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ステキな二人旅/萩原美子のヨーロッパ美術館紀行
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8個の美術館を訪れました
イタリア: ヴァチカン美術館(ローマ)、ウフィッツィ美術館(フィレンツェ)
パリ  : ルーブル美術館,オルセー美術館,ダリ美術館,近代美術館
ロンドン: コートールドギャラリー、テートギャラリー
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私はそれまで、ルネサンスやマニエリスムには興味がなくて,宗教画自体になぜか、強制的なものを感じてしまっていて,苦手だったのですが,まず最初に行ったヴァチカン美術館でその気持ちが全くなくなりました。
もちろん、聖書の話は全くと言っていいほど知らないし,キリスト教を信じているわけでもないのですが,システィーナ礼拝堂のミケランジェロを見上げていると、宗教を通りこして感動しました。そこは、生きるとか、人間とか,自分なりにいろいろと考えられる空間で本当に神聖な空気が漂っていました。人はものすごくたくさんいて、賑やかなんだけど,なぜか心を落ち着かせることが出来て,しかも癒される空間でした。とても不思議な初めての体験。ラファエロやダ・ヴィンチの作品もたくさん見れて,自分がそこにいるってゆうことが信じられない気持ちでした。
ウフィッツィではやはりボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」と「春」が一番印象的でした。といっても、あまりその時代の美術の事を勉強して行かなかったので,ボッティチェリくらいしかわからなかった、というのもその理由かもしれません。「春」の三美神のかわいらしいダンスの感じがとても好きです。天使の矢は一体誰に向けられているのでしょう・・・??
帰国してからは,ルネサンスの本を読んで,「あの絵はそういう意味やったんかぁ」と驚きの連続でした。確かにもっと知ってから行くべきだったなぁと思ったりもしますが、「どの絵が有名だ」とか、「この絵のこの部分が素晴らしい」ということを知ってから行くと先入観を持ってしまっただろうし、何も知らないでただ絵をみて自分なりに感じて感動したり考えたりしたのもそれはそれでよかったなぁと思います。でも、もう一度訪れるときが来たら、その時はたくさん知識を頭に入れて行きたいです
パリは、本当に訪れたかった美術館ばかりで、感動しっぱなしでした。ただ、オランジェリーだけが工事中で入れなかったのが残念でしたが。

ルーブルは何と言う広さでしょう!?!?巨大過ぎて、とても回りきれませんでした。あそこをしっかり見るには最低2週間は必要です。しかもそれまでにもっと知識を増やしておく必要がありました。それを5時間で見ようとゆうのだから、古代は走りすぎるしかありませんでした。とにかく、行く前からチェックしておいた絵は必死に探して走りまわりました。こういうとき、地理感がないと困ります。何回も同じ場所に出てきてしまって、すごく迷いました。
ルーブルではロマン主義の頃の絵が一番よかったです。今にも動き出しそうで,光の具合も神秘的な感じで,よかったです。特にドラクロワの「民衆を導く自由の女神」。もっと大きな絵や鮮やかな絵はあるのですが、この絵の前に立つと、作者やその頃の人たちの心意気というか、意気込みみたいなものが絵からものすごい勢いで伝わってきて、うまく表現できないけれど、うねった生命力みたいなものを感じました。
オルセーは私の憧れの場所で、そこに居るということだけで大満足でした。印象派や新印象派は関西で美術展があればよく行っていたし、本当に夢みたいでした。絵の数も,規模も、けた違いで,今まで本でしか見た事のない、ずーっと見たいと願いつづけてきた絵が山のようにあって、感動しっぱなしでした。一枚日本にやってきただけでも全国版のニュースになるような絵がところ狭しと、ずらーーっと並んでいるその光景は、「これってほんまに全部本物なんっ?!」と疑ってしまうほどです。
