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 私、村上がメーカー、排気量、新旧など車種にこだわらず一般の人よりたくさんのバイクに乗れる立場を利用して、私なりの試乗インプレッシヨンを、語らせていただきます。皆さんのバイク選びの御役に立てればうれしいです。

 今回は、ピアジオ傘下スペインはDERBIの新作GP1 250です。

DERBI GP1 250
4サイクル水冷オートマチック250cc
¥628,000


スリムで小さな車格はランナーと同じくらい。試しにGTSと並べてみたところ、ほとんど同じ大きさでした。


フロントはダブルでラジアルマウント。リアはシングルのディスクブレーキ。APロッキード製。

 
このバイク最大の売りの部分。アルミのボックスフレームとリアシングルのセンターマウントサスペンション。オートマチックとは思えない構成。やる気充分です。


スイッチ類は普通。カーボンルックのミラーは珍しくヤマハタイプの右側逆ネジ仕様。



シンプルなメーターパネルはタコ中心。速度、時計、ガソリン計は液晶の中。メンテナンス時期も表示。シートオープナー兼用のキーボックスもシンプル。イモビは付いてません。


ラゲッジスペースはシート下にヘルメット一個。フロントのグローブボックスと、ちょうど膝の前方に小さな小物入れが左右にひとつずつ付いてます。塗装をしてない内側のパネルは作りがちょっと雑ですが、この辺はご愛嬌かな?





当店のGP1オーナー第一号の塩津さん。コンピュータープログラマーが職業です。20代半ばの若者はスズキDR400も所有。オートマチックは初めてだそうです。

デルビのやる気。

実は今回第一ロットということで、間違えてマイル表示のメーターが付いてきました。成川さんからの連絡で1週間から10日で日本仕様のメーターが届くとのこと。今までのピアジオの流れから、失礼ながら「話半分」として聞いていました。ところが本当に10日経たないで部品が到着。デルビのバイクがこれほど注目を浴びたケースは今までなかったことでしょうし、実際の注文の数も相当なので、スペインの社内でも盛り上がっているという証拠ですね。


ファーストインプレッション
今回の第一ロットでは、予約頂いたお客様全員に納車できるほど数が入ってきませんでした。当店で長期インプレ用に下ろす予定だった物を先にお客様にお渡ししました。その代わりというわけではありませんが、納車後に少し乗らせて頂きました。

またがっての第一印象は、ハンドルが意外に近く感じます。窮屈というほどではないですが、ベスパのような大らかさよりはランナーに近く、かつネクサスのように個性的なポジション。足付き性はランナー並。ふくらはぎでアルミフレームを「ニーグリップ」できるので、抑えるのは楽そうです。

走り出しは、GTSのようにスルスル〜。ではなく、同じキャブ使用のアプリリアスカラベオなどと同じ回転の上がり方。ちょっと単気筒っぽいです。お客様の新車なので全開はしてませんが、今までのクォーサーエンジンを見ればその実力は想像でます。全開テストが楽しみです。

少し乗ってみると、ランナーよりも直進安定性が向上しているのが分かります。ランナー乗りからすればヒラヒラ感が無いように感じる人もいるかもしれませんが、「普通の」バイクから乗り換えた人にはこのくらいの方が安心できるでしょう。これなら高速も安心です。

フレーム剛性の高さに合わせてサスも硬め。総合的なシャーシ剛性のセッティングに関してはピアジオよりもアプリリアに近いと思います。この辺はWGPのノウハウが生きているのかもしれません。ラジアルマウントのブレーキもさすがに強力。早く峠に持ち込んでみたいですね。コイツは
イケソウですよ!!


