に行ってないんですか?」

A「ちゃんと行ったわよ。この前の月曜日に。時間をかけて、横浜までね 。」

I「それで、あきちゃんはどう思いました?」

A「アッシはね、とても素晴らしいショーだったと思うんだけど。」

M 「そうでしょ。ほら、僕の言った通りじゃないか。」

I「まだ、あきちゃん何も詳しく言ってませんよ。」

M「えっ、そうだよね。ゴメン、ゴメン。で、何処が良かったです?あき ちゃんは。」

A「そうね、何処がって言うのじゃなくてね、全体的に見て、とても良く 出来てたと思うのよ。アッシも最初はチョット行くのためらってたんだけ どね。」

M「そう言えば、あきちゃんて逗子のコンサートにだけ行くんでしたよね 。」

I「そうなんですか?」

A「まあ、それもあるんだけど、何しろ今年は、逗子の代りにこの〃シャ ングリラ〃をやるって言うし、きっと、もうこの一度きりでやらないんじ ゃないかと思ってね。それで、チケットは買ったんだけど、公演が始まっ てすぐ観に行った人の反応があんまり良くなかったのよね。だからチョッ トためらってたんだけど。」

I「ほら、僕の言った通りじゃないですか。あんまり良くなかったんです よ。」

A「そうじゃなくてね。まあ、ユーミンのいつものスタイルが好きな人に は、きっと物足りなく感じただろうなって。それは、分るのよ。」

I「そうでしょ。僕は、そうだったんです。もっとユーミンの歌やトーク を聞きたかったんですよね。」

A「でも、今回、一つのショーとしてみたら、とても良く出来てたとは思 わない?」

I「そうか、一つのショーとして観るんですね。」

M「僕はね、最初から一つのショーとして楽しみました。だから、すごく 良かったんです。」

A「きっとね、始めの頃観た人達は、まだ、一つのショーとして観ること が出来なかったんじゃないのかしらね。」

I「確かにそうかも知れませんよ。僕なんかも、ユーミンの歌と、シンク ロやサーカスがばらばらに感じられちゃって。」

A「そうでしょ。きっと始めの頃は進行がスムーズに行ってなかったのよ ね、きっと。だから、ショーとして完成されないままを観てしまったんじ ゃないかと思うんだけどね。」

M「それじゃ僕らは、良いときに行ったんですね。もっと早く行ってたら 、僕もバラバラに観てたかもしれないな〜。」

A「そうだったと思うわ。アッシだってきっとそうだったでしょうね。」

I「でも、僕なんかそれでも.....」

A「いいのよ、そんなこと。人によって見方は違うし、感覚も違うんだか ら。それよりね、あのショーには〃夢〃があったと思わない?アッシは〃 夢〃を感じたわね。」

I「そう言えば、僕も何か感じてたんですよ。今、言われたからっていう んじゃないんですけど、〃夢〃を見ている気分だったかも知れないな〜。」

M「あきちゃんが言ったからって、調子が良いな、いっちゃんたら。」

A「みのるちゃん、そんな言い方は良くないんじゃない?みのるちゃんは 夢見ることないの?」

M「毎日見ますよ。勿論。今日はあの子、明日はあの子ってな具合に。」

I「何言ってるんですか。これだから嫌になっちゃうんだよな〜。」

A「まあ、いいじゃない。それも夢の内よね。そう言えば、この前、〃オ ズの魔法使い〃を観に行ってきたんだけど、この芝居も夢のある芝居よね 。」

M「子供の観るやつでしょ。」

A「何言ってるの。一度観てご覧なさいよ。とても良い気持になって帰っ てこれるわよ。」

I「あきちゃん、だから言ったじゃないですか。みのるちゃんって、そん な夢しか持てないンですよ。」

M「そんなことありません。」

A「言い争いなんか止めなさい。本当にしょうがないんだから。」

I「いけない、いけない。そんなこと言ってないで、夢を持とうっと。」

M「たまには違う夢でも見るか。」

A「そうよ、夢を見ましょうよ。」

I「ところで、あきちゃんも〃夢〃見る事があるんですか?」

M「何言ってるんだよ。決ってるじゃないか。お店を大きくしてさ、ね〜 ?」

A「お店を大きくするなんて、思ったことはないわね。アッシにはこの位 のお店がピッタリなのよ。」

M「じゃあ、お金を貯めて大きな家を建てるとか?」

A「そんなのもないわね。」

I「たしか、寝ててもあんまり夢を見ないっていってましたよね。」

A「そうね、殆んど見ないわね。」

M「じゃあ、あきちゃんて、夢ないんじゃないの?」

A「そんな事ないわよ。アッシだって、夢はあるのよ。」

M「勿体ぶらないで、教えてよ。」

A「そうね、アッシの夢ね。アッシの夢はね、かわいい誰かと幸せになっ て、一生一緒に暮らしていく事かしらね。」

I「それじゃ、みのるちゃんとあんまり変らないじゃないですか。」

M「ほんと、ほんと。最初から壊れるのが分ってるのに、もうちょっと違 う夢、持った方が良いんじゃないの?」

A「うるさいわね、あんた達。〃夢〃って、叶かもしれないでしょ。〃夢 見る乙女〃でかまいません。」

I「でも、そうですよ。夢って、見なきゃね。」

M「そうだな。早く帰って、夢でも見るか。」

A「そうよ、もう12時半よ。電車、なくなっちゃうわよ。」

I「じゃあ僕も帰ります。でも、誰も居なくなっちゃいますね〜。」

A「良いのよ、心配しなくても。アッシはこれから、かわいい誰かが来る のを夢見て、時間つぶしてるから。」

M「じゃあ、これお勘定。いっちゃんと一緒で。」

I「え〜、良いんですか?甘えちゃって。それじゃご馳走になります。」

A「気を付けて帰ってね。そして、良い〃夢〃を見てちょうだいね。あり がとう!おやすみ。」

M「あきちゃんも、良い夢、見て下さい。」

I「あやすみなさい。良い夢見ましょうね。」

A「あいよっ!ありがとう。」

おわり

*登場人物は全て仮名です。



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#9 "暑い時は映画館"の巻
#8 "劇場へ行こう!"の巻
#7 "戦争はおそろしいよね"の巻
#6 "あんたも漫画がすきなのね"の巻
#5 "あんたの涙は.....?"の巻
#4 "安心が一番"の巻
#3 "本当に生はいいんだから"の巻
#2 "小さいことはいいことだ"の巻
#1 アキのニューヨークお芝居観て歩記