改めて大好きになったのはマネとモネでした。とくに「オランピア」の前で感動しました。目や白い体がとても美しくて、ひきつけられたし、そこには歴史的な意味を十分感じれたのです。「これはすごい絵なんやなぁ」って漠然と思いました。  モネの絵は、時間が流れていく感じがすごい伝わってきて、本当の光と風と空がそこにあるような…そんな気持ちになりました。絵という四角い面のうえに、なぜ時間や空気や光を感じることができるのでしょう…?絵はなんて不思議なのでしょう・・・。
ダリ美術館は、館内の雰囲気そのものがダリって言う感じで、それに浸れたことが嬉しかったです。部屋全体にダリの声が響き渡っていて、怪しい感じ(?)が漂っていて…
ロンドンで、特に印象に残った美術館はコートールドギャラリーです。こじんまりとした建物で、アンティークな感じの家具が置かれているその壁に、印象派の絵画が普通に掛けられていて、その普通さがなんだか、とても絵に合っているのです。日本だとものすごい重装備のガラスや額があって、混んでいて、時には警備員に見張られているような気すらするのですが、この美術館の居心地の良さは、格別によくって、気持ちよい空間でした。絵を見るだけでなく、その雰囲気のおかげで心が休まって、癒される感じです。
訪れた美術館について話し始めると,きっと絵1枚1枚について何か書きたくなってしまうので,この辺で,終了しておきます。とにかく、私の美術観が変わったことには違い在りません。こんなに毎日毎日感動して,感動して、驚いたのは初めてだと思います。
そして感じた事は絵についてだけではありませんでした。フランスやイタリアでは美術というものが日本よりもずっと身近に普通に存在しているんだなぁ、ということに感心しました。名画なのに、周りに柵やガラスはないし、その横ではおじさんが絵筆を持ってその名画の模写をしていました。町全体が美術品かと思えるような建物や橋がたくさんありました。
日本で「趣味は絵画鑑賞と絵を描くこと」と言えば周囲は驚いたり,どこか敬遠したりする気がします。美術館も、値段は高いし,柵やガラスで絵を囲んで、美術や絵画をいっそう非日常的なものにしているように感じるのです。美術館は作品を私物化するんではなく、美術を公共的なものにするためのものなのに,なぜか日本では美術館自体が敬遠される存在になっているように思うのです。フランスではカフェのような感じで、美術館が存在しているように感じました。値段も日本の半分くらいですし、イギリスでは無料の所も多いのです。気分転換にドライブする、のと同じように美術館を訪れる、そんな雰囲気が羨ましかったです。
それで、美術やもっと幅広い意味でのアートを、身近に生活の中で感じられる環境を作っていきたいなぁと思うようになりました。音楽はどんな時でもどんな所でも、その場その場に合ったものが流れているし、流れてるおかげで癒されたり、楽しくなったり、気持ちが高ぶったりします。それと同じように、日常の生活にもっと美術を感じれる、当たり前のように存在する、そういう環境ができたらなんて素晴らしいでしょう?!それにちょっとしたことに美術をくっつければ、生活がもっと楽しく、嬉しくなるだろうなぁと思います。
この旅で自分は何をやりたいのか、ということを少しでも発見できたように思います。でもやりたい事は見つかってもまだ何をどうすれば実現できるのか,もわからないし、自分自信にアートに関する知識がまだ全然足りないということもわかりました。まだまだ悩んでばかりで,不安もいっぱいですが,とりあえず、少しずつ前に進むしかないなぁと思っています。とにかく今は美術と社会をもっとつなげていけるようなことをしたいです。このヨーロッパ旅行は私の生きてきた中で一番感動して、感じて、驚いた時間でした…。本当にステキな12日間でした。。。
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以上です。長々とごめんなさい。読んで頂いてありがとうございました。
2002年5月7日  萩原 美子 
紀行文&写真:萩原 美子
◎デザイン&制作:ストリート・アートナビ
◎掲載:2002年6月1日
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2004年12月発信スペイン卒業旅行:萩原美子の旅と美術館紀行
(女の子3人の感動いっぱいのスペインの旅/旅行期間:2003年11月19日〜28日)
◎紀行文&写真:萩原 美子
制作・Webデザイン:ストリート・アートナビ/掲載:2004年12月5日

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