本格的に乗ってみました
ようやく試乗車の分が回ってきたので、じっくり乗ってみました。夏休みの帰省を兼ねて長い距離も走ってきたので合わせてのレポートです。

一般道

スリムな車体と力強い足腰で街中ではきびきび走れます。おなじみのクォーサーエンジンを搭載しているバイクでも、各車個々のセッティングは微妙に違い、GP1はトルク感がなくハイギヤードな感じがします、他の兄弟車に乗った人だと、一見遅く感じるかもしれませんが、それほどでもありません。
当店常連、松崎氏のスカラベオ250GTと信号ダッシュで比べてみました。巨漢の松崎氏とは、体重差というハンデがあり、どちらに乗っても私の方が速かったです。感覚ほどパワーの差はありません。

硬めのリアサスはストック状態からさらに柔らかく出来ることが判明。スプリングの自由長のところまで緩めてみました。突き上げが減り、より快適。アプリリアのスクーターSRシリーズと同じ位の硬さに出来ます。

高速道路
ここでは実に快適。フレームとサスの剛性感抜群で直進安定性は言うことなし。平なところで135km/hくらい。下りですと140km/hまで出ますが、車体はびくともしません。退屈なくらい。スリムな車体のせいかライダーの空気抵抗は大きく、普通に乗っているのと、伏せた状態とではスピードも大きく変わってきます。


ワインディング
このバイクで注目すべきはなんと言ってもこの場面。碓氷峠の旧道登りとハイスピードコーナーのバイパスを下ってみました。

高い車体剛性と14インチホイールは安定感抜群。旧道は先日来続いた雨で、浮き砂利や、沢からの水がところどころに流れてました。うかつに突っ込むとヒヤッとすることもあるかと思いきや、なんのスリルもなくこなしてくれました。標準のコンチネンタルタイヤもなかなかです。バンク角も充分で、どこもこすらずに済みました。

バイパスの下りは午前中だったのでまだ空いてました。コチラは路面もよくハイスピードコーナーの連続する道路です。ブレーキも良いので100km/h以上でコーナーに突っ込んでいけます。しかも不安と勇気を必要としない。前を行くCBR954をプッシュしてみました。ナイショです。

今回は、時間に余裕があったので、妙義山にも登ってみました。上毛三山と言いまして、赤城山、榛名山とともに群馬を代表する山です。他の2つが火山なのに対し、地殻変動の隆起によって出来た山で、切り立った岩肌が特徴。「頭文字D」にも登場します。GP1はこういう場所が楽しめるバイクです。前述のCBR954氏とまたまた遭遇。コーナーが小さいのでGP-1の方が有利です。

(先日、群馬県安中市出身で静岡県富士市在住の前川さんより、私の子供の頃からの勘違いを指摘していただきました。妙義山は赤城山、榛名山同様の
火山で、現在の山肌になったのは長い年月による浸食によるものであり、地殻変動によって出来上がったものではないそうです。前川さんありがとうございました。)

総評
GP1は、正にミッション車に近い乗り味と言って良いでしょう。スクーター乗りよりも普通のバイクに乗っていた人の方が違和感なく乗れるかもしれません。若い頃乗ったCB250RSやRZ250を思い出しました。

いわゆる、車体の勝っているバイクです。ベスパGTSのようにスリップダウンのスリル感を味わう必要もなし。ネクサスのように乗り手に技量も求めず、ハイホイールのビバリーよりはスポーツ性が高い。外車スクーター入門としても最適なバイクです。

今回400kmほど乗ってきて感じたことですが、GP1は、本当はもっとパワー出せるのではないでしょうか。高速の安定性やコーナーリング性能の良さを見てると、どうしても「パワー抑えてる」と思えるのです。本来の姿でないような気がします。ただしこれは成川さんに確かめたわけでも、DERBIに聞いたわけでもありません。あくまでも私の感覚です。

開発の段階でセッティングしたバイクを、出荷するときに排ガス規制に合わせて混合気を絞ったのではないか。と思えてならないのです。そのままでも充分楽しめるバイクなのですが、「本当の姿」に戻してやったらもっと楽しめるような気がしてなりません。キャブを使っているので何らかの方法があると思います。今後のお楽しみのひとつですね。


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