「彫刻漫才 inside」 展覧会 sketch
親しみやすい“漫才”とお固い“彫刻”がくっついた
史上初、関西実力派8名の彫刻家によるグループ展。
　新緑が薫るこの5月14日〜26日まで、OAPアートコートギャラリーにて開催された。この展覧会は既に去年10月から展示中の「OAP彫刻の小径」の野外彫刻と関係しながら、新しく各作品や作家との交流、掛け合いのこころをより深く堪能できるように屋内展として企画されたものです。アートコートギャラリーは展示空間として、これまで多くの優秀作の発表を通して洗練され周りの環境も含め色んな条件に恵まれている。天井が高く広い空間、ガラス張りの渡り廊下、そして青い空の見える中庭があり、平面作品は勿論、特に空間構成の大切な立体アートの展示には申し分がない。
　今回の企画はギャラリー代表の八木氏から相談を受けた彫刻家で京都精華大学の教授（今年3月末で31年間の勤めを終え退職）小林陸一郎氏が関西在住の彫刻家に呼び掛けたことで実現したものです。京都市立美術大学出身者が3名、京都精華大学出身者が5名の構成となっています。
　各々の作品は製作前に予め展示場所を決めているようで、outsideとはまったく別な形、サイズ、表現になっていた。彫刻（家）と云うものは展示場所の条件によってこんなにも変化することを教えられた。外磯氏のきのこを逆さまにしたような陶の作品「む」がギャラリーの正面、広い中庭に展示され観覧者、玄関前を行き交う人々の「？」の視線と注目を集め客寄せに役立っている？ようだ。小林氏と水本氏の作品は赤や黄色に彩られ自由奔放、躍動感に溢れ上へ外へ飛び出そうとしている。石野氏、津村氏、中川氏は展示壁と床を巧みに取り込み前後左右に広がりのある作品になっている。吉野氏の「チャツボ」は廊下の中央にでんと構えてとおせんぼをしている。藤本氏の「exercise」は小品ながら、outsideの自身の大作とのコントラストを示している。作者各々が自分の持ち場を充実しながら他の作品と交流、共感して「彫刻漫才」を楽しんでいるかのようだ。

　彫刻漫才というタイトルに引かれて足を運んだが、各々の作品同士が楽しく語らい喜んでいるようで、見ているこちらまでが嬉しくなり久し振りに気持ちが昂揚した。まさに「彫刻漫才」を見ているようで十二分に堪能させて頂いた。

記：2007年6月13日　ストリート・アートナビ 中田 耕志