北海道セクシュアル・マイノリティ協会　ＨＳＡ札幌ミーティング
代表　中條敏巳　三上貴子
献血プロテストチーム代表・竹村勝行

　皆さん、こんにちは。セクシュアル・マイノリティ・プライド・マーチ札幌1997の際にはご協力を頂き、本当にありがとうございました。ボクは札幌ミーティングの献血プロテストチーム代表、ミーティング期待の若きリブ戦士竹村勝行と申します。
　何でこんなところに出てきたのか？　それはですね、皆さんに現在札幌ミーティングで行っているプロテスト（抗議）活動について知っていただきたかったのと、ぜひともご協力をいただきたいという趣旨からです。　

　…皆さん、「献血」って行ったことありますか？　ボクもけっこう献血好きなんですよ。ジュースとかタダでもらえるし。札幌ミーティングのしょーこ女帝などは、献血にたくさん協力してるということで青い器などをもらってたりします。ここまでくるともう献血マニアですね（笑）。
　そういう献血マニアでなくても、一度でも献血したことがある方ならわかると思いますが　現在献血希望者に対して、献血を行う前に「問診表」の記入というのが義務づけられてます。で、その問診表の問14が、以下のような内容になっているんです。

（１）不特定の異性と性的接触をもった
（２）同性と性的接触をもった
（３）エイズ検査（HIV検査）で陽性と言われた
（４）麻薬・覚醒剤を注射した
（５）上記（１）から（４）の該当者と性的接触をもった

　…つまり、同性愛者は献血できないんです（過去１年間“性的接触”がない方はいいんですけど。まあそれは置いといてですね）。セーファーセックスなんて概念はそのへんの献血ルームにいるコッパ医師には通じません。逆に「エイズ検査行って下さい」と理由もなくすすめられる始末。日本赤十字社はボクたち同性愛者のことを今だに「エイズにかかっている危ない人種」と見てるわけです（『HIV感染者＝危ない』という見方もすごいイヤ）。
　「そんなんだったら別に献血しなきゃいいじゃないか。強制してるわけじゃないし」と某新聞記者のＴさんに言われたんですけど、そういう問題じゃないのよっ！（アラ、ついオネエが…）…そりゃまあ確かにボクたちが献血行かなきゃいー話ではあります。でも、これは明らかに同性愛者差別なんですよ。なんでか？
　ある２人の男が献血に来たとしましょう。１人はノンケ、１人はゲイです。ノンケ男は不特定の異性と性的接触がない限り献血できます。でもゲイは男とSEXしてるだけで献血できません。たとえこのノンケ男の言う「特定の異性」が、名前を知ってるという程度の女で、もしかしたらHIVに感染しているかもしれなくても、献血できます。逆にたとえこのゲイの男がハッテン場にもビデボにも行かず、ただ一人の彼氏とセーファーセックスして、エイズ検査で陰性とわかっていても、献血できないんです。この差別を同性愛者差別と言わずになにを同性愛者差別と言うか！って感じでしょ？
　あと、この問診表のほかにも上の問14での5つの項目を「エイズ感染の可能性のある方」と書いて「献血いただいた方へお願い！」として献血終わった人全員に配られるんですけど、これなんかもう「同性愛者はエイズです」というビラを配ってるのも同じ。ヒドイと思いません？

　…知らないヒトはいないと思いますが、ここでちょっとエイズの感染経路について復習してみましょう。確かにHIVの感染は同性愛者や薬物使用者といった「危険な集団（＝ハイリスク・グループ）」というものが存在してた時代もありました。でもそれは大昔のハナシ。現在では、そういうグループが存在するのではなく、コンドームを使わないセックスや、注射の回しうちなど「危険な行為（＝ハイリスク・ビヘイヴィア）」によっておこることが医学界でも常識中のジョーシキとなっているんです。つまり、本当に輸血用血液からHIVを排除したいのであれば性的接触を「同性」「異性」とか「特定」「不特定」で分けても無意味なんですよ。
　それに、そういった感染経路のメカニズムなども含めて、９２〜９３年に東京のアカーが抗議活動のなかで日赤と協議して、一度はなくなった事項なんです（だから、この問題は解決してると思ってる方も多いと思います）。
　それにもかかわらず、なんです、日赤は。だから、前述しましたけども、ボクらは「同性愛者に献血する権利を！」とかいってるんじゃなくて、日本赤十字社という日本の血液事業を一手に引き受けるところの、ボクたち同性愛者やHIV感染者・AIDS患者に対する誤った認識を強く非難したいんですよ。特にビラとか配って一般市民に対してその誤った認識を公のものとして広めてるってのは、もうホントに許せないっすよ。